「精神科訪問看護って何か怖そう…」そんなイメージをお持ちの方もいるかもしれません。また、精神科訪問看護で実際に勤務されている方の中にも、怖いと感じてしまう場面があるかもしれませんね。
しかし、「なぜ怖いイメージがあるのか?」「実際はどうなのか?」などを細分化して考えることで、現在持っている精神科訪問看護に対するイメージも変化するのではないでしょうか。
今回は、精神科訪問看護が怖いと感じてしまう理由や、精神科訪問看護のやりがいについてお話しし、実際に怖いと感じたときの対処法について解説します。
精神疾患を抱える方のイメージとして、入院時の印象や情報提供の内容が先行し、急性期の状態が恒常的であるように感じられますが、常に急性期の状態であるわけではなく、病院での治療が終了し落ち着いて退院されています。
しかし、退院時は病院という「静養でき保護された環境」から社会・自宅という「刺激の多い環境」へ戻られるため病状が不安定になることがあり、再入院の可能性が高いことから、密な関りと観察・情報共有が必要になります。
精神科訪問看護は心のケアが必要な利用者様のご自宅に訪問し、不安や悩みに対する支援や、日常生活を送るための具体的なサポートを行います。一般的な訪問看護と比べて医療的ケアが少なく、コミュニケーションが重要になります。
また精神科訪問看護では、利用者様だけではなくご家族への支援も並行して行っていきます。利用者様やご家族にゆっくり向き合い、その人らしい生活に寄り添うことができるのが、精神科訪問看護の特徴です。
精神科訪問看護で抱かれやすい「怖いイメージ」はどこからくるのでしょうか?怖いと感じる理由を紐解いていきましょう。
精神疾患は経過が1人1人違っており、精神的に安定している時期と不安定な時期を繰り返すことがあります。精神的に不安定な時期には、疾患による症状から思いがけない言動や行動が見られる利用者様もいます。
気持ちの変化や症状の程度は見た目では分かりにくいため、突発的に起こる場合がほとんどです。予期せぬことを突然目の当たりにしたら、驚きや恐怖を感じてしまうこともあるかもしれません。しかし疾患や症状、利用者様の治療の方向性を考えながら関係を構築をしていくことによって、気持ちの変化を捉えやすくなっていきます。
疾患による症状から危険行動による自傷・他害リスクがある方もみえます。しかし、症状が悪化してそのようなリスクが高くなるケースは多くありません。もしそのようなリスクがある場合には、複数名での対応や他職種との連携、場合によっては入院に繋げていくなど、利用者様にとって最善の方法を医療チームみんなで検討します。
情報だけを見るのではなく、実際の利用者様を見て適切に対応することで、怖さを払拭できることが多いです。
精神科訪問看護においてコミュニケーションはとても重要になります。もちろん他領域でもコミュニケーションは大切ですが、「心のケア」を行う精神科訪問看護はコミュニケーションが主と言っても過言ではありません。ましてや自宅に訪問し利用者様と1対1でのコミュニケーションをとっていくため、必然的に看護師の言動の重要性は高まります。
精神科訪問看護では、看護師の関わりによる影響力が大きくなりますが、「看護している実感がある」とやりがいに繋がる場合も多いのです。
精神科訪問看護は、もちろん怖い側面ばかりではありません。精神科訪問看護を経験した看護師の中には、「業務に追われていたが、精神科看護で人と向き合うという看護の本質を学べた」と言われる方も少なくないのです。
ここでは精神訪問看護のやりがいについてお話します。
精神科訪問看護は訪問時間内はひとりの利用者様だけに集中することができます。
また、ご自宅に訪問するため生活環境や利用者様の日常に触れることができます。その人らしい生活に寄り添いつつ、より具体的な支援を利用者様に一番近い場所で考えることができるのです。
利用者様一人一人とじっくり向き合って看護できるのは、大きなやりがいのひとつです。
訪問看護に行くときは基本的に看護師一人ですが、ご家族はもちろんのこと、医師や地域包括支援センター、相談支援専門員、市町村の担当保健師、ヘルパー事業所など多職種で連携して利用者様を支援していきます。
利用者様と直接関わる機会が多く、接する時間も長い看護師は、利用者様と他職種との仲介役であり、多職種連携におけるキーパーソンでもあります。医療連携における重要な役割を担うことも看護師のやりがいとなります。
精神科訪問看護で実践する看護の一部を紹介します。一つ目は内服管理です。
精神疾患を抱える利用者様にとって、内服管理はとても重要です。自己判断で減薬や断薬をしていないか、内服用量や用法はあっているか、飲み忘れや飲み間違いはないかなどを観察していきます。
また、内服に対する利用者様の考えや理解度の確認や、内服による症状の変化、副作用症状の観察も訪問看護師の役割と言えます。看護師の正しい知識・観察のもとで、内服による症状コントロールの支援をしていくことで、精神疾患による症状改善をサポートします。
二つ目に紹介するのはコミュニケーションです。利用者様とコミュニケーションを図ることは関係構築のためだけでなく利用者様の状態を観察する上でもとても重要です。
さらに、コミュニケーションを図ることそのものが、利用者様の社会復帰支援や心のサポートにも繋がっていきます。精神科訪問看護はあなたのコミュニケーション能力を発揮することができるだけでなく、研修や実務を通して能力を伸ばすことができます。
実際の勤務中に「怖い」と感じることがあったらどうすれば良いのでしょうか?ここでは「怖い」と感じた際のおすすめの対処法について紹介します。
まずは同僚や先輩、上司に相談してみましょう。先輩や上司は経験が豊富であり、似たような経験をしたことがあるかもしれません。対処法を一緒に考えながら助言やアドバイスが得られることも少なくありません。
また、先輩や上司としてもスタッフの体験や経験の情報をいち早くもらえることで、利用者様に対する適切なアプローチを考えることができます。
自分の感じたことは我慢したり、見て見ぬふりをしたりせずにアウトプットしてみましょう。
自身がどのように関わって、その時の利用者様の反応はどうだったか振り返ることはとても大切です。「怖いな」と思うような出来事があった時、そこには必ず理由があるはずです。
このような場合は、利用者様の既往歴や現病歴、疾患や現在の治療についてもう一度勉強し、利用者様のことを知っておくことが重要です。利用者様の心の動きをコミュニケーションを通して少しでも把握することで看護師側の受け取り方も変わってきます。
仕事から離れたら、あまり思い詰めることなくリフレッシュしましょう。仕事で最大のパフォーマンスを発揮するためにはON/OFFの切り替えが大事ですよ。
友人や家族と楽しく過ごす、自分の時間をゆっくり楽しむ、身体を動かす、しっかり休息をとるなど、ゆっくりやりたいことを楽しみましょう。心と身体のリフレッシュをして、また気持ち新たに利用者様と向き合ってみましょう。
「怖いな」と思ったことはインパクトが強く、頭がその事に支配されてしまいがちです。
そんな時は利用者様との関わりの中で、嬉しかったことや良かったなと思ったことを思い返してみてください。
「私との関わりの中でこんなことを話してくれた」「こんな表情をみせてくれるようになった」「いろんなことができるようになった」そういった体験は、利用者様の体験であるのと同時に関わってきた訪問看護師の成功体験でもあります。自身の看護への自信にも繋がります。
利用者様を支援しているのは、担当の精神科訪問看護師だけではありません。ご家族や医療チームのみんなで利用者様を支えていることを忘れないでください。ご家族や他職種からの意見を聴き、違う視点から物事をみるだけで、良いアイデアが浮かぶこともあります。
またチーム制を採用している精神科訪問看護事業所であれば、複数名のメンバー同士が相互に助け合いながら利用者様のケア方針について一緒に考えています。
コルディアーレでは、精神科訪問看護を経験したことがない方でも安心して業務が行えるような体制を整えています。また、困ったことがあってもすぐに相談でき、チームでのサポートも充実しています。はじめは緊張することが多いかもしれませんが、利用者お一人お一人とじっくり向き合えるとてもやりがいがありますよ。
精神科訪問看護に興味のある方、私たちと一緒に働きませんか?少しでも気になった方はお気軽にお問い合わせください。