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【2025年最新】特定求職者雇用開発助成金の5つのコースと申請方法

「人手不足ではあるものの、採用や育成にかかるコストがネックになっている。助成金を調べていたところ“特定求職者雇用開発助成金”が目にとまったけれど、活用できるのか?」

「障がいのある方の雇用に活用できる助成金を調べていたら”特定求職者雇用開発助成金”が出てきた。どれくらい給付を受けられる?」

企業成長に向けた自社に合う人材を採用するために、活用できる助成金はないか検索して「特定求職者雇用開発助成金」にたどり着いたご担当者様は多いでしょう。

特定求職者雇用開発助成金とは、何らかの理由があり就職に課題を抱えている方を、ハローワークなどの紹介事業を通じて長期的に雇い入れたときに受け取れる助成金です。

対象者や給付額などが異なる5つのコースがあり、他の助成金と比較して最大給付額が大きい点が特徴です。

※コース名をクリックすると詳細部分に移動します

コース 対象者 最大給付額
特定就職困難者コース ・高年齢者

・障がいがある方

・母子家庭の母

・父子家庭の父など

60万~240万円
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース ・手帳を持っていない発達障がいもしくは難病を抱えている方(条件あり) 120万円
生活保護受給者等雇用開発コース 雇入れ日において3か月以上指定の自立支援、就職支援を受けている

 

60万円
中高年層安定雇用支援コース 年齢や正規雇用期間などの条件を満たした方 60万円
成長分野等人材確保・育成コース 成長分野メニュー・人材育成メニューいずれかの条件を満たした方 90万~360万円

※最大給付額は中小企業・一般労働の場合の場合

特定求職者雇用開発助成金は企業の課題や目的に応じて活用できますが、対象者や給付の条件、申請手順などが細かく定められています。

申請方法や対象者の要件が複雑なので事前に把握しておかないと、本当は対象者だったはずなのに助成金を受け取れないなどの失敗につながる可能性があります。

だからこそ、特定求職者雇用開発助成金の概要を正しく理解して、スムーズに申請できるようにしましょう。

そこでこの記事では、特定求職者雇用開発助成金の概要や対象となる事業主、5つのコースの違いなどを詳しく解説していきます。

最後まで読めば、特定求職者雇用開発助成金とはどのような助成金なのか分かり、目的や課題に応じた活用ができるようになるでしょう。

ぜひ、最後まで読み進めてください。

【目次】
1. 特定求職者雇用開発助成金(特開金)とは
2. 特定求職者雇用開発助成金の対象となる事業主の主な要件
3. 特定求職者雇用開発助成金のコースごとの対象者・支給額
4. 企業が特定求職者雇用開発助成金を活用するメリット
5. 企業が特定求職者雇用開発助成金を活用するデメリット
6. 特定求職者雇用開発助成金の給付までの手順
7. 特定求職者雇用開発助成金を活用する前に知っておきたい注意点
8. まとめ


1. 特定求職者雇用開発助成金(特開金)とは

特定求職者雇用開発助成金(特開金)とは、何らかの理由があり就職に課題を抱えている方を、ハローワークなどの指定紹介事業を通じて長期的に雇い入れたときに受け取れる助成金です。

事業主と対象者それぞれ細かい要件を満たし、対象者を安定雇用することで最大60~360万円(中小企業・一般労働の場合)の給付金を受け取れます。※中小企業以外は最大給付額が少し低くなります

特定求職者雇用開発助成金には5つのコースがあり、それぞれ対象者と給付額が異なります。

※コース名をクリックすると詳細部分に移動します

コース 対象者 中小企業・一般労働の場合の最大給付額
特定就職困難者コース ・高年齢者

・障がいがある方

・母子家庭の母

・父子家庭の父など

60万~240万円
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース ・手帳を持っていない発達障がいもしくは難病を抱えている方(条件あり) 120万円
生活保護受給者等雇用開発コース 雇入れ日において3か月以上指定の自立支援、就職支援を受けている

 

60万円
中高年層安定雇用支援コース 年齢や正規雇用期間などの条件を満たした方 60万円
成長分野等人材確保・育成コース 成長分野メニュー・人材育成メニューいずれかの条件を満たした方 90万~360万円

企業では、下記のように様々な目的で活用されています。

【特定求職者雇用開発助成金の活用目的】

 

・障がい者雇用を推進したい

・人材不足を解消したい

・様々な背景がある方の社会復帰を支援したい

・即戦力を育成したい

例えば、自社で障がい者雇用をしたいものの、採用活動や採用後のコストがネックになっているとしましょう。

そこで、ハローワークなどの指定の紹介事業を通じて、特定求職者雇用開発助成金の対象となる障がいがある方を紹介してもらいます。

無事に採用でき一定の条件を満たしながら雇用を継続できれば、半年ごとに一定の助成金を受け取れる助成金です。

特定求職者雇用開発助成金は比較的大きな金額を受け取れるため、企業の雇用促進や人材不足の解消などに役立てられています。

 

2. 特定求職者雇用開発助成金の対象となる事業主の主な要件

特定求職者雇用開発助成金は、どのような事業主でも申請できるわけではありません。

3.特定求職者雇用開発助成金のコースごとの対象者・支給額」で触れるコースごとの細かい要件はありますが、どのコースを選定しても下記の4つの要件は満たす必要があります。

ここでは、特定求職者雇用開発助成金の対象となる事業主の主な要件をご紹介します。

特定求職者雇用開発助成金を活用したいと思ったときに対象外にならないように、事前に把握しておきましょう。

 

2-1. 雇用保険の適用事業主であること

1つ目は、雇用保険の適用事業主であることです。

下記のような労働者を雇用する場合は、業種や事業規模を問わず雇用保険の適用事業主になります(農林水産の一部業種を除く)。

【原則として雇用保険が必要になる労働者】

 

雇用形態を問わず下記の条件にすべて該当する場合

・1週間の所定労働時間が20時間以上ある

・31日以上の雇用見込みがある

参考:厚生労働省「雇用保険の被保険者について」

既に一定期間勤務する労働者を雇用している場合は、雇用保険の適用事業主であると言えるでしょう。

不安な場合は、適用事業主に必要となる「事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を確認してみてください。

適用事業主はハローワークに「事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しているので、この届出があれば適用事業主だと分かります。

参考:厚生労働省「事業主の行う雇用保険の手続き」

 

2-2. ハローワークなど指定の紹介事業者を介して雇い入れること

2つ目は、ハローワークなど指定の紹介事業者を通じて雇い入れることです。特定求職者雇用開発助成金が活用できる紹介事業者は、下記のとおりです。

【特定求職者雇用開発助成金の対象となる紹介事業者】

 

・ハローワーク

・適正な事務処理を行うことについての同意書を各都道府県労働局長に提出した事業者

(事業者はこちらで確認できます「雇用関係助成金を取り扱う職業紹介事業者等」)

・地方運輸局(船員として雇い入れる場合)

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」

特定求職者雇用開発助成金を検討するときによくあるミスが、自社で募集をして採用した後にハローワークなどに相談するケースです。

特定求職者雇用開発助成金は指定の紹介事業者を介して雇用することが要件なので、自社独自で採用活動する、周囲に紹介してもらうなどで雇用すると対象外になります。

特定求職者雇用開発助成金は、労務局やハローワークなどが支給事務をしています。

どのような紹介事業者を活用すればいいのか分からない場合は、ハローワークに「特定求職者雇用開発助成金を活用できる雇用をしたい」と相談すれば、ミスを防げるでしょう。

 

2-3. 対象者を継続して雇用すること

3つ目は、対象労働者を継続して雇用することです。

特定求職者雇用開発助成金は雇用の促進や定着を目的としているので、助成金だけを目的に短期的な雇用をする場合は対象外になるのです。

雇用に関する細かい要件はコースごとに異なりますが、一例として下記のように長期的な雇用が前提であることが記されています。

【特定求職者雇用開発助成金の要件の例】

 

・雇用保険の一般被保険者として雇用することが確実であること

・対象労働者の雇入れ日の前後6か月間に、事業主都合の従業員の解雇(勧奨退職を含む)をしていないこと

・対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、雇用期間が継続して2年以上(重度障がい者を短時間労働者以外として雇い入れる場ときは3年以上)雇用する(特定就職困難者コース・生活保護受給者等雇用開発コース)

また、今後対象労働者を継続雇用するだけでなく、雇用前に事業主都合の解雇がなかったかも確認の対象です。

【コースによっては有期雇用が自動更新であれば対象になる】

 

特定求職者雇用開発助成金は、基本的に有期雇用契約(労働契約で明確に終了日が定められている雇用形態)はできません。

 

しかし、「特定就職困難者コース」「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」「生活保護受給者等雇用開発コース」では、有期雇用が自動更新でかつ、更新の条件に問題がなければ申請できます(就業規則などの確認が必要なケースがあります)。

 

有期雇用をしたい場合は、事前にハローワークなどに相談して、要件を満たせそうか確認しましょう。

参考:厚生労働省「助成金の支給対象が有期雇用労働者の場合雇用契約が「自動更新」であることが必要です」

 

2-4. 対象者の出勤状況や賃金の支払い状況などが分かる書類の整備、保管ができること

4つ目は、対象労働者の出勤状況や賃金の支払い状況などが分かる書類の整備、保管ができることです。

助成金の給付期間内は、労働者名簿や賃金台帳、出勤簿などの書類を管轄労働局長の求めに応じて提出、提示しなければならないためです。

場合によっては助成金の不正受給を防ぐ実地調査に協力するケースもあり、その際に必要な書類を整理、保管できていないと給付が受けられないリスクがあります。

下記のような対象者の勤務状況や助成金の受け取り状況が分かる書類はしっかりと整理し、保管できる体制を整えておきましょう。

【特定求職者雇用開発助成金の給付期間に整理、保管する書類の例】

 

・労働者名簿:対象者の雇用状況を確認できる

・賃金台帳:対象者に適切な賃金が支払われているか確認できる

・出勤簿:必要な日数出勤しているか確認できる

・総勘定元帳などの帳簿:助成金の受け取り履歴が分かる

上記の他にも細かい要件があります。下記の助成金に共通する要件も、確認しておきましょう。

また、自社が要件に該当するか悩む場合は、管轄のハローワークや労働局にお問い合わせください。

参考:厚生労働省「各雇用関係助成金に共通の要件等」

 

3. 特定求職者雇用開発助成金のコースごとの対象者・支給額

特定求職者雇用開発助成金には5つのコースがあり、コースごとに対象者や最大給付額が異なります。

先ほど紹介した事業主の条件とコースごとの条件の双方を満たすと、特定求職者雇用開発助成金の給付対象になります。

コース 対象者 中小企業・一般労働の場合の最大給付額
特定就職困難者コース ・高年齢者

・障がいがある方

・母子家庭の母

・父子家庭の父など

60万~240万円
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース ・手帳を持っていない発達障がいもしくは難病を抱えている方(条件あり) 120万円
生活保護受給者等雇用開発コース ・雇入れ日において3か月以上指定の自立支援、就職支援を受けている方 60万円
中高年層安定雇用支援コース ・年齢や正規雇用期間などの条件を満たした方 60万円
成長分野等人材確保・育成コース ・成長分野メニュー・人材育成メニューいずれかの条件を満たした方 90万~360万円

ここでは、特定求職者雇用開発助成金のコースごとの対象者や給付額などをまとめて解説していくので、活用できそうなコースをチェックしてみてください。

 

3-1. 特定就職困難者コース

特定就職困難者コース
概要 高年齢者、障がいがある方、母子家庭の母などの就職に課題を抱えている方の就職を支援する
対象者 ・高年齢者

・障がいがある方

・母子家庭の母

・父子家庭の父など

中小企業・一般労働の場合の最大給付額 60万~240万円
公式サイト 特定就職困難者コース

特定就職困難者コースは、高年齢者、障がいがある方、母子家庭の母など、就職に課題を抱えている方を対象としたコースです。

対象者により給付額が異なりますが、中小企業の場合、最大で240万円と大きな給付額を受け取れる点が特徴です。

企業では、障がいのある方の雇用を促進したい場合や、高齢者の労働を支援したい場合、母子家庭、父子家庭をサポートしたい場合などに活用できます。

ここでは、特定就職困難者コースの対象者や給付額を紹介するので、参考にしてみてください。

 

3-1-1. 対象者

特定就職困難者コースの対象者は、下記のとおりです。大きく分けると、障がいのある方や高年齢の方、母子家庭、父子家庭の親、特殊な背景を持つ方が該当します。

【特定就職困難者コースの対象者】

 

・ 60歳以上の人(雇入れ日の満年齢が65歳未満に限る)

・身体障がい者

・知的障がい者

・精神障がい者

・母子家庭の母

・父子家庭の父(児童扶養手当を受給している場合に限る)

・中国残留邦人等永住帰国者

・北朝鮮帰国被害者

・認定駐留軍関係離職者(45歳以上)

・沖縄失業者求職手帳所持者(45歳以上)

・漁業離職者求職手帳所持者(45歳以上)

・手帳所持者である漁業離職者等(45歳以上)

・一般旅客定期航路事業等離職者求職手帳所持者(45歳以上)

・認定港湾運送事業離職者(45歳以上)

・その他就職困難者

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金 (特定就職困難者コース)のご案内」

例えば、企業で身体障がい者を雇用したい場合に、ハローワークなどを通じて「特定就職困難者コース」の該当者を雇用するケースが該当します。

▼障がい者の定義は、下記の記事で詳しく解説しています。
【徹底解説】障がい者とは?障がい別の特徴、必要な配慮、雇用事例まで

 

3-1-2. 支給額

特定就職困難者コースの支給額は、対象者と労働時間、企業の規模によって異なります。下記を参考に、どの程度助成金を受け取れそうか確認してみてください。

【一般労働】
対象者 支給企業 支給額 助成対象期間 対象期ごとの支給額
60歳以上の方・母子家庭の母など 中小企業 60万円 1年 30万円×2期
中小企業以外 50万円 1年 25万円×2期
身体障がい者・知的障がい者 中小企業 120万円 2年 30万円×4期
中小企業以外 50万円 1年 25万円×2期
重度障がい者・45歳以上の障がい者・精神障がい者 中小企業 240万円 3年 40万円×6期
中小企業以外 100万円 1年6か月 33万円×3期

(3期のみ34万円)

【短時間労働】
対象者 支給企業 支給額 助成対象期間 対象期ごとの支給額
60歳以上の方・母子家庭の母など 中小企業 40万円 1年 20万円×2期
中小企業以外 30万円 1年 15万円×2期
障がい者 中小企業 80万円 2年 20万円×4期
中小企業以外 30万円 1年 15万円×2期

※短時間労働は1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満のケースを指します
※助成対象期間を半年ごとに区分した期間を支給の対象期(第1期・第2期など)と呼びます
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金 (特定就職困難者コース)のご案内」

例えば、特定就職困難者コースを活用して、中小企業が重度障がい者を1名(一般労働)雇用したとしましょう。

この場合の支給額は240万円ですが一度に受け取れるのではなく、下記のように半年ごとに申請をして、240万円を6回分(半年分を3年間)に分けて給付を受けます。

6.特定求職者雇用開発助成金を受給する手順」で詳しく触れていますが、対象者が途中退職するなどすると、途中で支給が打ち切りになるので注意しましょう。

【特定求職者雇用開発助成金の中小企業の定義】

 

特定求職者雇用開発助成金の対象となる中小企業の範囲は、下記のとおりです。

 

・小売業・飲食店:資本金、出資の総額が5,000万円以下または常時雇用する労働者数が50人以下

・サービス業:資本金、出資の総額が5,000万円以下または常時雇用する労働者数が100人以下

・卸売業:資本金、出資の総額が1億円以下または常時雇用する労働者数が100人以下

・その他業種:資本金、出資の総額が3億円以下または常時雇用する労働者数が300人以下

 

中小企業と中小企業以外では、給付額が大きく変わります。どちらに属するか迷う場合は、管轄のハローワークにお問い合わせください。

 

3-2. 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
概要 障がい者手帳を持たない発達障がいがある方や難病を抱える方の雇用と職場定着を促進する
対象者 ・障がい者手帳を持っていない発達障がいもしくは難病を抱えている方(条件あり)
中小企業・一般労働の場合の最大給付額 120万円
公式サイト 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースは、障がい者手帳を持たない発達障がいがある方や難病を抱える方の雇用と職場定着を促進するコースです。

このコースも給付額が大きく、最大で120万円(中小企業の場合)受け取れる点が特徴です。発達障がいのある方や、難病を抱える方の雇用を促進したい企業は、ぜひチェックしてみてください。

 

3-2-1. 対象者

特定就職困難者コースは、下記の2つの条件に該当している方が対象です。

【特定就職困難者コースの対象者】

 

(1)障がい者手帳を所持していないが、発達障がいもしくは難病を抱えている方

(2)雇入れ日時点で満年齢が65歳未満の方

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)のご案内」

発達障がいは、発達障害者支援法第2条に該当する方が対象です。一例として、下記のような障がいがある方が対象になります。

【対象となる発達障がいの例】

 

・自閉症

・アスペルガー症候群

・学習障がい

・注意欠陥多動性障がいなど

※「障害者の雇用の促進等に関する法律」第2条第2号に規定する身体障がい者、第4号に規定する知的障がい者、6号に規定する精神障がい者は除く

対象となる難病は、2025年3月末時点で376の疾病名が公表されています。関節リウマチやパーキンソン病、突発性難聴などが該当します。

【対象となる難病の例】

 

・関節リウマチ

・パーキンソン病

・突発性難聴

・慢性膵炎など

 

その他の難病は「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)のご案内」よりご確認ください

例えば、雇入れ日時点で65歳未満の自閉症の方を、ハローワークなどを通じて「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」の該当者として雇用するケースが当てはまります。

▼発達障がいの雇用のポイントは、下記の記事で詳しく解説しています。
発達障がい者(ADHD・自閉症等)の雇用ポイントー特性や定着率アップの方法を解説ー

【障がいのある方を雇用する場合は障害者トライアル雇用の助成金と併用できる】

 

障がいのある方を雇用する場合は、障害者トライアル雇用の助成金と併用できます。

 

障害者トライアル雇用の助成金は、原則3か月間のトライアル雇用期間を経て、障がい者の適性や能力を見極めて継続雇用につなげる制度

です。

 

トライアル雇用期間に助成金が支給されるので、助成金を活用しつつ継続雇用を目指せます。

 

・1人雇用する場合:月額最大4万円(最長3か月間)

・精神障がい者を雇用する場合:月額最大8万円(最大8万円×3か月、その後4万円×3か月)

 

ただし、障害者トライアル雇用の助成金の給付を受けている期間は、特定求職者雇用開発助成金を受け取ることができません。

 

そのため、特定求職者雇用開発助成金の給付期間は第2期からとなるので、留意してください。

 

▼障害者トライアル雇用については、下記の記事で詳しく解説しています。

障害者トライアル雇用の全ガイド|期間・求人・助成金を含む制度内容

参考:厚生労働省「7月1日から、トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)と併用する場合において「特定求職者雇用開発助成金」の制度を一部変更します」

 

3-2-2. 支給額

発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースの支給額は、労働時間と企業の規模によって異なります。

労働時間 支給企業 支給額 助成対象期間 対象期ごとの支給額
一般労働 中小企業 120万円 2年 30万円×4期
中小企業以外 50万円 1年 25万円×2期
短期労働 中小企業 80万円 2年 20万円×4期
中小企業以外 30万円 1年 15万円×2期

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)のご案内」

例えば、中小企業が発達障がいのある方を一般労働者として雇用した場合、2年間で120万円の給付を受けられます。

また、難病により長時間労働が難しい場合でも、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の「短期労働者」として雇用できれば、2年間で80万円の助成金が支給されます。

 

3-3. 生活保護受給者等雇用開発コース

生活保護受給者等雇用開発コース
概要 生活保護の受給者や生活困窮者の方の就職を促進する
対象者 雇入れ日において3か月以上指定の自立支援や就職支援を受けている方
中小企業・一般労働の場合の最大給付額 60万円
公式サイト 生活保護受給者等雇用開発コース

生活保護受給者等雇用開発コースは、生活保護の受給者や生活困窮者の方の就職を促進するためのコースです。

ハローワークや地方自治体などの支援を受けていち早く自立したいと考えている方を対象に、安定した雇用機会を提供する目的で設立されました。

雇用機会に恵まれなかった方の自立支援や社会復帰などを支援したい企業に向いている助成金なので、チェックしてみてください。

 

3-3-1. 対象者

生活保護受給者等雇用開発コースは、雇入れ日において3か月以上下記のいずれかの支援を受けている方が対象者です。

対象者が受ける・受けている支援
地方公共団体からの支援要請に基づくハローワークにおける支援 <例>

・ハローワークでの職業相談

・ジョブカード作成

・職業訓練など

地方公共団体における被保護者就労支援事業による支援 <例>

・自治体での就労支援

・面接指導

・就労訓練など

地方公共団体における生活困窮者自立相談支援事業による就労支援 <例>

・自立生活のためのプラン作成

・家計相談支援

・就労支援など

※上記支援を2つ以上受けている(受けた)場合は通算して3か月以上の場合に対象となる
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金のご案内(生活保護受給者等雇用開発コース)」

生活保護受給者等雇用開発コースは早期自立ができるように、ハローワークや地方自治体の支援を受けていることが条件です。

企業側ではどのような支援を受けているのか判断しにくいため、ハローワークなどでの紹介時に、対象者である旨の説明があります。説明を聞いて承諾することで、対象者を雇用できます。

 

3-3-2. 支給額

生活保護受給者等雇用開発コースの支給額は、労働時間と企業の規模によって異なります。

労働時間 支給企業 支給額 助成対象期間 対象期ごとの支給額
一般労働 中小企業 60万円 1年 30万円×2期
中小企業以外 50万円 1年 25万円×2期
短期労働 中小企業 40万円 1年 20万円×2期
中小企業以外 30万円 1年 15万円×2期

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金のご案内(生活保護受給者等雇用開発コース)」

例えば、中小企業がハローワークなどの支援を受けている対象者を一般労働者として雇用した場合、1年間で最大60万円の給付を受け取れます。

 

3-4. 中高年層安定雇用支援コース

中高年層安定雇用支援コース
概要 就職氷河期に就職の機会を逃したなどで正規雇用が困難になった35歳から60歳未満の中高年層の安定した雇用を促進する
対象者 年齢や正規雇用期間などの条件を満たした方
中小企業・一般労働の場合の最大給付額 60万円
公式サイト 中高年層安定雇用支援コース

中高年層安定雇用支援コースは、就職氷河期に就職の機会を逃したなどで正規雇用機会に恵まれなかった35歳から60歳未満の中高年層の安定した雇用を促進するコースです。

以前あった「就職氷河期世代安定雇用実現コース」を拡充し、2025年4月に新設されたコースです。

雇用環境が厳しい時期の就職活動により、正規雇用を希望しながら非正規で働いている方や、学校卒業後に正規雇用に恵まれなかった方などを支援する目的で設立されました。

即戦力となる人材を求めている企業が検討できる助成金なので、参考にしてみてください。

 

3-4-1. 対象者

中高年層安定雇用支援コースは、下記の条件にすべて該当する方が対象です。

【中高年層安定雇用支援コースの対象者の条件】

 

(1)35歳~60歳未満の方

(2)雇入れの日の前日から起算して過去5年に正規雇用労働者として雇用された期期間が通算1年以下である方

(3)雇い入れの日の前日から起算して過去1年に正規雇用労働者などの雇用をされたことがない方

(4)ハローワークなどの紹介の時点で「失業している」または「非正規雇用労働者など安定した職業に就いていない」状況でかつ、ハローワークなどで個別支援など就労に向けた支援を受けている方

(5)正規雇用労働者としての雇用を希望している方

※正規雇用労働者としての雇用期間には正社員と同等以上の能力が必要な仕事をしていた期間や自営業の期間なども含みます
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース)のご案内」

中高年層安定雇用支援コースも、ハローワークなどで対象者である旨の説明を受けて雇用できます。

ただし、中高年層安定雇用支援コースは、正規雇用(期間の定めのない労働契約・週30時間以上など)であることが条件です。他のコースのように、短時間労働者としての雇用はできないので、注意してください。

 

3-4-2. 給付額

中高年層安定雇用支援コースの給付額は、企業の規模によって異なります。

支給企業 支給額 助成対象期間 対象期ごとの支給額
中小企業 60万円 1年 30万円×2期
中小企業以外 50万円 25万円×2期

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース)のご案内」

例えば、中小企業が対象者を正規雇用した場合、1年間で最大60万円の給付を受けられます。

 

3-5. 成長分野等人材確保・育成コース

成長分野等人材確保・育成コース
概要 就職に課題を抱えている方を採用して育成する
対象者 成長分野メニュー・人材育成メニューいずれかの条件を満たす方
中小企業・一般労働の場合の最大給付額 90万~360万円
公式サイト 成長分野等人材確保・育成コース

成長分野等人材確保・育成コースは、就職に課題を抱えている方を採用して育成する場合に活用できるコースです。

今までご紹介したコースの該当者を、下記の2つのメニューのうちいずれかに取り組むことを前提に雇用するケースが対象になります。

成長分野等人材確保・育成コースのメニュー
成長分野メニュー ・成長分野(デジタル・グリーン)の業務に従事して人材育成や職場定着に取り組む

・雇用管理改善(研修制度やメンター制度など)もしくは能力開発(職業訓練の実施など)が必要

<例>

・プログラミングの知識を教える

・システムエンジニアを育成する

人材育成メニュー ・人材開発支援助成金を活用した訓練を受講する

・雇入れ日から3年以内に雇入れの日(試用期間がある場合は本採用後の日)の賃金より5%以上引上げる

<例>

・人材開発支援助成金を活用したeラーニングを実施したうえで採用後1年以内に賃金を5%引き上げる

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)」

成長分野等人材確保・育成コースは、今までご紹介した給付額の最大1.5倍が受け取れるようになる点が特徴です。

例えば、特定就職困難者コースを活用して、障がいのある方を雇用しようと考えていたとしましょう。

就労経験の有無などの条件をクリアでき指定の訓練の実施、5%以上の賃上げが可能だと判断できれば、人材育成メニューを活用したほうが受け取れる助成額が増えます。

コース 特定就職困難者コース 人材育成メニュー
身体障がい者・知的障がい者の場合 給付額:120万円

(30万円×4期)

給付額:180万円

(45万円×4期)

※中小企業・一般労働として雇用したケース

ただし、助成額が増える分、人材育成や提出書類が増えるなどの負担が大きくなるので、企業側がするべきことを事前に把握して検討しましょう。

このように、特定求職者雇用開発助成金の中でも、選定するコースにより受け取れる助成金額が変わるので、成長分野等人材確保・育成コースもチェックしてみてください。

 

3-5-1. 対象者

成長分野等人材確保・育成コースの対象者は、今までご紹介したコースの該当者です。

知的障がいのある方に人材育成メニューを適用したいと考えた場合は、対象者が「特定就職困難者コース」の条件を満たしている必要があります。

成長分野等人材確保・育成コースの対象者
特定就職困難者コース ・60歳以上の人(雇入れ日の満年齢が65歳未満に限る)

・身体障がい者

・知的障がい者

・精神障がい者など

発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース (1)障がい者手帳を所持していないが、発達障がいもしくは難病を抱えている方

(2)雇入れ日時点で満年齢が65歳未満の方

生活保護受給者等雇用開発コース いち早く自立するために該当の支援を受けている(受ける)方
中高年層安定雇用支援コース 35歳~60歳未満の方で正規雇用期間が条件内であり正規雇用を望む方

上記の条件をクリアしたうえで、過去5年間に通算1年以上(パート・アルバイトは経験に含まない)就労経験のない業務でなければなりません。

例えば、成長分野メニューを適用したい場合には、既にエンジニアとして活躍している方は、除外となります。過去5年間に通算1年以上エンジニアをしたことがない方を選定する必要があります。

 

3-5-2. 給付額

成長分野等人材確保・育成コースの支給額は、対象者と労働時間、企業の規模によって異なります。

【一般労働】
対象者 支給企業 支給額 助成対象期間 対象期ごとの支給額
60歳以上の方・母子家庭の母・中高年層の不安定雇用就労者・生活保護受給者等など 中小企業 90万円 1年 45万円×2期
中小企業以外 75万円 1年 37.5万円×2期
身体障がい者・知的障がい者 中小企業 180万円 2年 45万円×4期
中小企業以外 75万円 1年 37.5万円×2期
重度障がい者・45歳以上の障がい者・精神障がい者 中小企業 360万円 3年 60万円×6期
中小企業以外 150万円 1年6か月 50万円×3期
【短時間労働】
対象者 支給企業 支給額 助成対象期間 対象期ごとの支給額
60歳以上の方・母子家庭の母・生活保護受給者等など 中小企業 60万円 1年 30万円×2期
中小企業以外 45万円 1年 22.5万円×2期
障がい者 中小企業 120万円 2年 30万円×4期
中小企業以外 45万円 1年 22.5万円×2期

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)」

例えば、中小企業が45歳以上の障がいのある方を一般労働として雇用したとしましょう。

このときに人材育成メニューを活用して必要な職業訓練を実施し、計画に沿って雇用より3年以内に賃金を5%以上上げたとします。すると、最大で3年に渡り360万円の給付を受けられます。

「特定就職困難者コース」では最大240万円なので、1.5倍も多く受け取ることができるのです。雇用の目的や負担感を把握したうえで、活用しやすいコースを選定するといいでしょう。

 

4. 企業が特定求職者雇用開発助成金を活用するメリット

特定求職者雇用開発助成金の概要が把握できたところで、企業が特定求職者雇用開発助成金を活用する具体的なメリットをご紹介します。

特定求職者雇用開発助成金は様々なコースがあるからこそ、企業の課題や目的に応じて活用できます。
活用するべきか判断するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

 

4-1. 多様な人材を確保できる

特定求職者雇用開発助成金はコースごとに様々な背景を持つ対象者が設定されているので、企業の課題や目的に応じた人材確保に活用できます。

企業の課題 活用コース
障がいのある方の雇用を促進したい

法定雇用率を満たすために障がいのある方の雇用を促進したい

<活用コース>

・特定就職困難者コース

・発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

即戦力を確保したい

定職の機会に恵まれなかった背景はあるものの即戦力となる人材を雇用したい

<活用コース>

・特定就職困難者コース

・中高年層安定雇用支援コース

・生活保護受給者等雇用開発コース

必要なスキルを持つ人材を育成したい

自社に必要なスキルを持つ人材を育成して中長期的に活躍してほしい

<活用コース>

成長分野等人材確保・育成コース

社会貢献をしたい

誰もが社会の一員として働ける場を提供できるようにしたい

<活用コース>

・特定就職困難者コース

・発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

・生活保護受給者等雇用開発コース

例えば、深刻な人材不足で即戦力を求めている場合は、中高年層安定雇用支援コースや特定就職困難者コースなどが検討できます。

今まで雇用機会に恵まれていなかっただけで、前向きに仕事をしたい方やポテンシャルのある方もいるので、即戦力として活躍してくれる可能性があるでしょう。

また、企業の障がい者雇用の法定雇用率を満たしたい場は、特定就職困難者コースや発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースを活用すれば、雇用を促進しやすくなります。

このように、企業の抱える課題に応じて、必要な人材が確保しやすくなるところは、大きなメリットだと言えるでしょう。

▼障がい者の法定雇用率は、下記の記事で確認できます。
障がい者の法定雇用率は2.5%|自社は影響を受ける?判定方法を解説

 

4-2. 人材育成や人材確保のコストを削減できる

特定求職者雇用開発助成金は助成金の中でも給付額が大きく、人材確保や育成のコスト削減が見込めます。

例えば、中小企業が特定就職困難者コースを活用して障がい者のある方を雇用すると、最大120万~240万円が給付されます(一般労働の場合)。

成長分野等人材確保・育成コースにチャレンジできれば、最大180万~360万円が給付されるのです。

特定就職困難者コース(中小企業・一般労働として雇用)
身体障がい者・知的障がい者 給付額120万円 給付期間:2年

(30万円×4期)

重度障がい者・45歳以上の障がい者・精神障がい者 給付額240万円 給付期間:3年

(40万円×6期)

成長分野等人材確保・育成コース(中小企業・一般労働として雇用)
身体障がい者・知的障がい者 給付額180万円 給付期間:2年

(45万円×4期)

重度障がい者・45歳以上の障がい者・精神障がい者 給付額360万円 給付期間:3年

(60万円×6期)

企業によっては人材を増やしたくても、採用コストや業務を覚えるまでのコストがネックになるケースがあります。

特定求職者雇用開発助成金は助成金を活用すればコストの不安を解消でき、必要な人材を増やし自社が成長する基盤を整えられます。

 

4-3. 長期雇用を促進できる

特定求職者雇用開発助成金は、対象者の安定雇用を目的にしています。

雇用した時点で給付金全額を受け取れるのではなく、半年ごとに雇用状況を確認して給付を決定するので、継続雇用できるように配慮が必要です。

万が一、給付期間中に対象者が辞めてしまうと、それ以降の給付額は受け取ることができません。
例えば、第2期の間に対象者が辞職した場合は、第3期、第4期の給付金を受け取れなくなります。

そのため、今まで人材が定着しなかった企業でも、自発的に下記のような取り組みをして、対象者の定着を促す必要があります。

【長期雇用を促進する取り組み例】

 

・環境の整備

・福利厚生の充実

・社内コミュニケーションの活性化

・就業規則の見直しなど

その結果、特定求職者雇用開発助成金は助成金の対象者だけでなく、他の社員も長期的に働きやすい環境を整えられるでしょう。

 

5. 企業が特定求職者雇用開発助成金を活用するデメリット

企業が特定求職者雇用開発助成金を活用するメリットが分かったところで、ここからは活用のデメリットをご紹介します。

特定求職者雇用開発助成金は給付額が大きく幅広い活用ができる反面、手続きに手間がかかるなどの声があります。

申請前にデメリットを把握しておくと対策を立てつつ活用できるので、チェックしておきましょう。

 

5-1. 事務手続きが複雑で手間がかかる

特定求職者雇用開発助成金は、下記のような理由から、事務手続きが複雑で手間がかかると言われています。

【特定求職者雇用開発助成金の手続きに手間がかかる理由】

 

・受給要件が細かく確認が必要になる

・制度の変更が多く最新情報を確認しなければならない

・書類に不備があると再提出が必要になる

特定求職者雇用開発助成金は制度の変更が多いので、受給を検討するタイミングで最新情報を確認しなければなりません。

また、各コースの受給要件が細かく設定されているため、必要な書類を揃えたり条件を確認したりする手間がかかります。

誤った解釈で進めると書類の再提出や不支給となってしまう可能性があるので、不明な部分はハローワークなどの機関に確認しながら進めるようにしましょう。

 

5-2. 半年に一度給付申請が必要になる

特定求職者雇用開発助成金は、一度に給付額全額を受け取れる仕組みではありません。

半年ごとに必要な書類を提出して労働局が審査をしたうえで、給付の許可が降りた場合のみ給付されます。

例えば、下記の特定就職困難者コースでは、給付額240万円全額を受け取るには、3年間に渡り合計6回の給付申請が必要となるのです。

特定就職困難者コース(中小企業・一般労働として雇用)
重度障がい者・45歳以上の障がい者・精神障がい者 給付額

240万円

給付期間:3年

(40万円×6期)

6.特定求職者雇用開発助成金の支給までの手順」で詳しく解説していますが、給付を受けるには複数の書類を揃えて期日内に提出しなければなりません。 

特定求職者雇用開発助成金で受け取れる最大給付額は大きいものの、給付申請の回数が多い点はデメリットだと言えるでしょう。

 

5-3. 給付までの期間が長い

特定求職者雇用開発助成金は、定められた期間に給付申請をして、許可が降りた場合に給付される仕組みです。

給付の審査や振込には「一定の期間を要する」を表記されており、第1期分の給付額受け取りは雇用開始から半年以降になります。

雇用開始後にすぐに助成金の活用ができないので、活用時期や方法に工夫が必要でしょう。

例えば、対象者の雇用開始時の給与に活用しようとしても給付が間に合わないため、ゆとりのある資金繰りを検討しなければなりません。

 

 

6. 特定求職者雇用開発助成金の給付までの手順

ここでは、特定求職者雇用開発助成金の給付までの手順をご紹介します。

コースにより若干工程に違いはありますが、基本的な流れに沿って申請から給付までの全体像が理解できるため、参考にしてみてください。

 

6-1. ハローワークなどに求人を申し込む

まずは、ハローワークなどの指定の紹介事業に、求人の申し込みをします。

2-2. ハローワークなど指定の紹介事業者を介して雇い入れること」で触れたように、指定の紹介事業外で採用すると特定求職者雇用開発助成金の対象になりません。

必ず指定の紹介事業を通じて、求人の手続きをしましょう。このときに「特定求職者雇用開発助成金を活用して採用をしたい」と伝えて、特定求職者雇用開発助成金の要件を満たしている労働者を紹介してもらうとスムーズです。

 

6-2. コースの対象となる労働者を雇い入れる

ハローワークなどの指定の紹介事業の紹介者の中から、コースの対象となる労働者を雇い入れます。
このときに、下記の点に注意してください。

【コースの対象となる労働者を雇い入れるときの注意点】

 

・コースの要件を満たしている

・長期雇用を前提としている

・対象労働者が雇い入れ日の前日から過去3年間に事業所と雇用、請負、委任の関係になっていないなど

雇い入れる前にはハローワークなどで「該当コースの対象となるか」を再度確認して、雇い入れ後に受給対象から外れないようにするといいでしょう。

「成長分野等人材確保・育成コース」の場合は、雇い入れ後に賃金引上げ計画書の作成や人材開発支援助成金の計画届の提出が必要です。

 

6-3. 助成金の給付申請をする

特定求職者雇用開発助成金の対象者を雇い入れたら、半年に1回助成金の給付申請をします。

採用3~4か月後に、ハローワークより助成金の申請案内が送付されるので、案内に沿って申請をします。

支給申請期間は、支給対象期の末日の翌日から2か月以内です。例えば、5月15日に雇い入れた場合は、半年後の翌日になる11月16日から2か月以内に労務局、または管轄のハローワークに申請をします。

必要書類は申請するコースにより異なるため、助成金の申請案内を見て確認しておきましょう。

【必要書類の例】

 

・支給申請書

・雇用契約書の写し

・賃金台帳の写し

・タイムカードまたは出勤簿の写し

・各コースの必要書類

【コース別の申請フォーマットダウンロードページ】

 

特定就職困難者コース

発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

生活保護受給者等雇用開発コース

中高年層安定雇用支援コース

成長分野等人材確保・育成コース

また、関係書類は5年間の保管が必要なので、提出して終わりではなくしっかりと保管するようにしてください。

 

6-4. 助成金が給付される

提出した支給申請書の記載事項などを労働局が審査して、支給、不支給を判断します。申請事業主に通知書が届き給付が決定した場合は、指定の金融機関口座に助成金が入金されます。

第2期や第3期も第1期と同じように給付申請をして、支給が決定した場合に振り込みが行われます。

ここで注意したいのは、対象労働省の離職です。支給対象期の途中で対象労働者が離職した場合は、該当の支給対象期について原則不支給となります。

例えば、第2期の途中で対象労働者が離職した場合は、第2期の助成金は原則給付されません。他にも、支給対象期の途中で事業主の都合により離職させた場合も、給付されない可能性があります。

給付期間は継続して勤務できるように、労働環境を整えていくことも重要でしょう。

【特定求職者雇用開発助成金が電子申請にも対応】

 

特定求職者雇用開発助成金は窓口や郵送による申請だけでなく、電子申請にも対応しています。

忙しくて窓口申請ができない場合でもパソコンから申請することが可能です。

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金の電子申請」
※既に廃止されている情報記載があるため、詳細はハローワークか労働局にお問い合わせください

 

7. 特定求職者雇用開発助成金を活用する前に知っておきたい注意点

最後に、特定求職者雇用開発助成金を活用する前に知っておきたい注意点をご紹介します。

申請前に把握しておくと、申請を開始したときや求人時に困らなくて済むポイントばかりなので、事前にチェックしておきましょう。

 

7-1. 給付要件を事前に確認する

1つ目は、特定求職者雇用開発助成金の給付条件を事前に確認することです。

2.特定求職者雇用開発助成金の対象となる事業主の主な要件」と「3.特定求職者雇用開発助成金のコースごとの対象者・支給額」で触れたように、他の助成金より給付要件が複雑です。

給付要件はコースごとに細かく定められているので、事前にパンフレットや資料を見て把握しておきましょう。

特定求職者雇用開発助成金の全コースに共通するよくある間違いとしては、下記のとおりです。

【全コースに共通するよくある間違いチェックリスト】

 

・ハローワークなどの指定の紹介事業を通じて雇い入れること

・対象労働者が雇い入れ日の前日から過去3年間に事業所と雇用、請負、委任の関係になっていないこと

・既に雇用していないこと

・長期雇用を前提としていること

・職業紹介を受けた日に失業(雇用保険の被保険者ではないなど)していること

・事業所の代表者または取締役の3親等以内の親族でないこと

例えば、既に雇用している労働者が特定求職者雇用開発助成金の対象になると気づいても、雇用後に給付対象になることはありません。

また、雇い入れ日の前日から過去3年以内に雇用していた労働者を、再度ハローワークなどを通じて雇用しても給付対象外になります。

受給要件に不安がある場合は、管轄のハローワークや労務局に相談をして「特定求職者雇用開発助成金」の対象となるか確認すると安心です。

 

7-2. 併用したい助成金がある場合は併用できるか確認する

2つ目は、特定求職者雇用開発助成金と併用したい助成金がある、もしくは既に対象となっている助成金がある場合は、併用できるか確認しましょう。

複数の助成金の支給申請をすると、併給調整(助成金の併給を制限・調整する)がかかる場合があるからです。

一列として、厚生労働省が公表している「雇用関係助成金併給調整表」を見ると、下記のように併用ができる助成金と併給調整の対象となる助成金があることが分かります。

助成金の種類 該当する助成金
基本的に併用できる助成金 ・早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース・UIJターンコース)

・地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース・地域雇用開発コース能登半島地震特例)

・65歳超雇用推進助成金など

併給調整の対象となる助成金 ・雇用調整助成金

・人材開発支援助成金の一部コースなど

参考:厚生労働省「雇用関係助成金の申請にあたって」

例えば、雇用調整助成金と特定求職者雇用開発助成金は併用できないため、両方の活用を検討している場合は、片方に絞る必要があります。

また、基本的には併用ができると記載されている場合でも、個別の状況により併給調整が入る可能性があるので注意が必要です。

現在助成金を何らかの活用している場合や特定求職者雇用開発助成金と併用したい助成金がある場合は、事前にハローワークなどに問い合わせをして確認するようにしましょう。

 

7-3. 対象者に合う仕事があるか確認する

3つ目は、特定求職者雇用開発助成金の対象者に合う仕事があるかを確認することです。

6.特定求職者雇用開発助成金の支給までの手順」でも触れたように、特定求職者雇用開発助成金を使うにはハローワークなどの指定の紹介事業に、求人の申し込みをしなければなりません。

求人に、特定求職者雇用開発助成金の対象者ができる業務を記載できないと、給付の対象者が雇用できない可能性があります。

例えば、高齢の方を雇用したい場合には、年齢問わずできる業務や身体への負担を考慮した業務が必要でしょう。

同じように、障がいのある方を雇用したい場合は、特性に応じて無理なく従事できる業務を用意しなければなりません。

特定求職者雇用開発助成金の対象者に向いている業務がないとそもそも雇い入れが難しいため、現状の業務内容を整理してどのような業務を依頼するのか決めておきましょう。

障がい者雇用の新しい選択肢として「コルディアーレ農園」をご検討ください

障がいのある方の雇い入れや雇用創出に課題を感じている場合は、私たちが提供している農園型障がい者雇用支援サービス「コルディアーレ農園」の利用をご検討ください。

 

農園型障がい者雇用支援サービスとは、企業が農園の一部区画と設備のレンタル・リースなどをしたうえで、運営会社が提供するサービスを活用しながら障がいのある方を採用・雇用するサービスです。

 

コルディアーレ農園では企業様が採用した「管理者1⼈+障がいのある方3人」のチームで⽔耕栽培設備を利⽤した農作業に取り組んでいます。

 

完全屋内型の農園で、冷暖房設備の完備、看護師が複数名常駐、バリアフリー対応と障がいのある方が安心・安全に働けるようにサポートしている点も特徴です。

 

また、コルディアーレ農園を運用する「株式会社JSH」は障がい者雇用支援サービスを専業とする企業で唯一上場をしている企業で、確かな信頼と実績があります。社会課題の解決に向けて、誠実にひたむきに取り組んでいます。

 

コルディアーレ農園に関する詳しい資料は下記にまとめていますので、ぜひお気軽にご活用ください。

 

資料請求をする

 

▼農園型障がい者雇用支援サービスについては、下記の記事でも詳しく解説しています。

なぜ“農園型”の障がい者雇用なのか?実際に農園で働く障がい者にインタビューしてみた!

“農園型”障がい者雇用は『SDGs』にもつながる!地方創生へ貢献できる理由とは?

 

8. まとめ
この記事では、特定求職者雇用開発助成金を活用する前に知っておきたい基礎知識をまとめて解説しました。最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。

〇特定求職者雇用開発助成金とは何らかの理由があり就職に課題を抱えている方を、ハローワークなどを通じて雇い入れたときに受け取れる助成金のこと

〇特定求職者雇用開発助成金の対象となる事業主の主な条件は下記のとおり
・雇用保険の適用事業主であること
・ハローワークなどを介して雇い入れること
・対象者を継続して雇用すること
・対象者の出勤状況や賃金の支払い状況などが分かる書類の整備、保管ができること

〇特定求職者雇用開発助成金のコースは下記のとおり

コース 対象者 中小企業・一般労働の場合の最大給付額
特定就職困難者コース ・高年齢者

・障がいがある方

・母子家庭の母

・父子家庭の父など

60万~240万円
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース ・手帳を持っていない発達障がいもしくは難病を抱えている方(条件あり) 120万円
生活保護受給者等雇用開発コース 雇入れ日において3か月以上指定の自立支援、就職支援を受けている

 

60万円
中高年層安定雇用支援コース 年齢や正規雇用期間などの条件を満たした方 60万円
成長分野等人材確保・育成コース 成長分野メニュー・人材育成メニューいずれかの条件を満たした方 90万~360万円

〇企業が特定求職者雇用開発助成金を活用するメリットは下記のとおり
・多様な人材を確保できる
・人材育成や人材確保のコストを削減できる
・長期雇用を促進できる

〇企業が特定求職者雇用開発助成金を活用するデメリットは下記のとおり
・事務手続きが複雑で手間がかかる
・半年に一度給付申請が必要になる
・給付までの期間が長い

〇特定求職者雇用開発助成金の給付までの流れは下記のとおり
ステップ1:ハローワークなどに求人を申し込む
ステップ2:コースの対象となる労働者を雇い入れる
ステップ3:助成金の給付申請をする
ステップ4:助成金が給付される

〇特定求職者雇用開発助成金を活用する前に知っておきたい注意点は下記のとおり
・給付要件を事前に確認する
・併用したい助成金がある場合は併用できるか確認する
・対象者に合う仕事があるか確認する

特定求職者雇用開発助成金は、企業の課題や目的に応じた活用ができる助成金です。複数のコースがあるので、自社に合うコースを見つけて、活用を検討してみましょう。

この記事を書いた人

株式会社JSH|矢野 翔太郎

株式会社JSHにて障がい者雇用支援サービス「コルディアーレ農園」のスキーム開発から営業までを担当。
企業側の障がい者雇用の課題解決だけではなく、農園開設や運営にも携わることで、障がい者雇用のリアルな現場にも正対。
障がい者雇用における関連法案や海外の雇用事情についての知見もあり、セミナー等を通じて障がい者雇用に関する様々な情報発信もおこなっています。

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