コラム詳細
2025/05/23
autorenew2025/05/23
障がい者雇用の除外率とは│制度概要や計算方法などを事例と共に解説
「障がい者雇用について調べていたら、除外率という言葉が出てきたが、どういう意味なのだろうか」
「除外率は自社にも適用されるのか知りたい」
障がい者雇用を本格的に推進するにあたり、除外率について理解を深めたいとお考えではありませんか?
障がい者雇用における除外率とは、法定雇用率に基づいて雇用する障がい者数を計算する際に、障がい者が就労するのが困難だとされる一部の業種で、一定割合を控除できる制度のことです。
具体的には、以下のように除外率に相当する人数を控除できます。
※常:常用労働者数、短:短時間労働者数
ただし、この除外率は既に廃止することが決定していて、完全廃止に向けて、これまで3度の引き下げが行われてきました。
その一方で、法定雇用率は年々引き上げとなっており、2026年7月には現行の2.5%から2.7%に上がります。
除外率が適用される企業においては、こうした事実を踏まえて採用戦略を策定することが重要です。
そこで、この記事では以下のポイントをご紹介します。
この記事で分かること |
・障がい者雇用における除外率とは何か
・除外率設定業種と適用される除外率 ・除外率を活用した計算方法 ・除外率設定業種における障がい者雇用の取り組み事例 ・除外率の今後の動向 ・除外率が適用される企業での障がい者雇用の採用人数の決め方 ・障がい者雇用にハードルを感じる場合に積極的に利用したい社外の支援サービス |
除外率について理解を深め、あなたの企業における今後の障がい者雇用の方針を決められるように、ぜひ最後まで読み進めていただけると幸いです。
【目次】
1. 障がい者雇用における除外率とは
2. 障がい者雇用における除外率設定業種と適用される除外率
3. 障がい者雇用における除外率の計算方法
4. 除外率設定業種における障がい者雇用の取り組み事例
5. 障がい者雇用における除外率の今後の動向
6. 除外率が適用される企業での障がい者雇用の採用人数の決め方
7. 障がい者雇用にハードルを感じるなら社外の支援サービスを積極的に利用しよう
8. まとめ
冒頭でもお伝えした通り、障がい者雇用における「除外率」とは、雇用する障がい者数を計算する際に、障がい者の就労が困難だとされる一部の業種で、一定割合を控除できる制度のことです。
ここでは、除外率の概要と、既に廃止が決まっていることについて詳しくご紹介します。
除外率について理解を深められるように、参考にしてみましょう。
1-1. 除外率の概要
除外率は、法定雇用率が義務化された1976年(昭和51年)に、障がいがある方が就労しづらいとされる業種の雇用義務を軽減するために、導入されました。
除外率が適用されるのは、以下の特徴が顕著な業種です。
・免許・資格等が必要である
・安全面での懸念がある |
具体的には、以下の通りです。
・非鉄金属第一次製錬・精製業
・貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く) ・建設業 ・鉄鋼業 ・道路貨物運送業 ・郵便業(信書便事業を含む) ・港湾運送業 ・警備業 ・鉄道業 ・医療業 ・高等教育機関 ・介護老人保健施設 ・介護医療院 ・林業(狩猟業を除く) ・金属鉱業 ・児童福祉事業 ・特別支援学校(専ら視覚障がい者に対する教育を行う学校を除く) ・石炭・亜炭鉱業 ・道路旅客運送業 ・小学校 ・幼稚園 ・幼保連携型認定こども園 ・船員等による船舶運航等の事業 |
2025年4月現在、以下のように、常用労働者を40.0人以上雇用する企業に、2.5%の法定雇用率の達成が義務づけられています。
※注意:2026年7月からは、法定雇用率が2.7%に引き上げられるため、常用労働者が37.5人以上雇用している企業は、障がい者の方を1人以上雇用する必要があります。
しかし、除外率が適用される業種では、雇用する障がい者の方の人数を計算する際、以下の通り除外率に相当する人数を控除できるので、雇用義務人数が少なくなります。
※常:常用労働者数、短:短時間労働者数
このような除外率があることによって、障がい者の方が就労しづらいとされる業種においても、法定雇用率の達成を目指せるようになっているのです。
1-2. 除外率の廃止は決定済み
除外率は、以下のような社会の変化を受けて、2002年(平成14年)の障害者雇用促進法改正で、既に廃止が決定しています。
・障がいのある方にもない方にも平等な社会にしようという「ノーマライゼーション」の考え方が広まった
・技術革新により職場環境整備が進み、以前は障がい者は就業困難と考えられた業種においても、就業できる可能性が高まってきた |
厚生労働省「障害者雇用率制度における除外率制度の見直しについて」によると、現在も除外率が適用されているのは、完全廃止へと向けた経過措置の途中にあるためです。
2025年4月(令和7年)に3回目の引き下げが行われ、除外率は段階的に縮小されています。
今後も引き下げが繰り返され、いずれは廃止されることを、知っておきましょう。
障がい者雇用における除外率は、障がいがある方の就労が困難と認められる業種で、法定雇用率の雇用義務を軽減するために導入されたものの、いずれ廃止することがおわかりになったと思います。
2025年(令和7年)4月に、2010年(平成22年)7月以来、15年ぶりに3回目の引き下げが行われたので、最新の除外率を確認しておきましょう。
現行の除外率設定業種と適用される除外率は、以下の通りです。
除外率設定業種 | 除外率 |
・非鉄金属第一次製錬・精製業
・貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く) |
5% |
・建設業
・鉄鋼業 ・道路貨物運送業 ・郵便業(信書便事業を含む) |
10% |
・港湾運送業
・警備業 |
15% |
・鉄道業
・医療業 ・高等教育機関 ・介護老人保健施設 ・介護医療院 |
20% |
・林業(狩猟業を除く) | 25% |
・金属鉱業
・児童福祉事業 |
30% |
・特別支援学校(専ら視覚障がい者に対する教育を行う学校を除く) | 35% |
・石炭・亜炭鉱業 | 40% |
・道路旅客運送業
・小学校 |
45% |
・幼稚園
・幼保連携型認定こども園 |
50% |
・船員等による船舶運航等の事業 | 70% |
参考:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
このように、業種によって異なる除外率が設定されています。
除外率設定業種に該当する企業の方は、何%の除外率が適用されるかを確認しましょう。
2025年4月の引き下げによって除外率が廃止された業種 |
2025年(令和7年)4月の引き下げによって、以前は除外率設定業種だった以下の業種において、除外率が廃止されています。
・非鉄金属製造業(非鉄金属第一次精製業を除く) ・倉庫業 ・船舶製造・修理業、船用機関製造業 ・航空運輸業 ・国内電気通信業(電気通信回線設備を設置して行うものに限る) ・採石業、砂・砂利・玉石採取業 ・水運業 ・窯行原料用鉱物鉱業(耐火物・陶磁器・ガラス・セメント原料用に限る) ・その他の鉱業
これらの業種では、通常通り法定雇用率の達成が求められます。 |
現行の除外率設定業種と適用される除外率を確認して、適用されるとおわかりになった企業の方は、除外率法の計算方法を押さえておきましょう。
除外率設定業種で、除外率を適用して雇用障がい者数を求める計算は、以下の2段階で求めます。
(1)算定者基礎労働者数=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)-{(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×除外率}
(2)雇用障がい者数=算定基礎労働者数×0.025 |
・常用労働者数:週所定労働時間が30時間以上の従業員数
・短時間労働者数:週所定労働時間が20時間以上30時間未満の従業員数
以下の2パターンの計算シミュレーションを元に、計算過程をご紹介します。
除外率の計算シミュレーション2パターン |
・フルタイムの正社員のみで、30%の除外率が適用される場合
・正社員と短時間勤務するパートが混在し、40%の除外率が適用される場合 |
あなたの企業における除外率適用後の雇用障がい者数を求められるように、参考にしましょう。
3-1. フルタイムの正社員のみで、30%の除外率が適用される場合
以下のように、フルタイムの正社員のみを雇用している、30%の除外率設定業種のおける雇用障がい者数を求めます。
規模 | ・正社員(フルタイム) 95人 |
業種 | ・金属鉱業
・児童福祉事業 |
フルタイムで働く正社員の数は、「常用労働者数」に該当します。
まずは、算定基礎労働者数を算出するために、以下の計算式の常用労働者数に「95」、短時間労働者数はいないため「0」、除外率に「0.3」を代入しましょう。
算定基礎労働者数=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)-{(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×除外率} |
実際の計算式は、以下の通りです。
(95+0×0.5)}-{(95+0×0.5)×0.3}=95-28(28.5だが、小数点以下は切り捨て)=67人
続いて、雇用障がい者数を算出するために、以下の計算式の算定基礎労働者数に「67」を代入します。
雇用障がい者数=算定基礎労働者数×0.025 |
実際の計算式は、以下の通りです。
67×0.025=1.675≒1人
この企業では障がい者の方を「1人」、雇用する義務があります。(小数点以下は切り捨て)
なお、2026年7月以降は法定雇用率が2.7%に引き上げられるため、以下の計算式に変わりますが、この企業の場合は、雇用障がい者数が「1人」のまま変更はありません。(小数点以下は切り捨て)
67×0.027=1.809≒1人
3-2. 正社員と短時間勤務するパートが混在し、40%の除外率が適用される場合
以下のように、正社員と短時間勤務するパートが混在する、40%の除外率設定業種のおける雇用障がい者数を求めます。
規模 | ・正社員(フルタイム) 200人
・パート(1週間の労働時間が20時間以上30時間未満) 100人 ・パート(1週間の労働時間が20時間未満) 30人 |
業種 | ・石炭・亜炭鉱業 |
フルタイムで働く正社員の方は「常用労働者数」、1週間の労働時間が20時間以上30時間未満のパートの方は「短時間労働者数」に該当します。
「短時間労働者数」とは、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の従業員数のことなので、1週間の労働時間が20時間未満のパートの30人は、計算式に含まなくて構いません。
以下の計算式の常用労働者数に「200」、短時間労働者数に「100」、除外率に「0.4」を代入しましょう。
算定基礎労働者数=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)-{(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×除外率} |
実際の計算式は、以下の通りです。
(200+100×0.5)-{(200+100×0.5)×0.4}=250-100=150人
続いて、雇用障がい者数を算出するために、以下の計算式の算定基礎労働者数に「150」を代入します。
雇用障がい者数=算定基礎労働者数×0.025 |
実際の計算式は、以下の通りです。
150×0.025=3.75≒3人
この企業では障がい者の方を「3人」、雇用する義務があります。(小数点以下は切り捨て)
なお、2026年7月以降は法定雇用率が2.7%に引き上げられるため、以下の計算式に変わり、この企業の場合は、雇用障がい者数が「4人」に増加するので、注意しましょう。(小数点以下は切り捨て)
150×0.027=4.05≒4人
上記の計算式を参考にして、あなたの企業における雇用障がい者数を計算してみてください。
企業の規模や除外率によっては、法定雇用率が引き上げられる2026年7月以降、雇用障がい者数が増加する場合があります。
これからの採用計画を入念に立てられるように、法定雇用率引き上げ後の雇用障がい者数も求めてみましょう。
障がい者のカウント方法に注意! |
算出した雇用障がい者数は、障がいの種類や程度、週所定労働時間によってカウントが異なるので、注意が必要です。
具体的には、以下のように重度の障がいがある方は1人を2倍カウントしたり、短時間労働する障がい者の方は1人を0.5カウントするケースがあります。 参考:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」 ※一定の要件を満たす場合、0.5ではなく1とカウントする特例措置あり
詳しくは、「【2024年最新】障がい者のカウント方法を解説!計算式と早見表付」でご紹介しているので、ぜひご覧ください。 |
除外率設定業種における、雇用障がい者数の計算方法がおわかりになったことと思います。
では、その計算式で求められた人数を目指すことは一般的なのでしょうか?それとも、除外率に囚われず、余裕を持って障がい者雇用に取り組むべきなのでしょうか?
実際のところ、その対応は企業により様々です。
除外率を適用した最低限の実雇用率を維持する企業がある一方、以下のように、除外率設定業種である道路旅客業(紫)や鉄道業(緑)は、全体(赤)の実雇用率を大きく上回っています。
出典:厚生労働省「第104回 労働政策審議会障害者雇用分科会 議事次第」
ここでは、除外率設定業種でどのように障がい者雇用に取り組んでいるのかイメージできるように、以下2社の事例をご紹介します。
除外率設定業種における障がい者雇用の取り組み事例 |
・除外率10%│建設業A社の取り組み事例
・除外率45%│道路旅客運送業B社の取り組み事例 |
4-1. 除外率10%│建設業A社の取り組み事
除外率が10%の建設業のA社では、約90名の従業員数に対して、2名の障がい者の方を雇用しています。
※除外率20%、法定雇用率2.3%当時の実績です。
A社では、心臓機能障がいや、下肢障がいといった身体障がいのある方を雇用していますが、彼らの安全を確保したり、作業の効率化を図ったりするために、以下のような技術を導入しています。
・測量作業に、GPS機能を活用する
・工事現場の遠隔監視ができる、定点カメラを設置する ・作業員が接近すると自動的に感知し、重機の動きを停止する、重機用緊急停止システムを導入する |
このような配慮の結果、A社では障がい者の方の10年以上の継続勤務に繋がっており、法定雇用率の安定的な達成を実現しています。
4-2. 除外率45%│道路旅客運送業B社の取り組み事
除外率が45%の道路旅客運送業(タクシー会社)のB社では、約140名の従業員数に対して、4名の障がい者の方を雇用。
除外率を必要としないほど、本来の法定雇用率を上回るかたちで障がい者雇用を進めています。
※除外率55%、法定雇用率2.3%当時の実績です。
B社では、障がい者の方の負担を軽減するために、以下の配慮を行っています。
・全てのタクシーにカーナビを導入する
・体力的に可能な範囲で乗務スケジュールを組む |
このように、技術面や勤務時間の面への配慮によって、除外率設定業種であっても、障がい者の方が働きやすい環境を作り、法定雇用率の超過達成を実現しているのです。
除外率設定業種での障がい者雇用への取り組み方のイメージが湧いてきたと思いますが、そうなると、次の除外率の引き下げや、廃止はいつなのか、気になる方は多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、具体的な次の引き下げスケジュールや廃止のタイミングは未定です。
しかし、除外率の変遷は以下のように、最短6年の間隔で、10%ずつ引き下げられてきたため、次回は2031年以降に、現行の除外率から更に10%の引き下げが予想されます。
除外率設定業 | 1976年~ | 2004年4月~ | 2010年7月~ | 2025年4月~ |
・非鉄金属第一次製錬・精製業
・貨物運送取扱業 (集配利用運送業を除く) |
35% | 25% | 15% | 5% |
・建設業
・鉄鋼業 ・道路貨物運送業(※) ・郵便業(※) (信書便事業を含む) |
40% | 30% | 20% | 10% |
・港湾運送業
・警備業(※) |
45% | 35% | 25% | 15% |
・鉄道業
・医療業 ・高等教育機関 ・介護老人保健施設(※) ・介護医療院(※) |
50% | 40% | 30% | 20% |
・林業
(狩猟業を除く) |
55% | 45% | 35% | 25% |
・金属鉱業
・児童福祉事業 |
60% | 50% | 40% | 30% |
・特別支援学校
(専ら視覚障がい者に対する教育を行う学校を除く) |
65% | 55% | 45% | 35% |
・石炭・亜炭鉱業 | 70% | 60% | 50% | 40% |
・道路旅客運送業
・小学校 |
75% | 65% | 55% | 45% |
・幼稚園
・幼保連携型認定こども園(※) |
80% | 70% | 60% | 50% |
・船員等による船舶運航等の事業 | 100% | 90% | 80% | 70% |
参考:厚生労働省「第104回 労働政策審議会障害者雇用分科会 議事次第」
※が付いている業種は、1976年時点では除外率設定業種ではない
船員等による船舶運航等の事業においては、現在、最も高い70%ですが、このまま10%ずつ引き下げられていくとすると、あと7回引き下げられた後に、完全に除外率が廃止される見通しとなります。
しかし、ノーマライゼーションの考え方が今よりも社会に根付いていけば、引き下げの間隔が短縮したり、一度に10%以上の引き下げが行われたりする可能性もあるでしょう。
したがって、除外率設定業種の方は、「現行の除外率が適用された障がい者数を雇用すればいい」と考えるのではなく、余裕を持って障がい者雇用を推進することを検討すべきと言えます。
6. 除外率が適用される企業での障がい者雇用の採用人数の決め方
次回の除外率引き下げの具体的なスケジュールや廃止のタイミングは未定ではあるものの、余裕を持った障がい者雇用をしていくべきだと、おわかりになったと思います。
それなら、除外率が適用される企業では、果たして何人の障がい者の方を採用していけばいいのか、採用人数を決めるのに悩む方は多いのではないでしょうか。
これから障がい者雇用に取り組む企業におすすめしたい決め方は、2026年7月から2.7%へと引き上げられる法定雇用率に合わせた採用人数です。
なぜなら、除外率の引き下げは2031年以降の可能性が高いですが、法定率の引き上げは直近に迫っているからです。
「3. 障がい者雇用における除外率の計算方法」でご紹介したように、企業の規模や、適用される除外率によっては、2026年7月以降は雇用障がい者数が増加します。
対応が遅れないように、今のうちに以下の計算式を利用して、2.7%に引き上げられた後の雇用障がい者数を算出し、採用計画を進めましょう。
(1)算定基礎労働者数=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)-{(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×除外率}
(2)雇用障がい者数=算定基礎労働者数×0.027 |
7. 障がい者雇用にハードルを感じるなら社外の支援サービスを積極的に利用しよう
障がい者雇用の除外率が適用される企業では、今のうちから法定雇用率が2.7%に引き上がった後の雇用障がい者数を採用していくのがいいと、おわかりになったと思います。
しかし、特に都市部では障がい者人材の獲得競争が激化している背景があり、求める能力や技術を持った方を採用するのが困難な場合もあるでしょう。
そのため、これから障がい者雇用を進めるにあたって、採用にハードルを感じるのならば、以下の社外の支援サービスを積極的に利用するのがおすすめです。
社外の支援サービスをうまく活用して、あなたの企業でも法定雇用率引き上げ後の雇用障がい者数を採用できるようにしましょう。
7-1. ハローワーク
ハローワークでは、準備段階から採用後の定着支援まで、障がい者雇用に関する幅広い情報を無料で提供してもらうことが可能です。
以下のような企業の方は、ハローワークに相談しましょう。
・何から始めたらいいか分からない
・障がい者雇用に必要な知識や、採用方法を知りたい ・自社の除外率の計算について詳しく教えてほしい ・障がい者人材の求人を無料で掲載したい ・助成金を活用したい |
また、どこに相談すればよいのかわからない場合は、ひとまずハローワークに相談するのがおすすめです。
他の支援機関と連携して、あなたの企業の障がい者雇用をサポートしてくれます。
厚生労働省「障害者に関する窓口」より、お近くのハローワークの相談窓口の住所や、電話番号をご確認ください。
7-2. 地域障害者職業センター
地域障害者職業センターとは、障がいのある方に専門的な職業リハビリテーションを提供する施設です。
企業の方は、障がい者の方の就職支援や職業リハビリテーションに関する相談を無料ですることができます。
以下のような企業の方は、地域障害者職業センターに相談しましょう。
・障がい特性に合った仕事を割り当てたい
・障がいに応じた合理的配慮をしたい |
ハローワークよりも専門的な支援を行っているため、「事業主支援計画」の策定や、障がい者職業カウンセラーによる具体的な支援の提供も受けられます。
地域障害者職業センターは各都道府県に設置されているので、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センター」より、住所や電話番号をご確認ください。
7-3. 障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターとは、障がいがある方の就職活動や、職場でのサポートを行っている施設で、障がい者本人だけでなく、企業の方も、無料で支援を受けることができます。
以下のような企業の方は、障害者就業・生活支援センターに相談しましょう。
・雇用した障がい者の生活リズムや健康管理のサポートをしたい
・職場定着率が低迷しているものの、改善方法がわからない |
障害者就業・生活支援センターでは、障がい者雇用における就業面の問題だけでなく、生活面からサポートが受けられるので、障がい者の方の職業生活の自立に役立てられます。
全国に設置されているので、「令和7年度障害者就業・生活支援センター 一覧」より、住所や電話番号をご確認ください。
7-4. 障がい者雇用支援サービスを行う民間企業
障がい者雇用支援サービスを行う民間企業は、他の相談先とは異なり、サービスによっては有料となりますが、企業のニーズに合わせた柔軟なサポートを受けることができます。
以下のような企業の方は、ぜひ障がい者雇用支援サービスを提供する民間企業に相談しましょう。
・除外率設定業種における障がい者向けの業務の切り出し方や、職場環境の改善方法を知りたい
・自社に合った障がい者の雇用率向上施策を提案してほしい |
サービス内容によっては、企業の規模や除外率に合わせた採用計画の立て方や、配慮の内容を提案してもらえるケースもあります。
2026年7月に法定雇用率が引き上げられても、あなたの企業で対応できるように、社外の支援サービスも活用して、障がい者雇用を推進していきましょう。
障がい者雇用支援サービスを活用するなら JSHのコルディアーレ農園にご相談ください |
除外率設定業種の企業で障がい者雇用を推進するにあたって、障がい者雇用支援サービスに興味を持たれた方は、ぜひJSHにご相談ください。
JSHでは、企業に屋内型農園の「コルディアーレ農園」の区画と水耕栽培設備を貸し出し、主に農園周辺に在住している障がい者の方をご紹介しています。
つまり、人材をお探しの企業さまと、働きたい障がい者の方の架け橋となる仕組みを実現しています。
コルディアーレ農園では、障がい者の方に、整備された環境の下で葉物野菜やハーブなどの栽培に携わっていただいています。
また、精神科勤務経験のある看護師が唯一常駐するなど、多数の有資格者による手厚いサポートがあるため、高い定着率を期待していただけます。
弊社の農園型障がい者雇用支援サービスを導入いただいている企業さまは190社以上で、その継続率は99%(2024年6月時点)にも上ります。
少しでもご興味を持って下さった方は、お気軽に下記ボタンからコルディアーレ農園の資料をご請求ください。
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8.まとめ
障がい者雇用における除外率について、詳しくご紹介させていただきました。改めて、ポイントをおさらいしましょう。
障がい者雇用における除外率は、障がいがある方の就労は困難だと認められる業種で、法定雇用率を達成するにあたって、雇用義務を軽減するために導入されました。
現行の除外率設定業種と適用される除外率は、以下の通りです。
除外率設定業種 | 除外率 |
・非鉄金属第一次製錬・精製業
・貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く) |
5% |
・建設業
・鉄鋼業 ・道路貨物運送業 ・郵便業(信書便事業を含む) |
10% |
・港湾運送業
・警備業 |
15% |
・鉄道業
・医療業 ・高等教育機関 ・介護老人保健施設 ・介護医療院 |
20% |
・林業(狩猟業を除く) | 25% |
・金属鉱業
・児童福祉事業 |
30% |
・特別支援学校(専ら視覚障がい者に対する教育を行う学校を除く) | 35% |
・石炭・亜炭鉱業 | 40% |
・道路旅客運送業
・小学校 |
45% |
・幼稚園
・幼保連携型認定こども園 |
50% |
・船員等による船舶運航等の事業 | 70% |
参考:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
除外率設定業種では、以下の計算式を利用して、除外率を適用した雇用障がい者数を求めます。
(1)算定基礎労働者数=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)-{(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×除外率}
(2)雇用障がい者数=算定基礎労働者数×0.025 |
除外率の具体的な次の引き下げスケジュールや廃止のタイミングは未定ですが、次回の引き下げは2031年以降、現行の除外率から更に10%引き下げられることが予想されます。
除外率が適用される企業では、2026年7月から2.7%へと引き上げられる法定雇用率に合わせて、採用人数を決めるのがおすすめです。
社外の支援サービスを積極的に利用して、障がい者雇用を推進していきましょう。
この記事を元に、除外率の理解が深まり、あなたの企業における障がい者雇用の方針が定まることを祈っています。
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