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calendar_today2024/02/07

autorenew2024/02/08

障がいの種類は?わかりやすく分類するなら身体・知的・精神の3種類

「障がいは、どのような種類に分けられるのか?様々な括り方があるのでは?」
「障がいの種類ごとの特徴や、それぞれどのくらいの割合なのか把握しておきたい」

身体障がいについては目で見てわかることもありますが、それ以外の障がいはどのような種類があるのか、どのように分類されているのか、なかなかイメージすることができないですよね。

結論から申し上げると、障がいは身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者の3種類に分類して考えるのが一番わかりやすいかと思います。

※障がいの種類や種別の中に気になるものがある方は、青字下線部をクリックして、詳細記事に移動してお読みください。

【障がいの種類と分類】
種類 分類
1-1.身体障がい者 2-1.視覚障がい

2-2.聴覚・平衡機能障がい

2-3.音声機能・言語機能・そしゃく機能障がい

2-4.肢体不自由

(上肢不自由・下肢不自由、体幹機能障がい、脳原性運動機能障がい)

2-5.内部障がい

(心臓機能障がい、じん臓機能障がい、呼吸器機能障がい、ぼうこう・直腸機能障がい、小腸機能障がい、HIV免疫機能障がい、肝臓機能障がい)

1-2.知的障がい者 3-1.軽度(IQ約50~70)

3-2.中等度(IQ約36~49)

3-3.重度(IQ約20~35)

3-4.最重度(IQ約19以下)

1-3.精神障がい者 4-1.統合失調症

4-2.気分障がい

4-3.非定型精神病

4-4.てんかん

4-5.中毒精神病

4-6.器質性精神障がい

(高次脳機能障がいを含む)

4-7.発達障がい

参考:厚生労働省「障害者手帳について

この障がい者の3種類のわけ方は、障がい者全体の基本理念について言及している「障害者基本法」の障がい者の定義に基づいています。

身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの

参考:障害者基本法

この障害者基本法は、障がいは個人の心身機能が原因ではなく、障がいのない人を前提に作られた社会の仕組みが原因であり、社会全体で解決していくべきだという国際的な捉え方を反映した法律です。

そのため、物理的な原因だけではなく、社会の位置付けによる原因も含めて障がいの種類を理解した方が、スムーズな場合もあると考えられます。

障がいの種類だけ知っていても障がい者に寄り添うのは難しいので、原因も含めて理解し、適切な配慮をすることが非常に重要なのです。

そこで、この記事では、種類ごとに障がいがある部位や症状に加えて、障がいのない人がどのように解釈すればよいか、またどのような点に配慮すればいいのかについてもご紹介します。

これらについて、障がい者手帳の種類や等級を元に理解するとわかりやすいので、手帳に関する情報もご説明します。

本記事のポイント
・身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者の特徴や配慮すべきポイントがわかる

・障がい者手帳の種類別に見た等級に応じた障がいの程度がわかる

・障がいの種類を示したマークについて知ることができる

種類ごとの障がいについて理解を深めて、あなたの企業の障がい者雇用に活かせるように、ぜひ最後までお読みください。

 

【目次】
1. 障がいの種類|障害者基本法に基づくと身体・知的・精神の3種類になる
2. 種類(1)身体障がい者を理解しよう
3. 種類(2)知的障がい者を理解しよう
4. 種類(3)精神障がい者を理解しよう
5. 障がいの種類は「障がい者手帳」を見るとわかりやすい
6. マークでわかる障がいの種類
7. 障がい者雇用にお悩みなら株式会社JSHにおまかせを
8. まとめ

 


1.障がいの種類|障害者基本法に基づくと身体・知的・精神の3種類になる


冒頭でもお伝えした通り、障がい者は以下の3種類にわけられます。

・身体障がい者

・知的障がい者

・精神障がい者

それぞれの障がいの内容や、どうしてその障がいが生じるのか原因について、詳しくご紹介します。

 

1-1.身体障がい者

身体障がい者は、以下のように、どの身体機能に障がいがあるかによってわけられ、目や耳、手足などだけでなく、見た目ではわからない内部機能に障がいがある人も含みます。

身体障がい者の分類
視覚障がい

聴覚・平衡機能障がい

音声機能・言語機能・そしゃく機能障がい

肢体不自由

(上肢不自由・下肢不自由、体幹機能障がい、脳原性運動機能障がい)

内部障がい

(心臓機能障がい、じん臓機能障がい、呼吸器機能障がい、ぼうこう・直腸機能障がい、小腸機能障がい、HIV免疫機能障がい、肝臓機能障がい)

参考:厚生労働省「障害者手帳について

初めて見た方は、身体障がいにこんなにも多くの種類があって、驚きましたよね。

身体障がいの分類別原因は以下の通りで、先天的な機能不全や、後天的な疾患・交通事故など、さまざまです。

【身体障がいの分類別原因】
視覚障がい ・先天的なもの(網膜色素変性症、先天性白内障、未熟児網膜症、網膜細胞芽腫)

・後天的なもの(糖尿病による血管損傷により引き起こされる網膜症、緑内障、加齢黄斑変性、脳障がいによる大脳へのダメージ)

聴覚・平衡機能障がい ・先天的なもの(母体の妊娠期間中の風疹感染)

・後天的なもの(慢性化膿性中耳炎、老人性難聴、音響外傷、メニエール病)

音声・言語・

そしゃく機能

障がい

・無咽頭、咽頭や構音器官に障がいがある

・聴覚障がいがあるために音声言語が獲得できない失語症

・筋肉、神経の障がいや、傷病による口や咽頭の機能消失

肢体不自由 ・先天的な奇形や機能不全

・後天的な脳疾患や事故による四肢の切断

内部障がい ・心臓疾患による機能低下

・腎疾患

・呼吸器機能障がい

・尿路変更ストマや腸管ストマ造設などによる、ぼうこうや直腸機能障がい

・小腸機能障がい

・HIVによる免疫機能障がい

・肝炎、肝硬変、肝臓がんによる肝臓機能障がい

原因によって体のどこに症状が出るかが変わってくるので、身体障がいの種類は多いのです。

内閣府「障害者の状況」によると、身体障がい者の概数は436万人で、1,000人あたり34人もいる計算になります。

知的障がい者が約109万人、精神障がい者が約615万人であることと比較すると、身体障がい者の数は多く、これから接する場面もあるはずなので、理解を深める必要があります。

身体障がいの分類についてより詳しくは、2.種類(1)身体障がい者を理解しようでご紹介するので、先に知りたい方はご覧ください。

 

1-2.知的障がい者

日常生活で読み書き計算などをおこなうのが難しい知的障がい者は、以下のように、IQ(知能指数)に応じて、わけられます。

知的障がい者の分類
軽度(IQ約50~70)

中等度(IQ約36~49)

重度(IQ約20~35)

最重度(IQ約19以下)

IQの平均値は100なので、何が原因でこんなにも幅が生じるのか、気になりますよね。

知的障がいの原因は不明の場合もありますが、以下の原因があることがわかっています。

【発生時期別に見た知的障がいの原因】
出生前 ・遺伝子や染色体などの異常による内的原因

・母体の感染症や薬物の影響、外傷などによって起きる外的要因

周産期 ・酸素や循環障がいなどの出産トラブル
出生後 ・交通事故などの頭部外傷や、感染症、不適切な養育環境や虐待

原因の発生時期や要因によってIQが変わるため、知的障がいはIQに応じたわけ方をしているのです。

内閣府「障害者の状況」によると、知的障がい者の概数は109万4,000人で、1,000人あたり9人いる計算となります。

身体障がい者が約436万人、精神障がい者が約615万人であることと比較すると、知的障がい者は少ないですが、出会ったときにきちんと配慮できるように、理解を深めておくことが大切です。

知的障がいの分類についてより詳しくは、3.種類(2)知的障がい者を理解しようでご紹介するので、先に知りたい方はご覧ください。

 

1-3.精神障がい者

精神障がい者は、以下のように精神的な疾患によってわけられます。

精神障がい者の分類
統合失調症

気分障がい

非定型精神病

てんかん

中毒精神病

器質性精神障がい(高次脳機能障がいを含む)

発達障がい

聞いたことがある病名もあれば、どんな病気か想像もつかない病名もあるのではないでしょうか。

精神障がいの原因は主に以下の4つで、遺伝的なものもあれば、ストレスによるものもあります。

【精神障がいの原因】
遺伝的要因 気分障がいや統合失調症などの精神疾患は遺伝的な影響が確認されている
環境的要因 長期間の社会的な支援不足、環境汚染、不健康な生活習慣は、不安症状のリスクを高める
身体的要因 脳や内臓の疾患、外傷などによる場合がある
心理的要因 慢性的なストレスが続くと、不安症状のリスクを高める

上記以外に原因がわからない場合や、複数の原因が重なっている場合も少なくありません。

精神障がい者の概数は614万8,000人で、1,000人あたり49人と非常に多いので、これから接する機会は最も多いと考えられます。

障がいは社会全体で解決していくべきだという考え方が広まっても、未だに精神障がい者への偏見が見られることがありますが、この機会に理解を深めましょう。

精神障がいの分類についてより詳しくは、4.種類(3)精神障がい者を理解しようでご紹介するので、先に知りたい方はご覧ください。

 

2.種類(1)身体障がい者を理解しよう

3種類のうち、まずは身体障がい者からご紹介します。

身体障害者福祉法によると、身体障がい者はさらに以下の5種類に分類されます。

視覚障がい

聴覚・平衡機能障がい

音声機能・言語機能・そしゃく機能障がい

肢体不自由

(上肢不自由・下肢不自由、体幹機能障がい、脳原性運動機能障がい)

内部障がい

(心臓機能障がい、じん臓機能障がい、呼吸器機能障がい、ぼうこう・直腸機能障がい、小腸機能障がい、HIV免疫機能障がい、肝臓機能障がい)

障がいの内容や特徴と合わせて、配慮すべきことについてもご説明するので、参考にしていただければ幸いです。

 

2-1.視覚障がい

白杖を利用したり、盲導犬を連れたりしている視覚障がい者は、見え方に応じて、以下の4つに分類できます。

【視覚障がいの種類】
視力障がい ・視覚的な情報を全く得られない、またはほとんど得られない

・文字の拡大や視覚補助具等を使用すれば保有する視力を活用できる

視野障がい ・見える範囲が狭くなったり、一部が欠けたりする

・球心性視野狭窄(中心しか見えない)

・中心暗転(周囲はぼんやり見えるが、中心が見えない)

色覚障がい ・緑と赤が区別しにくいなど、特定の色が見えにくい
光覚障がい ・夜や暗いところでは何も見えない

・光を眩しい、痛いと感じる

これらの障がいによって、以下の2つの状態にわけられ、まったく見えない人もいれば、日常生活に制限を受ける見え方をしている人もいます。

【視覚障がいの状態】
明暗の区別はつく、目の前の指の数程度ならわかるなどの程度がある
弱視 ・視力が低い

・見える範囲が狭い

・明るいところでは見えても暗いところでは見えにくい、など

視覚障がい者への配慮ポイントは、以下の通りです。

視覚障がい者への配慮ポイント
視力がほとんどない ・点字のディスプレイがついたパソコンや、音声読み上げソフトなどをレンタルする

・障害者作業施設設置等助成金を活用し、購入を検討する

・歩行中につまずきやすいため、通路には何も置かない

・裁断機など危険なものがある場所を予め伝える

保有する視力を活用できる ・視覚障がい者用パソコン画面の拡大ソフトや、拡大読書器などの視覚補助具等をレンタルする

・障害者作業施設設置等助成金を活用し、購入を検討する

・歩行中につまずきやすいため、通路には何も置かない

・裁断機など危険なものがある場所を予め伝える

近いところが見えない、部分的に見えない ・歩行中につまずきやすいため、通路には何も置かない

・裁断機など危険なものがある場所を予め伝える

特定の色が見えにくい ・見やすい色に変える

・文字で情報を補足する

暗いところで見えにくい ・座席の配置や照明の位置を変える
光を眩しい、痛いと感じる ・座席の配置や照明の位置を変える

・サングラスの着用を認める

話し掛ける際にはまず名乗り、物の説明は大きさや色を踏まえて、状況の説明は「あっち」や「こっち」ではなく、実際の方向などを具体的に伝えましょう。

上記の配慮ポイントは一例のため、視覚障がい者とコミュニケーションを取って、よりよい職場環境になるように、できることから配慮することが大切です。

 

2-2.聴覚または平衡機能の障がい

聴覚障がいと平衡機能の障がいについて、ご紹介します。

まず、聴覚障がいの種類は、原因となる病変が聴覚組織のどこで起こっているかによって、以下の3つにわけられます。

【聴覚障がいの種類】
伝音性難聴 ・外耳から中耳にかけての障がいによる難聴

(補聴器の活用などで会話できることが多い)

混合性難聴 伝音性と感音性両方の原因による難聴
感音性難聴 ・内耳から聴神経、脳の障がいによる難聴

(音が歪んで聞こえるため、大声で話されると余計に言葉が認識できなくなる)

特に感音性難聴は、話し掛ける声を大きくすれば聞き取りやすくなるというものではないことに注意しましょう。

聞こえる程度は以下のようにわかれていて、聴覚情報を補うために、補聴器を活用する他、聴導犬を連れている人もいます。

【聴覚障がいの程度】
軽度 紙に鉛筆で文字を書く音や、静かな会話などが聞こえにくい
中度 普段の会話が聞こえにくい
高度 大きな声でも聞こえにくい
ろう 耳元の大きな声でも聞こえにくい、日常会話が聞こえない

聴覚障がい者には以下の3つのアイデンティティがあり、最適なコミュニケーション手段は異なります。

【聴覚障がいのアイデンティティ】
ろう者 ・先天性の障がいなどによって、音声言語を習得する前に聴覚障がいを負っている

・手話をメインに利用する

中途失聴者 ・音声言語を習得した後、後天性の障がいで聴覚障がいを負った

・手話、読唇、筆談、パソコンやスマホのチャット機能などを組み合わせて利用する

難聴者 障がいの発覚時期や程度に関わらず、手話や筆談ではなく、残存する聴覚を使ったコミュニケーションを望むことがある

その人がどのようなコミュニケーション手段を望んでいるかに合わせることが大切です。

次に、平衡機能障がいについてです。

平衡機能障がいの症状は、以下の通りです。

【平衡機能障がいの症状】
・頭や足元がふらつく、めまいや不快感を感じる

・話しにくい、飲み込みにくい

以下のように、通常、人間は目からの情報、両耳の内耳感覚、足底の感覚が脳に伝えられ、脳神経でそれらの情報を統合して、再び体の動きを調整する指令を下して、体のバランスを保っています。

しかし、耳の疾患や脳神経疾患などによって指令がうまく下せなくなると、平衡機能障がいが起こるのです。

人によってふらつきや不快感の程度はそれぞれなので、その人の症状についてよく聞くことが大切です。

聴覚または平衡機能障がい者への配慮ポイントは、以下の通りです。

聴覚または平衡機能障がい者への配慮ポイント
感音性難聴の場合 ・むやみに大声で話し掛けない

・電話対応をなくす

補聴器を利用している場合 ・できるだけゆっくりと一言一言を明瞭に話す

・複数の人が会話するときは、発言者が手を上げてから話し始める

・資料やマスクなどで顔が隠れないようにする

・電話対応をなくす

片側の聴力だけ極度に低い場合 ・聞こえが良い方に移動して話し掛ける
平衡機能障がいがある場合 ・脚立の上など高所作業、人混みを歩くことは、転倒・転落の原因となるため避ける

障がいの程度や感じ方は人によって異なるため、相手に合わせて配慮することを心がけましょう。

 

2-3.音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障がい

音声機能・言語機能の障がいと、そしゃく機能の障がいについて、ご紹介します。

まず、音声機能・言語機能の障がいについてです。

音声機能・言語機能の障がい具体例は以下の通りで、先天性のものも含まれます。

【音声機能・言語機能の障がいの具体例】
喪失 【音声機能】

・もともと咽頭がなくて声が出せない

・事故で咽頭部に外傷を負う、がんによって咽頭を摘出するなどして、声が出せなくなった

 

【言語機能】

・生まれつき耳が聞こえなくて音声による言語を利用できない

・脳梗塞、脳内出血などの脳血管障がい、交通事故などの脳外傷による失語症で、言語機能が使えなくなった

障がい ・音声機能や言語機能を完全に喪失していないが、話す・聞く・読む・書くことに影響がある

音声機能・言語機能の障がいとは、がんなどで以下の咽頭を摘出し、音声を発することができなかったり、声は出せても言語として通用する状態ではなかったりする障がいです。

音声機能・言語機能の障がいを負うと、音声や言語のみを用いた意志の疎通が困難になります。

言語機能の障がいでは、話す・聞く・読む・書くことに影響が出るため、会話中にわかったふりをするのではなく、その都度聞き返して確認するようにしましょう。

次に、そしゃく機能の障がいについてです。

そしゃく機能の障がいの具体例は、以下の通りです。

【そしゃく機能の障がいの具体例】
喪失 ・重症筋無力症等の神経・筋疾患で、そしゃくできない

・延髄機能障がい、末梢神経障がいによって、そしゃくできない

・外傷、腫瘍切除等の顎(顎関節を含む)、口腔(舌、口唇、口蓋、頬、そしゃく筋等)、咽頭、咽頭の欠損等によって、そしゃくできない

障がい ・上記に加えて、口唇、口蓋裂等の先天異常の後遺症による咬合異常によって、そしゃくが難しい

そしゃく機能とは、食べ物を口から摂取するために欠かせない機能です。

障がいがあると、経管栄養(口腔、鼻腔、胃瘻より胃の中にチューブを挿入して流動食を注入する栄養補給方法)や、ゼリー状のものしか食べられないなどの制限があります。

音声機能・言語機能、またはそしゃく機能の障がい者への配慮ポイントは、以下の通りです。

音声機能、言語機能またはそしゃく機能障がい者への配慮ポイント
音声機能、言語機能の障がい ・筆談やパソコンやスマホのチャット機能を利用する

・大きくゆっくりと話し掛ける

・その都度聞き返し対応をする

・電話対応をなくす

そしゃく機能の障がい ・定期通院を許可する

・経管栄養摂取の時間とスペースを確保する

・飲み会など職場交流の機会は、障がい者も楽しめるように配慮する

上記は一例なので、その人がコミュニケーションを取りやすい方法を取り入れるようにしましょう。

 

2-4.肢体不自由

肢体不自由とは、手や足などの体の一部、もしくは全部に障がいがある状態のことで、以下の3種類があります。

【肢体不自由の種類】
上肢不自由・下肢不自由 ・全廃:機能をなくしたもの、欠損(切断)は機能全廃と同じ扱いになる

・著障:機能の著しい障がい

・軽障:機能の軽度の障がい

体幹不自由 脊髄損傷による体幹筋麻痺など、体幹(頸部・胸部・腹部・腰部)の運動および体位保持に関する機能障がいがある
脳原性運動機能障がい 脳性麻痺など、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障がいによるもの

参考:岡山市「それぞれの機能障害についての細かいこと各論その2(肢体不自由)

肢体不自由の障がい者は、車椅子を利用している場合が多く、以下のような日常生活の動作が困難な状態です。

・立つ

・歩く

・座る

・食事する

・着替える

・物を持ち運ぶ

・字を書く

肢体不自由の障がい者への配慮ポイントは、以下の通りです。

肢体不自由の障がい者への配慮ポイント
・車椅子が通れる十分な通路スペースを確保する

・入口や室内の段差をなくし、バリアフリーにする

・車椅子に座ったまま仕事ができるように、机の高さを調節する

・棚の上の物や、床面の物を取るのが難しいので、必要な物は手が届く範囲に置く

・一定の体温を維持するのが難しい場合、冷暖房が適温かどうか確認する

企業の担当者の方は、肢体不自由の障がい者の立場になって職場環境を見直すようにしましょう。

 

2-5.内部障がい

内部障がいとは、見た目では分からない体の内部に障がいがある状態のことで、以下の7種類があります。

【内部障がいの種類】
心臓機能障がい ・不整脈、狭心症、心筋症などにより心臓機能が低下する

・作業負荷が大きいと、倦怠感、呼吸困難、手足のむくみ、嘔吐、圧迫感などを感じることがある

・機能を正常化するため、ペースメーカーや人工弁による治療が必要になることもある

じん臓機能障がい ・じん臓機能低下により老廃物を排泄できなくなり、不必要な物質や有害な物質が体内に蓄積する

・症状が進行すると、定期的な人工透析が必要になる

呼吸器機能障がい ・肺機能が低下する

・風邪や肺炎を起こしやすい

ぼうこうまたは直腸の

機能障がい

・事故や脳障がいによってぼうこう、直腸が機能低下する

・残尿感、頻尿、尿失禁、尿意切迫感、排便困難、便失禁などが起こる

・排泄物を体外に排泄するための人工肛門や人工ぼうこう(ストマ)を造設することがある

小腸機能障がい ・小腸機能が損なわれ、食事での栄養維持が困難である

・食事制限があり、定期的に経管栄養を行う

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

による免疫機能障がい

・HIVによって免疫機能が低下する

・発熱や下痢、体重の低下、全身の倦怠感といった症状が出ることがある

・感染症が起こりやすくなったり、脳や神経の障がいを負う

肝臓機能障がい ・肝臓機能の低下によって、栄養分を体内で分解したり、有害な物質を無害な物質に変化させたりするのに支障が出る

・自覚症状が出るころには、非常に悪化していることが多い

症状が進行すると、疲れやすくなったり、就業時間中の通院が必要になったりします。

内部機能障がい者への配慮ポイントは、以下の通りです。

内部機能障がい者への配慮ポイント
心臓機能障がい ・作業負荷は体力に応じて配慮し、過労状態にならないようにする

・ペースメーカーを装着している場合、高エネルギーの電磁波を出す機械に近づかないように気を付ける

じん臓機能障がい ・刺激ガス、冷気、乾燥した環境を避ける

・冷房の風が直接当たらない席を確保する

・タバコの煙が当たらないようにする

呼吸器機能障がい ・疲れやすいことを理解する

・人工透析は1回半日ほどの時間が必要となるので、勤務時間や勤務形態を柔軟に対応できるようにする

ぼうこうまたは直腸の

機能障がい

・トイレの回数が多かったり、失敗があったりしても、障がいによるものだと理解する

・トイレに行きやすい席を確保する

小腸機能障がい ・経管栄養が必要な場合は、時間とスペースを確保する

・飲み会など職場交流の機会は、障がい者も楽しめるように配慮する

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

による免疫機能障がい

・HIVは日常生活では感染しないことを理解する

・症状に応じて休憩したり、早退できるように配慮する

肝臓機能障がい ・自覚症状が出るころには非常に悪化していることが多いため、症状に応じて休憩したり、早退できるように配慮する

見た目ではわからない障がいだからこそ、よくコミュニケーションを取って、通院状況や症状、必要とする配慮について聞き、できることから始めることが大切です。

 

3.種類(2)知的障がい者を理解しよう

続いて知的障がい者について、ご紹介します。

知的障がいは個人差が大きいため、知的障害者福祉法では以下のように定義されているだけで、細かい規定は設けられていません。

【日常生活で読み書き計算などを行う際の知的行動に支障がある状態のこと】

・発達期(おおむね18歳未満)において(知的行動に)遅滞が生じること

・(知的行動に)遅滞が明らかであること

・(知的行動の)遅滞により適応行動が困難であること

参考:知的障害者福祉法

知的障がいは、知的能力を表すIQ(知能指数)によって、以下のように重症度が分類されます。

【知的障がいの重症度分類】
軽度 約50~70
中等度 約36~49
重度 約20~35
最重度 約19以下

※専門機関によってIQの基準は異なります。

それぞれどの程度の障がいで、どのようなことに配慮すればいいのか、詳しくご紹介します。

 

3-1.軽度

IQが約50~70の軽度知的障がいの場合、以下のように言語によるコミュニケーションや一般的な日常生活が可能です。

【軽度知的障がいの特徴】
生活面 ・読み書きや金銭などの概念は、支援があれば理解できる

・買い物や家事なども1人でできる

コミュニケーション ・パターン化されている

・細かい部分や、抽象的な理解が難しいことが多い

苦手なこと ・記憶、計画、感情のコントロール

軽度知的障がい者は周囲から気付かれにくいため、配慮を忘れがちになりますが、細かい部分や抽象的な理解は難しくなります。

配慮ポイントは、以下の通りです。

軽度知的障がい者への配慮ポイント
・イラストや写真なども使って説明する

・一度では理解するのが難しいことは、何度か繰り返して覚えてもらう

・仕事の手順を1つずつ分解して、少しずつ教える

・製造加工、卸売小売、清掃などの仕事を割り当てる

より具体的に伝えることで仕事の手順や方法を理解できるので、着実にに取り組んでくれることでしょう。

 

3-2.中等度

IQが約36~49の中等度知的障がいの場合、以下のように継続的な支援が必要になります。

【中等度知的障がいの特徴】
生活面 ・読み書きや金銭などの概念の理解度は、小学生レベル(常に支援が必要)

・買い物や家事などが1人でできるようになるまで、長い時間が必要

コミュニケーション ・単純なコミュニケーションであればできる
苦手なこと ・判断、意思決定(支援が必要)

人と簡単なコミュニケーションを取ったり、単純な仕事に従事したりすることができますが、完全に自立するのは難しいため、サポート担当者の支援が必要です。

配慮ポイントは、以下の通りです。

中等度知的障がい者への配慮ポイント
・根気強く繰り返し何度も教えて、仕事を覚えてもらう

・サポート担当者が常に支援できる環境を整える

・製造加工などのルーティンワークを割り当てる

困ったときにすぐに支援できるように、サポート担当者を配置することで、活動的に仕事に取り組んでくれることでしょう。

 

3-3.重度

IQが約20~35の重度知的障がいの場合、身の回りのことについても支援が必要です。

【重度知的障がいの特徴】
生活面 ・読み書きや金銭などの概念は、理解するのが難しい(常に支援が必要)

・食事や身支度、入浴などの行動も難しい(常に支援が必要)

コミュニケーション ・身振りや、単語・句を区切った単純なコミュニケーションであればできる

重度知的障がい者は、読み書きや金銭などの概念を理解するのが難しいだけでなく、身の回りのことについても広範囲な支援が必要になります。

配慮ポイントは、以下の通りです。

重度知的障がい者への配慮ポイント
・顕著な運動障がいや、中枢神経系(脳や脊髄)の障がいを併発している場合が多いことを理解する

・その人と相談したり、移行支援の担当者のアドバイスをもらったりして、仕事を割り当てる

就業中も身の回りのことの支援が必要になるため、一般企業ではなく、就労継続支援事業所で働く場合も少なくありません。

 

3-4.最重度

IQが約19以下の最重度知的障がいの場合、日常生活のすべての面において、支援が必要になります。

【最重度知的障がいの特徴】
生活面 ・認識できるのは、目の前にある物理的なものに限る(常に支援が必要)

・食事や身支度、入浴などの行動は他者の支援がないと難しい(常に支援が必要)

コミュニケーション ・身振りや、単語・句を区切ったコミュニケーションでも理解が難しい

配慮ポイントは、以下の通りです。

最重度知的障がい者への配慮ポイント
・身振りや絵、カードなど、その人に合った手段でコミュニケーションを取る

一般企業では、担当者が支援に付きっきりになるのは難しいため、最重度知的障がい者の中でも就労意欲が高い人は、就労継続支援事業所を利用することが多いです。

 

4.種類(3)精神障がい者を理解しよう

最後に精神障がい者について、ご紹介します。

内閣府「障害者の状況」によると、1,000人あたり49人は精神障がいがあると考えられるほど、精神障がい者は身近な存在です。

精神障がい者は、以下のように分類できます。

統合失調症

気分障がい

非定型精神病

てんかん

中毒精神病

器質性精神障がい(高次脳機能障がいを含む)

発達障がい

それぞれの症状や配慮ポイントについてご紹介するので、参考にしてみましょう。

 

4-1.統合失調症

統合失調症とは、幻覚や妄想などといった生活しづらくなる症状が現れる病気で、症状は以下の通りです。

【統合失調症の症状】
陽性症状 ・自分の悪口やうわさ、指図する声などの幻聴が聞こえる

・明らかに誤った内容を信じ込んで、周りの訂正を受け入れられない

・誰かに嫌がらせをされているという被害妄想にとりつかれる

・周囲のことが何でも自分に関係しているように思ってしまう

陰性症状 ・意欲が低下し、趣味や楽しみにしていたことも興味を示さなくなる

・疲れやすくて集中力が保てず、人付き合いを避けて引きこもりがちになる

・入浴や着替えなど、生活に保つことが苦手になる

このような症状が現れると、考えがまとまりにくく何が言いたいのかわからなくなったり、相手の話の内容が掴めず周囲に合わせることができなくなったりします。

原因はよくわかっていませんが、100人に1人弱がかかるといわれています。

配慮ポイントは、以下の通りです。

統合失調症の精神障がい者への配慮ポイント
・社会との接点を保つことも治療につながるため、病気を理解して、仕事に就くことを見守るようにする

・ストレスや環境の変化に弱いため、その人にストレスがかかりにくい環境で、同じ仕事内容を続けられるようにする

・一度に多くの情報が入ると混乱するので、伝える情報は整理してから紙にまとめるなどして、ゆっくり具体的に伝える

・症状が強いときは無理をさせず、休憩したり、速やかに主治医を受診するように促したりする

統合失調症の人に対して「やる気がない」「目も合わせない」などと思うのではなく、病気を理解して、適切な配慮をするようにしましょう。

 

4-2.気分障がい

気分障がいとは、主に気分の波が現れる病気のことで、症状は以下の通りです。

【気分障がいの症状】
うつ状態 ・気分が強く落ち込む

・何事にもやる気が出ない

・疲れやすい

・考えが働かない

・自分が価値のない人間のように思える

・死ぬことばかり考えてしまい、実行に移そうとする

躁状態 ・気持ちが過剰に高揚する

・普段ならあり得ないような浪費をする

・ほとんど眠らずに働き続ける

・ちょっとしたことにも敏感に反応し、他人に怒りっぽくなる

・自分は何でもできると思い込んで、人の話を聞かなくなる

うつ状態のみがある場合はうつ病と呼び、うつ状態と躁状態を繰り返す場合は双極性障がいと呼びます。

配慮ポイントは、以下の通りです。

気分障がいの精神障がい者への配慮ポイント
・うつ状態のときは無理をさせず、休憩したり、早退できるようにする

・躁状態のときは、安全管理に気を付ける

・自分を傷つけたり、自殺などを疑わせる言動があった場合は、本人の安全に配慮した上で、すぐに専門家に相談するように本人や家族に伝える

薬物療法を継続することで症状は改善するので、症状が見られる際には無理をさせず、安全面に配慮することが大切です。

 

4-3.非定型精神病

非定型精神病とは、ストレスによって急に発症して、統合失調症や気分障がいのような症状が出るものの、比較的短期間で症状が治まる病気のことで、以下のような症状が見られます。

【非定型精神病の症状】
初期 ・不眠・不安などの状態が続く

・躁状態から急にうつ状態になることが多い

症状が進むと ・幻聴か聞こえる

・突然意識が混とんする

・夢の中にいるような状態になる

配慮ポイントは、以下の通りです。

非定型精神病の精神障がい者への配慮ポイント
・ストレスが原因のため、その人にストレスがかかりにくい環境で、同じ仕事内容を続けられるようにする

・症状が短い間隔で変動しやすいため、様子を見守る

・比較的短期間で寛解状態に至るので、症状が出ているときは無理させず、休憩や早退できるようにする

病気を理解し、早く症状が落ち着くように、できるだけストレスがかかりにくい職場作りをサポートすることが大切です。

 

4-4.てんかん

てんかんとは、何らかの原因で一時的に脳の一部が過剰に興奮することによって発作が起きる病気で、以下のような症状が見られます。

【てんかんの発作で見られる症状】
・けいれんを伴う

・突然意識を失う

・意識はあるが、認知の変化を伴う

ただし、発作が起こっていないほとんどの時間は、普通の生活が可能です。

配慮ポイントは、以下の通りです。

てんかんの精神障がい者への配慮ポイント
・発作がコントロールされている場合は、過剰に制限しない

・発作が起こる可能性がある場合は、高所作業や刃物を使った作業は避ける

・発作が起こってしまった場合は、本人の安全を確保した上で、専門機関に相談する

てんかんのある人のうち70~80%は内服治療で発作をコントロールしているので、まずはコントロール状況を聞きましょう。

 

4-5.中毒精神病

中毒精神病とは、アルコールや、睡眠薬、シンナーといった薬物などを誤って、もしくは危険性を知りながら大量に体内に摂取したために起こる精神障がいのことです。

症状のような症状が見られます。

【中毒精神病の症状】
・意識障がい

・躁うつ状態

・幻覚・妄想状態

摂取を繰り返さないと満足できない状態になって、自分の力では止められなくなると依存症になり、家庭生活や社会生活に悪影響が出ることも少なくありません。

配慮ポイントは、以下の通りです。

中毒精神病・依存症の精神障がい者への配慮ポイント
・本人に病気だという意識がない場合があるため、専門機関への受診をすすめる

・他者から非難されると、現実から逃れるためにいっそうアルコールや薬物に依存するようになるため、こちらからはアドバイスしない

・一度おさまっても、再度発症する場合があるため、根気強く見守る

治療や助言については専門機関に任せて、相手のことを決して非難せず、根気強く見守ることが大切です。

 

4-6.器質性精神障がい

器質性精神障がいとは、病気や事故などによって脳が損傷することによって起こる精神障がいで、症状は以下の通りです。

【器質性精神障がいの症状】
記憶障がい ・すぐに忘れる

・新しい出来事を覚えられない

・何度も同じことを繰り返し質問する

注意障がい ・集中力が続かない

・ぼんやりしてしまい、ミスが多い

遂行機能障がい ・自分で計画を立てて物事を実行できない

・効率良く順序立てできない

社会的行動障がい ・ささいなことでイライラして興奮する

・こだわりが強く現れる

・ほしいものを我慢できない

・思い通りにならないと大声を出す、ときに暴力をふるう

病識欠如 ・上記のようなトラブルがあることに気付かず、できるつもりで行動してトラブルになる

上記の症状に加えて、会話や読み書きの能力が低下する失語症や、運動障がい、感覚障がいなどを伴う場合もあります。

器質性精神障がいには高次脳機能障がいも含み、身体には障がいが残らないことが多く、外見ではわかりにくいため、「見えない障がい」と言われています。

症状に合わせた配慮ポイントは、以下の通りです。

器質性精神障がい者への配慮ポイント
記憶障がい ・手がかりがあると思い出しやすいので、手帳やメモ、アラームを利用してもらう

・器質性精神障がい発症前の知識や経験を活かす

注意障がい ・短時間なら集中できる場合があるので、こまめに休憩時間を設ける

・ミスを防げるように、順番を決めて仕事に取り組んでもらう

遂行機能障がい ・手順を書いた紙を目に付くところに掲示する

・スケジュール表を見ながら行動してもらったり、チェックリストを利用する

社会的行動障がい ・感情をコントロールできないときは、話題や場所を変える

・事前に話し合ってルールを決めておく

 その人に合わせて配慮すれば、トラブルが起こりにくくなるでしょう。

 

4-7.発達障がい

発達障がいとは、明らかな知的障がいはないのに、生まれつきの脳機能の障がいによって非定型の発達が見られることをいいます。

発達障がいには以下の種類があり、複数の特性を併せ持っている人も少なくありません。

【発達障がいの種類】
自閉症、アスペルガー症候群を含む広範性発達障がい

(自閉症スペクトラム)

・相手の表情や態度よりも、文字や図形、物の方への関心が強い

・空気が読めないことが多く、人の気持ちを組み取るのが苦手

・見通しが立たない状況では不安が強いが、見通しが立つときはきっちりしている

・感覚刺激に対して過敏すぎたり、鈍感すぎたりする

学習障がい

(限局性学習障がい)

・話すことや理解はできるのに、「読む」「書く」「計算」が極端に苦手
注意欠如多動性障がい ・忘れ物やミスが多い

・片付けや掃除が苦手

・ぼんやりしていることが多い

・衝動的に行動することが多い

・思い付いたことをそのまま話してしまう

その他 ・体の動かし方が不器用(発達性協調運動障がい)

・我慢していても声が出たり、体が動いてしまったりする(チック)

・スムーズに言葉が出てこない(吃音)

症状に合わせた配慮ポイントは、以下の通りです。

発達障がい者への配慮ポイント
自閉症、アスペルガー症候群を含む

広汎性発達障がい

(自閉症スペクトラム)

・具体的かつ視覚的な伝え方を工夫する

・その人の興味関心に合わせて、図やイラストを使って説明する

・見通しが立つように、手順を示したり、モデルを見せたりする(新しく挑戦する部分は少しずつにする)

・感覚過敏がある場合、周囲の音を遮断できるようにイヤーマフの活用、ついたてで区切るなどの配慮をおこなう

学習障がい

(限局性学習障がい)

・得意な部分を使って情報を理解、表現できるようにする

・苦手な部分については、柔軟に対応する

注意欠如多動性障がい ・伝えるときは、短くはっきりと言う

・気の散りにくい座席位置にする

・ルールをわかりやすく書いて掲示する

その他 ・発達障がいによる症状を叱ったり、笑ったりしない

・すぐにできないことがあっても見守りながら待つ

・苦手なことに無理に取り組むのではなく、できることで活躍できる環境を作る

苦手なことに無理に取り組ませるのではなく、できることで活躍できる職場環境作りをしていきましょう。

 

5.障がいの種類は「障がい者手帳」を見るとわかりやすい

3種類それぞれの障がいの内容や配慮すべきポイントがわかったところで、目の前にいる人の障がいの種類を知りたいときは、障がい者手帳の種類と等級を見せてもらうとわかりやすいです。

もちろん初対面の人に見せてもらうということは考えにくいですが、企業の方にとっては、手帳に書かれている等級はどの程度の障がいに該当するのか、知っておくといいですよ。

そこで、それぞれの手帳の等級に応じた障がいの程度や、交付者数について詳しくご紹介します。

身体障害者手帳 1級~6級(1級が最も重い)
療育手帳 A(重度・最重度)・B(軽度・中等度)
精神障害者保健福祉手帳 1級~3級(1級が最も重い)

障がい者雇用を進める上で、知っておきたい情報なので、ぜひ参考にしてみましょう。

 

5-1.身体障害者手帳:身体障がい者の基本情報を確認できる

身体障がい者が所持する身体障害者手帳は、1級から6級まで(7級もあるが、7級の場合は交付されない)の等級となっています。

他の手帳と比べて等級が細かくわかれているのは、障がいごとに細かい基準が定められた障がいの程度に合わせて等級が決められているからです。

視覚障がいの場合は、以下の通りです。

【視覚障がいの等級と障がいの程度】
等級 障がいの程度
1級 両眼の視力の和が0.01以下
2級 (1)両眼の視力の和が0.02以上0.04以下

(2)両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上

3級 (1)両眼の視力の和が0.05以上0.08以下

(2)両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が90%以上

4級 (1)両眼の視力の和が0.09以上0.12以下

(2)両眼の視野がそれぞれ10度以内

5級 (1)両眼の視力の和が0.13以上0.2以下

(2)両眼による視野の2分の1以上が欠けている

6級 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので、両眼の視力の和が0.2を超える

参考:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表

視覚障がいを含めた身体障害者手帳の等級と障がいの程度については、「身体障害手帳 等級 」で詳しくご紹介しているので、ぜひご覧ください。

厚生労働省「令和3年度福祉行政報告例」によると、身体障害者手帳の交付者数は491万98人で、障がいの種類別では以下の通りです。

【身体障害手帳の種類別に見た交付者数】
種類 交付者数
視覚障がい 32万2,310人
聴覚・平衡機能障がい 44万3,013人
音声・言語・そしゃく機能障がい 5万9,240人
肢体不自由 246万2,523人
内部障がい 162万3,012人

参考:厚生労働省「身体障害者手帳交付台帳登載数、障害の種類×年度別

障がいの種類別に見ると、肢体不自由内部障がいの人が非常にが多いことがわかります。

スロープや専用トイレなど、バリアフリー対応ができる企業は、障がい者雇用を進める際には、肢体不自由の人の雇用を検討してみましょう。

 

5-2.療育手帳:知的障がい者の基本情報を確認できる

知的障がい者が所持する療育手帳の等級は、基本的には、AとBの二段階です。

以下のように、IQに応じて等級がわけられます。

【療育手帳の等級と障がいの程度】
等級 障がいの程度 交付者数
A 重度(約20~35)・最重度(約19以下)

(1)IQが概ね35以下で、次のいずれかに該当する

・食事、着脱衣、排便、洗面などの日常生活の介助を必要とする

・異食、興奮などの問題行動がある

(2)IQが概ね50以下で、盲、ろうあ、肢体不自由などがある

42万8,890人
B 軽度(約50~70)・中等度(約36~49) 78万4,173人

参考:厚生労働省「療育手帳制度の概要
※自治体によっては、さらに細かく区分している場合もあります。

等級は、心理判定員が本人や保護者から聞いた生育歴や日常生活での知的発達の状態と知能検査から診断し、精神科医などとの協議で総合判定します。(18歳未満と18歳以上で異なる場合があります。)

厚生労働省「令和3年度福祉行政報告例」によると、療育手帳の交付者数は121万3,063人ですが、上記にあるように、約80万人がB等級となっています。

Aの知的障がい者は就労継続支援事業所で働くことが多いため、一般企業で雇用する知的障がい者は、交付者数も多いB(軽度~中等度)の人になる可能性が高いでしょう。

 

5-3.精神障害者保健福祉手帳:精神障がい者の基本情報を確認できる

精神障がい者が所持する精神障害者保健福祉手帳の等級は、1級から3級までの3段階で、1級が最も重くなっています。

以下のように、等級に合わせて障がいの程度が決められています。

【精神障害者保健福祉手帳の等級と障がいの程度】
等級 障がいの程度 交付者数
1級 精神障がいによって、周囲の人の援助がなければ、自力では生活をほとんど送ることができない

(例)

・外出が付き添いが必要である

・食事の準備や片付けが一人ではできない

・金銭管理が難しい

13万2,163人
2級 精神障がいによって、必ずしも周囲の人の援助が必要ではないが、日常生活は困難である

(例)

・付き添いなしで外出できるが、ストレスがかかる出来事が起こると、一人で対処できない

・自発的かつ適切に清潔さを保持するのが難しい

・日常生活で適切な発言ができないことがある

74万3,152人
3級 精神障がいによって、社会生活に一定の制限かかかる、もしくは制限をかける必要がある

(例)

・日常的な家事はできるが、状況や手順が変わると、対応できないことがある

38万8,145人

参考:厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について
参考:厚生労働省「令和3年度衛生行政報告例

等級は、精神保健福祉センターで、精神障がいによって「どのような症状が出て、どの程度の支障をきたすのか」を基準に判定されます。

厚生労働省「令和3年度衛生行政報告例」によると、精神障害者保険福祉手帳の交付者数は126万3,460人で、上記にあるように、2級交付者の割合が多くなっています。

一般企業では、2~3級の精神障がい者や、精神障害者保健福祉手帳は所持していないものの、精神障がいを抱える人を雇用する機会が多いでしょう。

 
6.マークでわかる障がいの種類

手帳の等級を見れば障がいの程度はわかります。しかし、その人が障がい者手帳を所持しているかどうかはすぐにはわかりません。

そこで、見ただけで障がいの種類を知ることができる、以下の6つのマークをご紹介します。

障がい者のための国際シンボルマーク すべての障がい者
身体障がい者標識

(身体障がい者マーク)

肢体不自由の人
盲人のための国際シンボルマーク 視覚障がいがある人
聴覚障がい者標識

(聴覚障がい者マーク)

聴覚障がいがある人
ハート・プラスマーク 内部障がいがある人
ヘルプマーク 内部障がい者をはじめ、外見ではわからなくても、

援助や配慮を必要としている人

障がい者に寄り添う姿勢を示すマークも合わせてご紹介するので、ぜひ参考にしてみましょう。

 

6-1.障がい者のための国際シンボルマーク

障がい者のための国際シンボルマークとは、車椅子を利用する障がい者だけではなく、すべての障がい者が利用できる世界共通のシンボルマークです。

個人の車に付いている場合、障がい者が乗車していることを周囲に知らせています。障がい者だからといって、道路交通法上の規制を免れるなどの法的効力はありません。

建物や施設に付いている場合、障がい者が利用できる施設であることを示しています。

出典:内閣府「障害者に関係するマークの一例

障がい者のための国際シンボルマークを見かけた際には、何か手伝えることがないか気にかけましょう。

 

6-2.身体障がい者標識(身体障がい者マーク)

身体障がい者標識(身体障がい者マーク)は、肢体不自由であることを理由に、免許に条件がある方が運転する車に表示するマーク(努力義務)です。

このマークを付けた車に幅寄せや割り込みを行った運転者は、危険防止のため、やむを得ない場合を除いて、道路交通法によって罰せられます。

出典:内閣府「障害者に関係するマークの一例

肢体不自由の人の運転を妨げないように、身体障がい者標識(身体障がい者マーク)を見たら、思いやりのある運転を心がけましょう。

 

6-3.盲人のための国際シンボルマーク

盲人のための国際シンボルマークは、視覚障がいがある人への配慮した対応ができる設備(信号機など)や機器についている世界共通のマークです。

視覚障がい者が身に着けているマークではありませんが、このマークのそばには視覚障がい者がいる場合があるので、配慮しましょう。

出典:内閣府「障害者に関係するマークの一例

以下のように、白杖を頭上50㎝y程度に掲げている場合は「白杖SOSシグナル」なので、進んで声掛けするようにしましょう。

出典:内閣府「障害者に関係するマークの一例

 

6-4.聴覚障がい者標識(聴覚障がい者マーク)

聴覚障がい者標識(聴覚障がい者マーク)は、聴覚障がいがあることを理由に免許に条件がある人が運転する車にマークを表示することが義務付けられています。

このマークを付けた車に幅寄せや割り込みを行った運転者は、危険防止のため、やむを得ない場合を除いて、道路交通法によって罰せられます。

出典:内閣府「障害者に関係するマークの一例

聴覚障がい者が安心して運転できるように、聴覚障がい者標識(聴覚障がい者マーク)を見たら、思いやりのある運転を心がけましょう。

 

6-5.ハート・プラスマーク

ハート・プラスマークは、見た目ではわかりませんが、心臓機能や呼吸器機能といった内部障がいがある人が着用しています。

出典:内閣府「障害者に関係するマークの一例

内部障がい者は「電車などの優先席に座りたい」「障がい者用駐車スペースに停めたい」といったことを希望している場合があるので、このマークを見たら配慮を心がけましょう。

 

6-6.ヘルプマーク

ヘルプマークは、内部障がいがある人をはじめとする、以下のような外見ではわからなくても、援助や配慮を必要としている人が身に着けられるマークです。

・義足の人

・人工関節を使用している人

・難病の人

・妊娠初期の人

出典:内閣府「障害者に関係するマークの一例

ヘルプマークを身に着けた人を見かけたら、席をゆずる、声を掛けるなどの、思いやりのある行動を心がけましょう。

ヘルプマークを身に着けられる対象者について詳しくは、「ヘルプマークの対象は?支援・配慮が必要で希望する全ての人が貰える」でご紹介しているので、ぜひご覧ください。

 

7.障がい者雇用にお悩みなら株式会社JSHにおまかせを

障がい者は3種類にわけて考えられるとしても、その内容や程度は人それぞれ異なるため、一人ひとりの適性を踏まえて職場環境を整えたり、任せる仕事を選んだりすることが大切です。

しかし、「障がい者にうまく配慮できるだろうか」「何を任せればいいのかわからない」とお悩みの企業もあるのではないでしょうか。

障がい者を雇用しても、職場定着しなければ、そこに費やした時間やサポートに充てた人件費等が無駄になってしまいますよね。

そこで、おすすめしたいのが株式会社JSHの障がい者雇用支援サービスです。

障がい者雇用サービスとは、以下のように企業が直接雇用した障がい者に、JSHの地方農園で働いていただけるサービスのことです。

障がい者を直接雇用しながらも、募集・採用から、人材育成、定着支援まで一貫してサポートをいたします。

JSHの障がい者雇用支援サービスをご利用いただくメリットは、以下の3つです。

(1)障がいが安心して長く働けるように合理的配慮に基づいた職場環境を整備

(2)障がい者への業務の切り出しや内容調整が不要

(3)障がい者雇用を通じて地方人材の活用、地方創生を実現

あなたの企業で障がい者雇用を促進するために、ぜひ検討してみてください。

 

7-1.障がい者が安心して長く働けるように合理的配慮に基づいた職場環境を整備

JSHの障がい者雇用支援サービスでは、障がい者が安心して活躍いただけるように整備された環境で働くことが可能です。

看護師が常駐している安心のサポート体制の中で、障がい者は働くことへの不安や日々の生活の中での悩みを解消しながら、水耕栽培を始めとする安全な業務に従事できます。

農園の管理・運営についても、ジョブコーチ等の有資格者(スタッフ)が各農園に常駐し皆様の障がい特性に合わせた定着支援をおこないながら、企業様と協力して長期間の雇用を実現しています。

 

7-2.障がい者への業務の切り出しや内容調整が不要

JSHの障がい者雇用サービスをご利用いただくと、障がい者への業務の切り出しや内容調整が不要になります。

農園では一人ひとりの適性や個性に合うように、どの障がいの方も活躍できるような業務を切り出します

障がい者が前向きに業務に取り組んでいただけるようにサポートをしているので、ご安心ください。

 

7-3.障がい者雇用を通じて地方人材の活用、地方創生を実現

JSHの障がい者雇用サービスを通じて、地方人材の活用や地方創生を実現できます。

地方に住む障がい者の就労機会は、都市部の障がい者に比べて就労機会の格差があることは以前から問題となっていました。

JSHは地方農園を構えることで、地方に住む障がい者に就労のチャンスを作るだけでなく、地方経済の活性化にも貢献していると考えております。

皆様が弊社の展開する障がい者雇用サービスをご利用いただくことは、ただ単なる障がい者雇用だけにとどまらず、地域貢献、地方創生にまでつながるので、ぜひご検討ください。

8.まとめ
障がいの種類について、詳しくご説明させていただきました。改めて、ポイントをおさらいしていきましょう。

障がいは、以下の3種類にわけられます。

身体障がい者 ・視覚障がい

・聴覚・平衡機能障がい

・音声機能・言語機能・咀嚼機能障がい

・肢体不自由

(上肢不自由、下肢不自由、体幹機能障がい、脳原性運動機能障がい)

・内部障がい

(心臓機能障がい、じん臓機能障がい、呼吸器機能障がい、ぼうこう・直腸機能障がい、小腸機能障がい、HIV免疫機能障がい、肝臓機能障がい)

知的障がい者 ・軽度(IQ約50~70)

・中等度(IQ約36~49)

・重度(IQ約20~35)

・最重度(IQ約19以下)

精神障がい者 ・統合失調症

・気分(感情)障がい

・非定型精神病

・てんかん

・中毒精神病

・器質性精神障がい

(高次脳機能障がいを含む)

・発達障がい

・その他の精神疾患

身体障がい者は、身体障害者福祉法によると、以下の5種類に分類されます。

・視覚障がい

・聴覚・平衡機能障がい

・音声機能・言語機能・そしゃく機能障がい

・肢体不自由

(上肢不自由、下肢不自由、体幹機能障がい、脳原性運動機能障がい)

・内部障がい

(心臓機能障がい、じん臓機能障がい、呼吸器機能障がい、ぼうこう・直腸機能障がい、小腸機能障がい、HIV免疫機能障がい、肝臓機能障がい)

知的障がい者は、知的能力を表すIQ(知能指数)によって、以下のように重症度が分類されます。

【知的障がいの重症度分類】
軽度 約50~70
中等度 約36~49
重度 約20~35
最重度 約19以下

※専門機関によってIQの基準は異なります

精神障がい者には、以下のように分類できます。

・統合失調症

・気分障がい

・非定型精神病

・てんかん

・中毒精神病

・器質性精神障がい(高次脳機能障がいを含む)

・発達障がい

障がい者雇用でお悩みがある企業は、株式会社JSHの障がい者雇用支援サービスにぜひお任せください。

障がい者が長く働ける環境を企業様と連携して職場環境を整備しているので、企業にとっても障がい者にとっても安心できる環境での就労、雇用管理をすることが実現できます。

この記事を元に、障がい者に対する理解が深まることを祈っています。

この記事を書いた人

株式会社JSH|矢野 翔太郎

株式会社JSHにて障がい者雇用支援サービス「コルディアーレ農園」のスキーム開発から営業までを担当。
企業側の障がい者雇用の課題解決だけではなく、農園開設や運営にも携わることで、障がい者雇用のリアルな現場にも正対。
障がい者雇用における関連法案や海外の雇用事情についての知見もあり、セミナー等を通じて障がい者雇用に関する様々な情報発信もおこなっています。

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