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calendar_today2024/02/06

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就労継続支援A型事業所を解説!雇用形態、対象者、仕事内容、給与額は?

「就労継続支援A型事業所ってなに?どんなところ?」
「どんな人が利用できるの?仕事内容はなに?」

A型事業所の利用を検討している障がい者の方や、A型事業所の利用経験がある障がい者の採用を検討している企業の方が、就労継続支援A型事業所について知りたくて、調べたのではないでしょうか。

就労継続支援A型事業所とは、障がいがあって一般企業での就職が難しい方が、事業所と雇用契約を結び、支援体制の整った職場で働ける障害福祉サービスです。

最低賃金以上の給料を得ながら、ここで得た知識や技術を元に、企業などへの一般就労を目指す方も少なくありません。

実態がわからない組織に見えるかもしれませんが、最近では利用者を募るためにホームページを充実させるなど、オープンに広報活動をしているA型事業所も増えています。

この記事では、A型事業所をより身近に感じていただくために、以下のポイントを詳しくご紹介します。

就労継続支援A型事業所での主な支援内容
・日常生活・社会生活の自立
・仕事の技能訓練
・一般企業などへの求職活動の支援
就労継続支援A型事業所を利用する5つのメリット
・支援を受けながら雇用契約を結んで働ける
・最低賃金が保証されている
・仕事を通して人と交流できる
・知識や技術が身に着く
・一般就労への求職支援を受けられる
就労継続支援A型事業所を利用する5つの注意点
・人によっては利用料金がかかる
・短時間労働が多く給料だけでは生活できないことがある
・職員や他の利用者との関係が良くないと精神的な負担になる
・人気の事業所は利用できない場合がある
・事業所での仕事内容が就職の役に立たないことがある

障がい者の方は、あなたにとってA型事業所がベストな選択かを判断できるように、企業の方は、障がい者のA型事業所での職務経験をイメージできるように、ぜひお役立てください。

この記事は障がい者雇用の推進を支援している
株式会社JSHが発信しています
この記事は、障がい者雇用の推進を支援している株式会社JSHが発信しています。

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【目次】
1. 就労継続支援A型事業所とは
2. 就労継続支援A型事業所での3つの支援内容
3. 就労継続支援A型事業所とその他の障害福祉サービスとの違い
4. 就労継続支援A型事業所を利用する5つのメリット
5. 就労継続支援A型事業所を利用する5つの注意点
6. あなたに合ったベストな就労継続支援A型事業所を選ぶポイント
7. 就労継続支援A型事業所を利用するまでの流れ
8. まとめ

 


1.就労継続支援A型事業所とは

冒頭でもお伝えしたように、就労継続支援A型事業所とは、障がいがあって一般企業での就職が難しい方が、支援のある職場で雇用契約を結んで働けるところです。

以下3点から詳しくご説明するので、まずはイメージを膨らませてみましょう。

・障がい者に働く場所を提供して支援する障害福祉サービスの1つ
・対象者は身体・知的・精神障がい者で一般企業での就労が困難な方
・利用期間の制限はなく雇用契約が続く限り利用可能

 

1-1.障がい者に働く場を提供して支援する障害福祉サービスの1つ

就労継続支援A型事業所とは、障がい者に働く場を提供して支援する障害福祉サービスの1つです。

以下のように、サービス管理責任者や職業指導員、生活支援員が見守る環境下で仕事に取り組めます。

出典:厚生労働省「障害者福祉施設における就労支援の概要

利用するA型事業所では、どのような障がいがあるかオープンにして働くので、必要に応じた支援が受けられます。

体調やスキル、適性などを考慮してもらいながら働けるので、一般企業で働くのは自信がない方も、安心して働けるでしょう。

 

1-2.対象者は身体・知的・精神障がい者で一般企業での就労が困難な方

就労継続支援A型事業所を利用できる対象者は、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者で、一般企業での就労が困難な方です。

厚生労働省「就労継続支援A型に係る報酬・基準について〈論点等〉」によると、以下のように、精神障がい者が約半数を占め、増加傾向にあることがわかります。

出典:厚生労働省「就労継続支援A型に係る報酬・基準について〈論点等〉

ただし、障がい者手帳は必須ではなく、原則18歳から65歳未満で、自治体の判断によって受給証が発行された方なら誰でも利用できます。

実際にA型事業所を利用する方には、以下のような方がいます。

・一般企業で働くことが怖い、自信がない
・一般企業に就職したくても採用されない
・一般企業で働く前に、安心できる環境からスタートしたい

一般企業で働くことを目指す方と、A型事業所でずっと働き続けたいと思っている方、両方が利用できるのが、就労継続支援A型事業所なのです。

 

1-3.利用期間の制限はなく雇用契約が続く限り利用可能

就労継続支援A型事業所の利用期間の制限はなく、雇用継続が続く限り利用できます。

障害福祉サービスの中でもA型事業所は、利用者と事業所の間で雇用契約を結ぶのが、一番の特徴です。

雇用契約を結ぶため、労働基準法が適用されるだけでなく、最低賃金以上の給料が保証され、以下のように平均月給賃金月額は8万1,645円となっています。

出典:厚生労働省「就労継続支援A型に係る報酬・基準について〈論点等〉

勤務時間は実働1日あたり4時間~8時間、勤務日数は週3日~5日程度の事業所がほとんどですが、短時間勤務から始めて徐々に増やしていくことが可能です。

ただし、雇用契約を結ぶときに契約期間が記載されている場合は、その期間しか利用できません。

A型事業所の利用を希望している方は、事前に雇用契約内容を確認しましょう。

 

2.就労継続支援A型事業所での3つの支援内容

就労継続支援A型事業所の少しイメージが膨らんできたところで、具体的にどのような支援が受けられるところなのか、気になりますよね。

A型事業所での主な支援内容は、以下の3つです。

・日常生活・社会生活の自立
・仕事の技能訓練
・一般企業などへの求職活動の支援

日常生活を営む力を向上させるだけでなく、一般就労を目指すサポートを受けることも可能なので、ぜひ参考にしてみましょう。

 

2-1.日常生活・社会生活の自立

A型事業所では、日常生活・社会生活の自立に向けた支援が受けられます。

職員が個別に支援計画を作成してくれるだけでなく、利用者やその家族の相談に乗りながら、6か月に1度以上は見直して、いつでも適切なアドバイスやサポートをおこなってくれるのです。

自立に欠かせない健康管理を徹底するために、医療機関と連携して、年1回、健康診断を実施する事業所もあります。

A型事業所では、スタッフが利用者の意向や解決すべき課題を常に共有しているので、日常生活や社会生活を営む力を向上につながるでしょう。

 

2-2.仕事の技能訓練

就労継続支援A型事業所の利用者は、仕事の技能訓練支援が受けられます。

以下のように、仕事内容は事業所によってさまざまです。

・パソコンによるデータ入力などのデスクワーク
・カフェやレストランなど飲食業の接客や調理
・ものづくりや、製作物の販売
・商品発送の梱包作業
・倉庫での軽作業やパッキング
・農作業
・清掃

A型事業所ではこれらの仕事で得た収入の中から、利用者への給料を支払わなくてはならないので、その水準に達するための仕事の取り組み方を、きっちりと教えてもらえます。

そのため、利用者は仕事を通して、一般企業などに就職するために必要な知識や能力を身に着けることができるのです。

 

2-3.求職活動の支援

A型事業所では、一般企業などでの就職を希望する利用者に対して、仕事を終えた後、個別に以下のような求職活動の支援もおこなっています。

・公共職業安定所(ハローワーク)の利用方法を説明する
・障害者就業・生活支援センターなどと協力して、利用者に合う仕事を開拓する

職員は利用者の意向や適性を把握した上で、A型事業所で身に着けた知識や能力が活かせる企業を一緒に探してくれます。

A型事業所の支援を受けることで、「働いてみたら想像とは違った」というミスマッチを防ぎ、長く働ける企業に就職できる可能性が高くなります。

 

3.就労継続支援A型事業所とその他の障害福祉サービスとの違い

就労継続支援A型事業所では、日常生活を営む力を向上させるだけでなく、一般就労を目指すサポートを受けることもできます。

就労支援の障害福祉サービスは、A型事業所の他に、とてもよく似た以下の4つの支援があります。

・就労継続支援B型事業所
・就労移行支援
・就労定着支援
・就労選択支援(令和7年10月サービス開始予定)

あなたにとってA型事業所が最善な選択なのかを判断するために、それぞれの違いを理解しておきましょう。

 

3-1.就労継続支援B型事業所との違い

就労継続支援A型事業所と就労継続支援B型事業所では、以下のように、雇用契約の有無、対象者、報酬形態が大きく異なります。

  就労継続支援A型事業所 就労継続支援B型事業所
雇用契約 あり なし
対象者 ・身体・知的・精神障がい者で、一般企業での就労が困難な人
・原則18歳から65歳未満で、自治体の判断によって受給証が発行された人
・就労経験があるものの、年齢や体力面で一般企業への就労が困難な人
・50歳に達している人
・障がい基礎年金1級受給者
報酬形態 給料(最低賃金以上) 工賃(最低賃金に満たない場合もある)
月平均報酬額 8万1,645円(令和3年度) 1万6,507円(令和3年度)
利用期間 制限なし 制限なし
事業所数 4,415か所(令和5年4月) 1万6,295か所(令和5年4月)
利用者数 8万5,421人(令和5年4月) 33万3,690人(令和2年4月)

参考:厚生労働省「就労継続支援A型に係る報酬・基準について〈論点等〉
参考:厚生労働省「就労継続支援B型に係る報酬・基準について〈論点等〉

B型事業所は、A型事業所で働くことが困難な人を対象にした障害福祉サービスで、雇用契約は結びません。

軽作業を中心とした仕事の対価は、工賃として受け取りますが、A型事業所の最低賃金以上の給料と比較すると、かなり少ないことがわかります。

 

3-2.就労移行支援との違い

就労継続支援A型事業所と就労移行支援では、以下のように雇用契約の有無と対象者、報酬形態の有無、利用可能期間が異なります。

  就労継続支援A型事業所 就労移行支援
雇用契約 あり なし
対象者 ・身体・知的・精神障がい者で、一般企業での就労が困難な人
・原則18歳から65歳未満で、自治体の判断によって受給証が発行された人
・一般企業への就労を希望する人
・原則18歳から65歳未満の人
報酬形態 給料(最低賃金以上) なし
利用期間 制限なし 2年
事業所数 4,415か所(令和5年4月) 2,934か所(令和5年4月)
利用者数 8万5,421人(令和5年4月) 3万6,315人(令和5年4月)

参考:厚生労働省「就労継続支援A型に係る報酬・基準について〈論点等〉
参考:厚生労働省「就労移行支援に係る報酬・基準について〈論点等〉

就労移行支援は、就労に必要な知識や技術向上のための訓練、職場体験などの機会提供、求職活動の支援や相談ができるところで、給料や工賃は得られません。

 

3-3.就労定 着支援との違い

就労定着支援は、就労継続支援A型事業所・B型事業所や就労移行支援などを経て、一般就労した人が利用できる障害福祉サービスです。

就労系の障害福祉サービスを利用してから6か月経過後、最長3年利用できます。

サービス内容は、以下の通りです。

・就労後の悩みの相談
・就労に関するトラブル対応
・職場へのフォロー

就労定着支援は2018年4月に開始したばかりの、新しい障害福祉サービスです。

厚生労働省「就労定着支援に係る報酬・基準について〈論点等〉」によると、令和5年4月の事業所数は1,538か所、利用者数は1万5,332人と、他の障害福祉サービスと比べて少ないのが現状です。

 

3-4.就労選択支援との違い

令和7年10月サービス開始予定の就労選択支援とは、障がい者一人ひとりがより良い職場や働き方の選択ができるように支援する障害福祉サービスです。

就労選択支援では、障がい者がその能力や特性を活かして職場で活躍できるように、厚生労働省のマニュアルによって客観的に調査や評価をする「就労アセスメント」を活用する予定です。

就労アセスメントの活用により、今までよりもきめ細かな個別支援ができるようになることが期待されています。

 

4.就労継続支援A型事業所を利用する5つのメリット

就労継続支援A型事業所と他の就労支援の障害福祉サービスとの違いがわかったところで、それならばA型事業所を利用するメリットは何なのか、知りたいですよね。

A型事業所を利用するメリットは以下の5つがあるので、ご紹介します。

・支援を受けながら雇用契約を結んで働ける
・最低賃金が保証されている
・仕事を通して人と交流できる
・知識や技術が身に着く
・一般就労への求職支援を受けられる

 

4-1.支援を受けながら雇用契約を結んで働ける

就労継続支援A型事業所では、支援を受けながら雇用契約を結んで働けます。

雇用契約を結ぶため、週20時間以上勤務すると、雇用保険に加入できるようになります。

社会保険には以下の4つがありますが、A型事業所の利用者が加入するのは、労災保険と雇用保険の2つが一般的です。

【就労継続支援A型事業所で加入できる社会保険】
労災保険 ・雇用形態に関わらず、全ての利用者が加入する
・保険料は全額事業主が負担するため、利用者の負担はなし
雇用保険 ・週20時間以上勤務する場合、加入する
・保険料は、事業主の方が多く負担する
健康保険 ・短時間労働が多いため、加入しないことが多い(週30時間以上勤務で加入)
・保険料は、事業主と利用者で折半する
厚生年金 ・短時間労働が多いため、加入しないことが多い
・保険料は、事業主と利用者で折半する

参考:厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内
参考:日本年金機構「適用事業所と被保険者

雇用保険に加入すると、もし途中で継続できなくなっても、資格条件を満たせば失業給付を受け取ることができるようになります。

雇用保険料を負担する必要がありますが、平均月給8万1,645円の場合、利用者が負担する雇用保険料は、8万1,645円×0.6%(一般の事業)=489円です。

支援を受けながら雇用契約を結んで働き、雇用保険にも加入できるので、利用を検討してみましょう。

 

4-2.最低賃金が保証されている

A型事業所では最低賃金が保証されているため、以下のように、B型事業所や就労移行支援といった他の障害福祉サービスと比較して、一番高い報酬を得られます。

【A型事業所とB型事業所の月平均報酬額】
就労継続支援A型事業所 8万1,645円(令和3年度)
就労継続支援B型事業所 1万6,507円(令和3年度)
就労移行支援 なし

参考:厚生労働省「就労継続支援A型に係る報酬・基準について〈論点等〉
参考:厚生労働省「就労継続支援B型に係る報酬・基準について〈論点等〉

「一般企業へ就職することは難しいけれど、収入を得たい」という方は、最低賃金が保証されているA型事業所で働くことが選択肢のひとつになるでしょう。

 

4-3.仕事を通して人と交流できる

A型事業所を利用することで、仕事を通して人と交流できます。

A型事業所では障がいに理解がある職員や、同じように障がいのある利用者がいるので、さまざまな情報交換ができます。

周囲の人が目標に向かって取り組んでいる姿を見ると、励みになるでしょう。

また、家族以外の人との交流の場となるA型事業所を利用するのが毎回楽しみになり、生活リズムも規則正しくなる方も多くいます。

 

4-4.知識や技術が身に着く

A型事業所の仕事に取り組むことで、職場で必要なコミュニケーションスキルビジネスマナーを始めとする、さまざまな知識や技術が身に着きます。

仕事内容に応じて身に着く力は、以下の通りです。

【仕事内容別の身に着く力】
事務作業 ・パソコンスキル
・締め切りに対応する力
飲食業 ・接客スキル(客対応・レジ・金銭管理)
・調理手順を効率化するスキル
製造業 ・生産スキル
・販売スキル(金銭管理)
軽作業 ・梱包スキル
・検品スキル
・ピッキングスキル
農作業 ・栽培スキル
・販売スキル(金銭管理)
清掃業 ・清掃スキル

給料を得ながら、一般企業に就職するための訓練ができるのが、A型事業所なのです。

 

4-5.一般就労への求職支援が受けられる

A型事業所では、一般就労への求職支援が受けられます。

仕事を終えた後、職員が個別に、利用者の意向や適性を把握した上で、A型事業所で身に着けた知識や能力が活かせる企業を一緒に探してくれるのです。

サービス利用終了時に占める一般就労への移行者割合の推移は、以下の通りで、赤色のA型事業所は、青色の就労移行支援と比較すると低いものの、4人に1人が一般就労へ移行しています。

出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況

現時点では一般就労は難しくても、A型事業所で知識や技術を身に着けながら支援を受けることで、一般就労できる可能性が高まります。

 

5.就労継続支援A型事業所を利用する5つの注意点

就労継続支援A型事業所は支援を受けながら雇用契約を結び、最低賃金以上の給料を得られます。

一方で、以下の5つの注意点があります。

・人によっては利用料金がかかる
・短時間労働が多く給料だけでは生活できないことがある
・職員や他の利用者との関係が良くないと精神的な負担になる
・人気の事業所は利用できない場合がある
・事業所での仕事内容が就職の役に立たないことがある

事前に知っておきたい情報ばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。

 

5-1.人によっては利用料金がかかる

A型事業所を利用するにあたって、人によっては利用料金がかかります。

「お金を稼ぐつもりなのに、どうして反対に利用料金を支払わないといけないの?」と不思議に思いますよね。

利用料金がかかるのは、利用者の生産活動の売上だけでは、障害福祉サービスの運営費がまかなえず、行政からの給付金や助成金と合わせて、利用者からの利用料金で、運営費をまかなっているからです。

利用料金は、以下のように、世帯(本人とその配偶者)収入に応じて負担上限月額が決められています。

【就労継続支援A型事業所の利用料金】
区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 住民税非課税世帯※1 0円
一般1 住民税課税世帯(所得割16万円未満※2)
・入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く※3
9,300円
一般2 上記以外 3万7,200円

※1 3人世帯で障害基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象
※2 収入が概ね670万円以下の世帯が対象
※3 入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」となる

A型事業所を月に何回利用しても、上限を上回って支払う必要はありません。

始めは利用料金が0円だったとしても、世帯収入次第では、その後、利用料金が発生する可能性があります。

条件によって減免があるので、お住まいの障害福祉課に確認してください。

 

5-2.短時間労働が多く給料だけでは生活できないことがある

A型事業所では短時間労働が多いため、給料だけでは生活できないことがあります。

B型事業所よりは高いと言っても、以下のように、一般企業と比較すると給料は低く、生涯賃金となれば、その差がさらに開くことは明らかです。

【月平均報酬額の比較】
区分 月平均報酬額
就労継続支援A型事業所 8万1,645円(令和3年度)
就労継続支援B型事業所 1万6,507円(令和3年度)
障がい者全体 約14万6,000円(平成30年度)

参考:厚生労働省「就労継続支援A型に係る報酬・基準について〈論点等〉
参考:厚生労働省「就労継続支援B型に係る報酬・基準について〈論点等〉
参考:厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査結果

ただし、補助金や障害年金だけでは生活できない方でも、A型事業所の給料を合わせれば、生計を立てられるケースは少なくありません。

 

5-3.職員や他の利用者との関係が良くないと精神的な負担になる

A型事業所の職員や他の利用者との関係が良くないと、精神的な負担になることもあります。

事業所によって、職員の支援体制や、利用者の年齢層が異なるので、職場の雰囲気はさまざまです。

A型事業所は障害福祉サービスではあるものの、職員は事業所の存続や利益も考えなければいけないため、人間関係の配慮まで気が回らない場合も少なくありません。

事前に見学して雰囲気を知っておくと安心ですが、見学せずに利用を開始すると、職員や他の利用者と馴染めず、A型事業所に通うのが苦痛になってしまう可能性があります。

 

5-4.人気の事業所は利用できない場合がある

以下のような人気の高いA型事業所は、利用できない場合があります。

・高い給料を得られる可能性がある事業所
・送迎や、事業所実施の健康診断があるなど、健康面へのきめ細かい配慮がある事業所
・ホームページやSNSを通して、幅広い広報活動をしている事業所

利用できない理由は、以下の通りです。

・そもそも募集していない
・募集していても、スキル不足などの理由で、面接で落とされる
・面接を通過しても、定員がいっぱいで利用できない

A型事業所では定員数(20名定員が多い )が決まっているので、定員数を超えると募集がなくなったり、利用できなくなったりするのです。

 

5-5.事業所での仕事内容が就職の役に立たないことがある

一般就労を目指す利用者にとっては、「A型事業所の仕事をしていても、就職の役に立たない」と感じる場合があります。

実際、事業所の仕事内容によっては、単純作業ばかりで、専門性を身に着けられないことが少なくありません。

また、仕事が終わってからしか求職支援をしてくれないので、就労移行支援のイメージでA型事業所を利用し始めると、求職支援体制が物足りなく感じる可能性があります。

パソコンスキルを身に着けたい人は、パソコンを使ったデータ入力ができるA型事業所を探すなど、就職の役に立つような事業所選びが重要です。

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6.あなたに合ったベストな就労継続支援A型事業所を選ぶポイント

A型事業所を利用するにあたってメリットや注意点を踏まえて、「A型事業所っていいな」「働いてみたい!」と思った方は多いと思います。

そこで、注意したいのは、事業所によって仕事内容や雰囲気は、実にさまざまだということです。

あなたにとって働きやすい環境を選んだり、一般就労のためにスキルアップを目指したりするには、以下の5つのポイントが非常に重要になります。

・あなたに合った仕事内容である
・事業所の雰囲気が良い
・給与金額に納得できる
・通いやすい場所にある
・企業などへの就職を目指すなら一般就労への移行率が高い

見学や面接の際には、これらのポイントを参考に、あなたに合ったベストなA型事業所を選びましょう。

 

6-1.あなたに合った仕事内容である

就労継続支援A型事業所を選ぶ上で、あなたに合った仕事内容であるかは、とても大切です。

なぜなら、あなたに合わない仕事や、全く興味が持てない仕事内容では、知識や技術を身に着けられるほど、長く働き続けるのは難しいからです。

厚生労働省「就労継続支援A型に係る報酬・基準について〈論点等〉」によると、A型事業所は全国に4,415か所(令和5年4月)あります。

事業所によって仕事内容はさまざまなので、ホームページを見たり、実際に見学したりして、あなたが希望する仕事内容ができるかを事前に確認しましょう。

一般就労を目指すならスキルアップできる仕事内容を選ぼう
一般就労を目指すなら、単純作業が中心の仕事ではなく、データ入力や金銭管理を伴う販売業など、スキルアップできる仕事内容ができるA型事業所を選びましょう。

働きたい業種の企業で必要とされるスキルが身に着く仕事内容を選べば、就職に有利になります。

 

6-2.事業所の雰囲気が良い

事業所の雰囲気が良いと、通うのが楽しみになります。

最初は短時間労働でも、徐々に勤務時間や勤務日数を増やすと、事業所の雰囲気があなたに合わなければ、事業所にいるのが、辛く感じてしまう可能性があります。

見学や面接の際には、事業所の雰囲気を知るために、以下の様子に注意してみましょう。

・職員の利用者への接し方
・利用者の仕事への取り組み方
・利用者同士のコミュニケーション

あなたが「この職員や利用者の方たちと一緒に働いてみたい!」と思えるなら、事業所の雰囲気は良いといえます。

 

6-3.給与金額に納得できる

給与金額に納得できるかどうかも、重要なポイントとなります。

なぜなら、給与は働くためのモチベーションに直結するからです。

A型事業所では、事業所と利用者の間で雇用契約を結び、最低賃金以上の給料が得られますが、短時間労働から始めることが多いため、必ずしもあなたが想定していた額が支払われる訳ではありません。

見学や面接の際に、給与金額について質問するのはマイナスポイントにはならないので、あなたが納得できる給与金額を得られるA型事業所を選びましょう。

 

6-4.通いやすい場所にある

通いやすい場所にあると、通勤時の負担が少なくなります。

例えば、自宅から電車で1駅の事業所と、電車で5駅移動してからバスに乗り換えなければならない事業所では、電車で1駅の事業所の方が、通勤は楽です。

公共交通機関を利用しない場合では、車通勤が可能だったり、送迎があったりすると、通いやすいでしょう。

障がい者の方にとって、通勤時間が長いと、身体的・精神的に負担がかかる場合があります。

やりたい仕事ができて、事業所の雰囲気も良く、給与金額に納得できても、自宅から通いにくい場所にある事業所は選択しない方がいいでしょう。

 

6-5.企業などへの就職を目指すなら一般就労への移行率が高い

企業などへの就職を目指すなら、一般就労への移行率が高い事業所を選びましょう。

なぜなら、事業所によって、以下のように目標感が異なることがあるからです。

・「働く」ことに、挑戦する
・「働く」ことに、やりがいを覚える
・仕事を通して知識や技術を身に着け、一般就労を目指す

一般就労の移行率が高いA型事業所なら、職員の求職支援体制が手厚いだけでなく、周囲の利用者のモチベーションも高く、良い影響を受けられる可能性があります。

企業などへの就職を考えているなら、事業所のホームページの記載を見たり、見学・面接で質問したりして、一般就労への移行率を確認しましょう。

 

7.就労継続支援A型事業所を利用するまでの流れ

就労継続支援A型事業所を選ぶ際には、ホームページを見たり、実際に見学に行きましょう。

「A型事業所を利用してみたい」という方は多いと思いますが、実際に利用するまでどのような流れになるのか気になりますよね。

A型事業所を利用するまでの流れは、以下の通りです。

就労継続支援A型事業所を利用するまでの流れ
(1) A型事業所を探す
(2) 希望する事業所を見学する
(3) 面接を受ける
(4) 市区町村窓口で利用申請する
(5) 事業所と雇用契約を結び、利用開始する

スムーズにA型事業所を利用できるように、参考にしてみましょう。

 

7-1.A型事業所を探す

まずは、6.あなたに合ったベストな就労継続支援A型事業所を選ぶポイントを参考に、通いたいA型事業所を探しましょう。

探す方法には、以下の3つがあります。

・インターネットで「お住まいの地域+就労継続支援A型事業所」と検索する
・市区町村の障害福祉課で、紹介してもらう
・ハローワークで紹介してもらう

希望する仕事内容ができる、通いやすい場所にあるなど、あなたの条件に合うA型事業所を見つけましょう。

 

7-2.希望する事業所を見学する

気になるA型事業所を見つけたら、問い合わせをして見学しましょう。

見学の際には、その事業所の職員や利用者の雰囲気をよく見て、通いたいと思えるかどうかを判断します。

利用を開始してから「こんなはずじゃなかった」と思わないように、給与金額や、企業などへの就職を目指している場合は一般就労への移行率なども質問して、疑問点をクリアにしておくことも重要です。

 

7-3.面接を受ける

見学したA型事業所で働きたいと思ったら、面接を受けましょう。

面接に応募するには、ハローワークの紹介状が必要なので、ハローワークの障がい者用窓口でもらいます。

面接の際に持参、もしくは事前送付するのは、以下の2点です。

・ハローワークでもらった紹介状
・履歴書

面接では簡単な自己紹介や経歴の他に、以下のことを聞かれるので、正直に伝えましょう。

・健康状態
・障がいや病気の状態、症状
・配慮してほしいことはどのようなことか
・できないことや、苦手なことはどのようなことか

 

7-4.市区町村窓口で利用申請する

A型事業所を利用するには、自治体に受給証を発行してもらう必要があるので、市区町村の障害福祉窓口で利用申請しましょう。

申請すると、以下の流れで受給証の支給が決定します。

(1)市区町村の担当職員から、生活状況などの聞き取り調査を受ける
(2)利用予定のA型事業所の職員と相談しながら、サービス等利用計画案を作成・提出する
(3)聞き取り調査結果とサービス等利用計画案を元に自治体で審査が行われ、支給が決定する

市区町村によって異なりますが、申請から支給決定までに約2か月かかるところが多いです。

事業所探しと利用申請を同時に進行めた方がスムーズな場合もあるので、利用開始を急ぐ方は、事業所に相談しましょう。

サービス等利用計画案とは、以下のような書式で、A型事業所を利用するにあたって、必要とする支援内容や目標、利用頻度などを総合的に盛り込んだ計画書のことです。

出典:杉並区公式ホームページ「サービス等利用計画・児童支援利用計画

サービス等利用計画案はA型事業所利用後も、6か月に1度以上のペースで見直すので、高い目標を掲げる必要はありませんが、この機会にあなたの課題を考えてみましょう。

 

7-5.事業所と雇用契約を結び、利用開始する

受給証支給が決定すると、事業所と雇用契約を結び、サービスを利用開始します。

新しい環境で見知らぬ人たちと慣れない仕事をするので、不安もあると思いますが、職員がサポートしてくれるので、緊張しなくても大丈夫です。

無理せず少しずつ仕事を覚えて、やりがいを感じながら、あなたの目標に近付けることを祈っています。

 

8.まとめ
就労継続支援A型事業所について、詳しくご説明させていただきました。改めて、ポイントをおさらいしていきましょう。

就労継続支援A型事業所とは、以下のような特徴があります。

・障がい者に働く場所を提供して支援する障害福祉サービスの1つ
・対象者は身体・知的・精神障がい者で一般企業での就労が困難な方
・利用期間の制限はなく雇用契約が続く限り利用可能

A型事業所での主な支援内容は、以下の3つです。

・日常生活・社会生活の自立
・仕事の技能訓練
・一般企業などへの求職活動の支援

就労継続支援A型事業所の他にも就労支援の障害福祉サービスがありますが、就労継続支援B型事業所との違いは、以下の通りです。

  就労継続支援A型事業所 就労継続支援B型事業所
雇用契約 あり なし
対象者 ・身体・知的・精神障がい者で、一般企業での就労が困難な人
・原則18歳から65歳未満で、自治体の判断によって受給証が発行された人
・就労経験があるものの、年齢や体力面で一般企業への就労が困難な人
・50歳に達している人
・障がい基礎年金1級受給者
報酬形態 給料(最低賃金以上) 工賃(最低賃金に満たない場合もある)
月平均報酬額 8万1,645円(令和3年度) 1万6,507円(令和3年度)

参考:厚生労働省「就労継続支援A型に係る報酬・基準について〈論点等〉
参考:厚生労働省「就労継続支援B型に係る報酬・基準について〈論点等〉

A型事業所を利用するメリットは、以下の5つです。

・支援を受けながら雇用契約を結んで働ける
・最低賃金が保証されている
・仕事を通して人と交流できる
・知識や技術が身に着く
・一般就労への求職支援を受けられる

一方で、以下の5つの注意点があります。

・人によっては利用料金がかかる
・短時間労働が多く給料だけでは生活できないことがある
・職員や他の利用者との関係が良くないと精神的な負担になる
・人気の事業所は利用できない場合がある
・事業所での仕事内容が就職の役に立たないことがある

A型事業所を選ぶ際には、以下の5つのポイントを参考にしてみましょう。

・あなたに合った仕事内容である
・事業所の雰囲気が良い
・給与金額に納得できる
・通いやすい場所にある
・企業などへの就職を目指すなら一般就労への移行率が高い

A型事業所を利用するまでの流れは、以下の通りです。

就労継続支援A型事業所を利用するまでの流れ
(1) A型事業所を探す
(2) 希望する事業所を見学する
(3) 面接を受ける
(4) 市区町村窓口で利用申請する
(5) 事業所と雇用契約を結び、利用開始する

この記事を元に、就労継続支援A型事業所がどのようなところなのか理解が深まり、あなたの目標に向かって一歩踏み出せることを祈っています。

この記事を書いた人

株式会社JSH|矢野 翔太郎

株式会社JSHにて障がい者雇用支援サービス「コルディアーレ農園」のスキーム開発から営業までを担当。
企業側の障がい者雇用の課題解決だけではなく、農園開設や運営にも携わることで、障がい者雇用のリアルな現場にも正対。
障がい者雇用における関連法案や海外の雇用事情についての知見もあり、セミナー等を通じて障がい者雇用に関する様々な情報発信もおこなっています。

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