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精神科訪問看護で関わるADHDの特徴は?介入例も紹介

「ADHDを抱える方の特徴を知りたい」
「ADHDの原因を教えてほしい」
「精神科訪問看護でADHDの方にどう関わっているの?」
と悩んでいませんか?

ADHDは精神疾患の一種で、不注意・多動性・衝動性の3つの特徴があります。

この記事では、ADHDの特徴や原因、治療方法とADHDを抱える方への介入例を紹介します。

ADHDは精神疾患の一種?

ADHDは精神疾患のひとつであり「注意欠如・多動性障害」と表現されています。主に幼児期から小学校へ通っている学童期に発症する方が多いです。

しかし、近年は成人にもADHDの症状を抱えている方が多くなっています。成人で抱える方が多くなった背景には、以前はADHDと診断されていなかったり、ADHDを調べる方法が少なかったりと見逃されてきたケースがあるからです。

ADHDには3種類の型があります。

多動性衝動性優位型

多動性衝動性の9項目中6項目を満たす

不注意型

不注意の9項目中6項目を満たす

混合型

どちらも6項目以上満たす

 

ADHDの診断には、米国精神医学会が作成するDSM-5の診断基準が用いられます。他にも、ADHDの診断には幼少期時代の言動が評価の指標です。しかし、本人とその親も子どもの頃の言動は覚えていないことがほとんど。もし、思い出しても内容が正しくない可能性もあります。
参考:公益社団法人 日本精神神経学会「DSM5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)

 

診断を受けるには、精神科や神経内科、心療内科を受診する必要がありますが、確実に診断できる方法が確立されていないのが現状です。

成人でADHDを抱える方の中には、うつ病やパニック障害などの精神的な障害を合わせて抱える方もいます。複数の精神的な障害を抱える方は、ADHDと診断されるまでに時間がかかる場合もあるのです。

うつ病やパニック障害についてはこちらの記事で解説しているため、参考にしてください。
パニック障がいの看護のポイントとは?精神科訪問看護の介入事例も紹介
うつ病の訪問看護は何をする?利用方法やメリットを詳しく解説!

 

ADHDの特徴は3つ

ADHDの主な特徴は
不注意
多動性
衝動性
の3つです。

1つずつ解説します。

■不注意

ADHDを抱える方の不注意は、年齢に見合わないことが多いです。不注意の主な内容は
◎仕事でミスが多い
◎忘れ物やなくし物が多い
◎締め切りに間に合わない
◎約束を忘れてしまう
◎時間配分ができない
などがあります。

不注意が多い方に対して、精神科訪問看護で関わる際は、どのような場面で忘れ物やミスをしてしまうのかを考えたり、時間配分を一緒に考えたりして、日常生活を安心して過ごせるよう支援します。

■多動性

ADHDを抱えており多動性衝動性優位型の場合、
◎集中力が低下しやすい
◎じっとしていられない
◎待てない
などが特徴です。

自分の興味がないことでは集中力が低下してしまいます。集中力の低下により、課題を成し遂げられなかったり、じっとしていられなかったりするのです。

しかし、自分の興味があることになると高い集中力を発揮できるため、周囲からは多動性の症状が分からないこともあります。

精神科訪問看護では、ADHDで多動性の症状を抱えている方に対して、得意なことや自分の趣味を探して、集中力を保ちながら取り組めることを探す支援をしています。

■衝動性

ADHDで衝動性を抱える方は
◎思いつきで行動する
◎衝動買いをする
◎よく考えず思ったことを発言する
などが特徴です。

衝動性は思いつきで行動するため、小さなミスを繰り返す原因になります。例えば、なにかに取り組んでいるときに他の人から頼まれると、頼まれたことに取り組み、最初に取り組んでいたことを途中で忘れたり、期限までに終わらなかったりすることを繰り返してしまうのです。

しかし、思いつく能力が高いため、ミスが少ないように周囲の協力があると、機転を利かせて新しいアイデアを生み出せるなどの強みに変えられるでしょう。

ADHDの原因

熊本大学学術リポジトリ「ADHDに依存するうつ病:抑うつ症状と反抗挑戦性の関係について」によると、ADHDの原因は大脳の前頭前野という機能に障害を抱えていることです。前頭前野は、思考力や判断力、注意力、コミュニケーション力に関わっています。前頭前野が障害されると、不注意、多動性、衝動性といった症状が出現するのです。

原因の2つ目に、神経伝達物質の不足があります。前頭前野に関わっている神経伝達物質には、ドーパミンやノルアドレナリンがあります。ドーパミンを作る機能が低下すると、ADHDを発症すると考えられているのです。
参考:熊本大学学術リポジトリ「ADHDに依存するうつ病:抑うつ症状と反抗挑戦性の関係について

ADHDの治療方法

ADHDの治療方法は、カウンセラーによるカウンセリングや、薬物療法です。しかし、完全に治療できるわけではなく、寛解を目指します。寛解とは、継続的な内服やカウンセリングにより、精神的な症状が落ち着いた状態のことです。

カウンセリングを受けて、自分の苦手分野やミスを起こしやすい場面を振り返ります。振り返った内容を活かして、物事に取り組むときの順番を作成したり、カウンセラーと工夫や対策を考えたりして、日常生活の苦手分野を改善できるよう支援することが大切です。

薬物療法を行うと、神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンの働きを促進することで集中力の持続、落ち着いて行動できるなど、症状の改善に期待できます。

精神科訪問看護のADHDを抱える方の介入例

精神科訪問看護のコルディアーレでADHDを抱える方の介入例を紹介します。

ADHDを抱える方は、自立支援医療を利用して精神科訪問看護の利用が可能です。自立支援医療についてはこちらの記事で解説しているため、気になる方は読んでみてください。
精神科訪問看護を利用する際に知っておきたい制度とは?

 

■30代 Bさん

家の片付けを自分で行うことが難しく、必要な物と不要な物が混ざっている状態になっていました。片付けを始めても、途中で昔の物を見つけたり、気になる物があると中断してしまったり、片付ける気力がなくなったりすると悩まれていた方です。

【介入後】

1回30分の訪問で、どこまで片付けるのか目標や作業内容を確認して、作業に取り組みました。1回1回は少ない範囲ですが、訪問看護の利用を続けるうちに家の中で必要な物がすぐ見つけられるようになるまで片付けられました。

予定や目標を立てて片付けを行うことで、訪問の時間は取り組むことができていました。片付けをできたという成功体験もあり、Bさんの自信につながっています。

ADHDの特徴を理解して看護を行おう

今回は、ADHDの特徴や原因、精神科訪問看護の介入例を解説しました。

ADHDは、成人になってから見つかることのある精神疾患の1種です。

ADHDの特徴は
◎不注意
◎多動性
◎衝動性
の3つがあります。

ADHDを抱える方は、ミスを繰り返したり、集中力が続かなかったり、思いつきで行動してしまったりを繰り返して自信を無くしてしまうこともあるのです。周囲の方が支えることで、本人が安心して取り組める環境を作ると、ミスの予防や集中力の向上に期待できます。

周囲だけでなくADHDを抱えている方が、ミスをしないための工夫や、順番に物事に取り組む時間を決めるといった工夫も大切です。工夫すると、自信を持って日常生活や仕事を過ごすことが可能です。精神科訪問看護が介入し工夫を一緒に考える事もあります。

コルディアーレは精神科訪問看護ステーションで、精神的な障害を抱える方のサポートをしています。

精神科訪問看護に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。

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