精神科に特化した訪問看護ステーション コルディアーレ

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精神科訪問看護は危険?看護師が注意する点や対処法を解説!

精神科訪問看護では、精神的な悩みや課題を抱えた方のサポートを行うこともあります。訪問する利用者様の中には、治癒過程で葛藤される方や、感情コントロールが難しい方など精神的に不安定になりやすい方もいます。気持ちが不安定な時には、攻撃性が増したり、反対に無気力になったりと、利用者様にとってもご家族にとっても好ましくない危険な状況になりかねません。

今回は、 注意すべき危険行動や危険を察知した際の対処法、普段から気をつけておけることなどをご紹介します。

精神科訪問看護師が注意すべき危険行動とは?

精神疾患を抱える方の看護は、利用者様の行動や心境を注意深く観察する必要があります。社会復帰や自立支援を通して達成感ややりがいを感じる反面、危険な場面に遭遇することもあります。

ここでは、精神科訪問看護師が注意したい危険な行動について解説します。

■希死念慮(自殺願望)

希死念慮は、うつ病や薬物・アルコール依存症、統合失調症、パーソナリティー障害といった疾患の方が抱きやすい感情と言われています。内服で症状が落ち着いているように見えても、ふとした瞬間や症状が寛解した時期に出現することがあります。

考えられる兆候としては、不眠・過眠による昼夜逆転の生活や、「生きていても楽しくない」「死にたい」といった言動などがあります。

精神科で処方される内服は強い成分が配合されていることが多いため、特に大量服薬には注意しなければなりません。

■窒息・誤嚥

精神科の治療薬には、副作用として嚥下障害(飲み込みにくさ)や口渇(口の乾き)があります。さらに、精神疾患を抱える方の中には、喋りながらの食事や早食い傾向の方もいらっしゃるため、誤嚥や窒息のリスクにも注意が必要です。病院の中には、パン食を禁止している施設もあり、家庭でもパン食時の注意点をご家族に伝えておく必要があります。

■転倒・転落

セルフケアが苦手な利用者様のお部屋は、物が散乱していることもあります。しかし、利用者様のこだわりや想いもあるため、利用者様の気持ちを尊重しながら支援していく必要があります。向精神薬や抗精神病薬の副作用には、歩行障害やふらつきなどもあるため、看護師は床にものが多い状況はリスクがあると認識しておく必要があります。

■看護師やご家族への乱暴な言葉や暴力

精神的に不安定になったり要望を上手く伝えられなかったりすると、内的欲求が乱暴な言葉や暴力へ変換されてしまう場合があります。特にご家族への言葉や暴力はエスカレートしやすいため、すぐに報告・相談してもらうようにしましょう。暴力までは発展しない場合でも、睨む・大声を出す・イライラしていることが多いなどの兆候があった場合は注意が必要です。訪問看護師は冷静に対応し、利用者様に寄り添いながら話をきかせていただくことが重要です。

■攻撃的な行動(暴れる・物を投げるなど)

上記の暴言・暴力と同様、上手く伝わらない悲しみや、イライラしていることに気づいて欲しいといった願望など、様々な要因から怒りが制御出来ずに出現してしまうことがあります。ご家族や少人数の看護師では対処出来ないことが多いため、緊急で対応する必要があります。

危険かもと思ったら?おすすめの対処法4選

日々利用者様とお話ししていると「なにか様子がおかしい」「普段と少し違うかも」など、事前に変化を察知できることも少なくありません。もし、普段の対応では不十分な恐れのある利用者様がいた場合、看護師はどう行動すれば良いのでしょうか。

ここでは、訪問看護師がいち早く危険を察知した場合の対処法を4つご紹介します。

■事実をしっかり共有する

訪問看護では、訪問終了後に訪問記録を記載します。なにか変化があった場合は、現在の状況を詳細に記載すると共に、看護師間で情報をしっかり共有しておきましょう。看護師ごとに対応が変わってしまうと、利用者様もご家族も困惑してしまいます。普段から情報を共有しておくことで、ご家族からの急な連絡や訪問看護師が変更になった場合にもスムーズに対応できます。

■必要な場合は複数人で対応する

精神的に不安定になっている利用者様に対しては、複数人で支援することも視野に入れておきましょう。万全の体制で看護を提供できるよう調整しましょう。

■チームで対応を話し合う

利用者様に危険な兆候が出現した場合は、チームあるいは上司を交えて対応を話し合っておきましょう。情報を共有するだけでなく、今後の看護の方向性を考えることが重要となります。

■主治医やケアマネージャー、保健師にも報告・相談しておく

危険な兆候を確認したら、関係各所に報告・相談しましょう。特に主治医とは密に連絡を取る必要があります。注意喚起を行いつつ、在宅療養に携わる全ての職種が利用者様を支えることができるよう準備しておく必要があります。

普段から気を付けておくべきことは?

利用者様の精神状況は日々変化しています。不測の事態が起こらないことが一番理想ではありますが、日頃から意識しておくことで多くの危険を回避することができるかもしれません。

ここでは、危険な事態に備えて日頃から行っておくべき4つのことについて解説します。

■緊急事態の対処法について看護師間で共有しておく

特定の利用者様に限定せず、危険な場面ごとの対処法を日常的に確認しておきましょう。対応マニュアルが存在する場合は、しっかり読みこんでおく必要があります。緊急時に冷静な行動がとれるよう、普段から対応を把握しておきたいですね。

■刃物や危険物の取り扱いについて話し合う

ハサミや包丁といった刃物を筆頭に、危険物の取扱いについては十分に話し合っておきましょう。ご家族だけでなく、看護師が持ち歩く際も注意が必要です。各家庭で対応が異なるため、看護師間でも共有を忘れずに。

■危険予知訓練(KYT)で未然に防ぐ

医療現場における危険予知トレーニングは、主に転倒やミスを防ぐ為に用いられています。事例をみながら看護師がどう行動するべきかを日頃から考えておくことで、緊急事態にも適切な行動をとることが出来ます。チーム間での共有だけでなく、個人でも手軽に行うことができます。

■家族への説明・サポートを行う

緊急事態に直面するのは主にご家族ですよね。普段から、利用者様に起こりうる事態を説明し対処法を説明する事で、パニックになることなく冷静な対応ができることも多いです。不測の事態が発生したら、スムーズに連絡が取れるよう番号の登録や電話帳への記載をおこなっておきましょう。

利用者様の安全管理に訪問看護師は欠かせない存在!

精神的な悩みを抱える方にとって重要なのは周囲のサポートと安全管理です。利用者様の中にはセルフケアが苦手な方もいらっしゃり、訪問看護師と家族が協力しながら支援を行っていく必要があります。

コルディアーレでは、一人の利用者様をチームで看護しており、複数の看護師の知識を活用しながらオーダーメイドの訪問看護を行っています。仲間と共に利用者様を看護する…そんな精神科訪問看護に興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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