精神科訪問看護は、利用者が増えているにも関わらず、仕組みや使える制度について情報が少ない現状があります。介護保険で実施できる訪問看護とは一線を画していることから、さらに混乱しやすい原因となっています。
今回は、医療保険・介護保険の概要や精神科訪問看護の具体的な費用、精神科訪問看護の利用方法などを解説します。
精神科訪問看護では、病気が原因で困難感や悩みを抱える方をサポートする役割があります。精神科の訪問看護は、一般的な訪問看護とは違い、介護保険ではなく医療保険が優先されます。しかし、医療保険や介護保険は難しく詳細はわからないといった方もいらっしゃいます。
ここでは、医療保険と介護保険について解説します。
精神科訪問看護は医療保険を利用して受けることが出来ます。医療保険の場合は、1割から3割の負担で利用可能です。負担額は年齢や収入などさまざまな条件によって変化します。
介護保険と医療保険は基本的に併用することはできません。介護保険の条件も医療保険の条件も当てはまる場合は、どちらかが優先される決まりとなっています。
精神科訪問看護で医療保険を使用している方が、条件が変わったため介護保険に切り替わることも多々ありますので覚えておきましょう。
精神科訪問看護は基本的には医療保険が適用となりますが、介護保険が優先される場合があります。65歳以上になれば介護保険が自動的に適用されるわけではなく、疾患や介護認定の有無によって決定されています。
ここでは、医療保険より介護保険が優先される事例について解説します。
認知症と診断された場合は、介護保険が優先される場合があります。医療機関の算定方法によっては医療保険が適用されたままになることもあるため、詳しくはかかりつけ医または訪問看護ステーションに確認しましょう。
介護認定を受け、要介護または要支援認定を受けた場合は、介護保険へ切り替わります。担当のケアマネージャーと相談しながら今後の療養を決定していく流れになります。
精神科訪問看護は、医療保険が適用されることから、原則3割負担となっています。しかし、自立支援医療制度を申請することで、負担を軽減しながら訪問看護を利用することが出来ますよ。
ここでは、助成制度である自立支援制度について解説します。
自立支援医療とは、精神疾患と診断された方の通院診療による経済的負担を軽減するために作られた医療制度です。自立支援医療(精神通院医療)が適用されることで生活保護世帯通院診療の自己負担が0円に、低所得世帯(非課税世帯)も段階的に負担が軽減されています。どちらにも該当しない方は原則1割負担となりますが、所得に応じて2,000円〜20,000円までの上限月額が設定されているため、注意が必要です。
自立支援医療制度を利用するためには、お住まいの市町村の市役所や役場に申請が必要となります。
東京都でも、精神通院医療における助成制度を実施しています。すべての精神疾患を抱える方に適用され、多くの場合原則1割負担としています。ただし、区市町村民税(所得割)が年235,000円以上の方は例外的で、高額治療継続者(重度かつ継続的な通院が必要)に限り、経過措置(令和6年3月31日まで)にて適用となっています。
通院医療に対する負担上限額は、生活保護世帯が0円、中間所得層が5,000円〜10,000円、一低所得以上の方は20,000円となります。
低所得者世帯は、「精神障害者通院医療費助成」を活用することで自己負担額が実質0円となります。各都道府県によって異なる場合がありますので、問い合わせてみましょう。
※参考:自立支援医療 、精神障害者通院医療費助成
精神科訪問看護の利用を検討するにあたって、申込方法や利用頻度など基本的な情報を把握しておきたいと感じますよね。精神科訪問看護の情報が少なくわかりにくいと感じている方もいるかもしれません。
ここでは、精神科訪問看護の申込方法や利用できる頻度・サービスなどの基本的な情報について解説します。
精神科訪問看護は一般的な訪問看護とは異なり、ケアマネージャーを介することはありません。訪問看護ステーションへ直接申込を行うか、医師や地域の保健師などに利用の相談を行って利用の申請をされる方がほとんどです。中にはケースワーカーに申込を代行してもらう場合もあります。
精神科訪問看護の申込には、「精神科訪問看護指示書」が必要となります。精神科訪問看護指示書は、精神科医が訪問看護が必要と認めた場合のみ発行されます。
精神科訪問看護の利用頻度は原則週3日までとされており、利用時間は1回30分程度が主な時間となっていますが、必要があれば10分などの短時間での訪問も認められています。
しかし、下記に該当する場合は、それぞれ週3回を超えた利用が可能です。
精神的に不安定な場合や誤った内服管理による急性増悪などの場合、精神科特別訪問看護指示書が発行されることがあります。特別訪問看護指示書が発行された場合は、最大で14日間の利用が可能です。
退院後3ヶ月間は、お互いの信頼関係を築き、同時に利用者様の様子をしっかり観察する必要があります。そのため、3ヶ月間の間に限り週5日までの利用が可能となります。ただし、医師の指示が必要です。
精神科訪問看護において利用できるサービスは下記のものがあります。
精神科訪問看護は医療保険が適用され、さらに助成制度に申請することで、利用しやすくなります。
この記事を参考に、現在の利用状況を見直してみてくださいね。
日常生活でお困りの方は、是非当ステーションへお気軽にご相談ください。