精神科訪問看護で働く看護師は多いとはいえず、精神科・訪問看護どちらも未経験から挑戦する方もいらっしゃいます。
精神科訪問看護を紹介するメディアや記事も少なく、精神科訪問看護の現状がわからないという声もあります。
そこで今回は、精神科訪問看護師になる条件や必要な資格について、実際にステーションで働いている職員の目線から解説していきます。
未経験者の方が必須となる研修についても解説していますので、精神科訪問看護に興味のある方は参考にしてみてください。
精神科訪問看護師として働く人が身近におらず、精神科看護師についてよくわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、精神科訪問看護のこれからや現場で働く看護師の現状を紹介します。
精神疾患を患っている人は増加傾向ですが、過去15年間のデータでは精神科外来患者は約224万人から389万人に増加しているのに対し、精神科入院患者は約35万人から30万人に減少しており、治療をしながら在宅生活を送っている人が増えています。
また政府は在宅医療を推進しており、日本看護協会も精神科訪問看護を含める訪問看護全体の看護従事者確保を強化しています。
このように精神科訪問看護の需要は増加傾向で、利用者様が増加すれば精神科訪問看護サービスの認知度が向上するとともに、さらなる利用者様の増加が見込まれると考えられます。
2021年の日本看護協会の調査では、看護師が働く職場は診療所を含む病院が約87%以上であるのに対し、訪問看護は全体の3%と、精神科訪問看護を含める訪問看護従事者は多いとはいえない現状があります。
しかし同調査の働いてみたい職場を尋ねるアンケートでは「訪問看護などの在宅領域」と答えた人が38%と医療機関に次いで二番目に多く、訪問看護など在宅領域への関心が高まっているといえます。
精神科訪問看護師の具体的な仕事内容について知りたい方は、次の記事をご参照ください。
精神科訪問看護は、精神科・訪問看護ともに未経験から働く方もいらっしゃいます。
精神科訪問看護師になるための条件はあるのでしょうか。
ここでは、精神科訪問看護師になるために必要な資格と条件を説明します。
精神科訪問看護は、文字通り訪問看護であるため、看護師または准看護師の免許が必要です。
事務職や看護助手、相談員などの募集している事業所もありますが、あくまでも周辺業務担当であり、直接、利用者様に訪問できるのは看護師です。
精神科訪問看護師は、基本的に看護師免許があれば精神科での勤務経験は必要ありません。
ただし、精神科勤務経験1年以上などの応募条件を設定している事業所もあります。
これは、事業所がサービス提供をした報酬として受け取る「精神科訪問看護基本療養費」つまり診療報酬をもらうための届出要件に、訪問する看護師は「精神疾患を有する者への看護について相当の経験を有する」という条件が設けられているからです。
条件の「相当の経験を有する」とは、具体的に以下のような内容です。
そのため、精神科での経験年数が1年以上あればすぐに働けますが、未経験者は算定要件を満たすために所定の研修を修了しなければなりません。
コルディアーレでは未経験者の方も採用しています。入職後は、精神科訪問看護基本療養費算定に関する研修のほか、オリエンテーションや同行訪問などの研修を行うことで、未経験もしくはブランクがある方が安心して働ける環境を整えています。
精神科訪問看護基本療養算定要件研修とは、精神科未経験者の方が精神科訪問看護基本療養費の届出要件を満たすために受講しなければならない研修です。
精神科訪問看護の知識と技術の習得を目的とし、さまざまな団体が全国各地で主催しています。
オンラインの受講が可能な研修もあり、所要時間は21〜23時間程度です。
コルディアーレでは入職後、精神科訪問看護基本療養算定要件研修の受講を支援しています。
精神科訪問看護において必須ではありませんが、持っていると会社によっては給与に影響したり、仕事に役立ったりする資格があります。
ここでは、精神科訪問看護に役立つ資格を紹介します。
日本看護協会が認定する精神科認定看護師・専門看護師は、精神科分野のエキスパートとして評価される資格です。
事業所によっては、専門看護師・認定看護師を別枠で募集する求人もあります。
どちらの資格も実務経験が必要となるうえ、所定の教育を修了後、認定試験に合格しなければならないので難易度は低いとはいえませんが、訪問看護以外でも専門知識が活かせる資格です。
なお現行の認定看護師制度は、2026年までに新たな認定看護師制度へ移行する予定となっています。
精神科訪問看護を利用する方のなかには、介護保険を利用する人もいます。
そのためケアマネジャーの資格があれば、看護師としての視点に加え、介護制度や地域連携などケアマネジャーの知識を活かした利用者様へのサポートができます。
ケアマネジャーの資格も難易度が低いとはいえませんが、精神科訪問看護だけでなく在宅、介護全般に役立つ資格です。
認知症ケア指導管理士・認知症ケア専門士は、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する資格です。
精神科訪問看護を利用する方は、認知症を患っている人も多いため、専門的な知識と技術はご本人とそのご家族のケアに役立ちます。
高齢化が進むなか、認知症に関する資格は医療・介護、どの現場でも重宝されるでしょう。
JSAトリートメントMAS認定は、日本アロマセラピー学会が認定する医療従事者のための資格です。
アロマに関する専門的知識とトリートメント技術が習得でき、利用者様の精神的な安定のためにアロマセラピーが活用できます。
アロマが好きな人は楽しく資格取得でき、実生活でも役立つ知識が習得できるでしょう。
心理学に関する資格は、JADP認定メンタル心理カウンセラー、メンタルケア心理士など、多様な資格があります。
なかには短期間で資格取得をめざせるものもあり、忙しく時間が取れない人も比較的、手軽に挑戦できます。
給与に反映されるほどの資格の有効性はあまり期待できないかもしれませんが、初歩的な心理学が学べ、採用先に向上心があるというアピールにはなるでしょう。
精神科や訪問看護が未経験でも、精神科訪問看護師として活躍する場は増えつつつあります。
ただし、精神科訪問看護師として実際に利用者様を訪問するには、精神科訪問看護基本療養算定要件を満たす必要があり、未経験者の方は所定の研修を受けなければなりません。
未経験から精神科訪問看護師をめざしたい方は、精神科訪問看護基本療養算定要件に関する研修を受けてから就職活動するか、入職後に研修受講のサポートをしてくれる事業所を探すと良いでしょう。
コルディアーレでは、未経験の方が安心して働けるよう、算定研修だけでなく精神科訪問看護師として必要なこと、傾聴力、ケーススタディなどの研修も実施しています。
未経験者の方やブランクがあり不安な方も、どうぞお気軽にお問い合わせください。
精神科訪問看護師の給料事情や詳しい仕事内容について、次の記事でも紹介しています。
精神科訪問看護に興味のある方は、ぜひご覧ください。