コラム詳細
2024/03/14
autorenew2024/03/14
障がい者が受け取れる厚生年金は?加入者が知るべき年金種別と受給条件
「障がい者が受け取れる厚生年金があるって聞いたけど、それってどんなもの?」
「障害厚生年金って何歳からもらえるの?どの等級でもらえるの?」
「厚生年金に加入していれば障がい者は全員年金をもらえるの?受給条件を詳しく知りたい」
不慮の事故や突然の病気などで障がいが残ってしまった方の中には、上記のような疑問を抱えている方が多いでしょう。
障がい者が受け取れる厚生年金とは、不慮の病気やケガで一定の障がいが残った際、初診日時点で厚生年金に加入している場合に支給されるものです。
通常の厚生年金(老齢厚生年金)は原則として65歳から支給開始ですが、障害厚生年金は20歳に達していれば、障がい認定日の翌月分から受け取ることができます。このことは、一般的にも意外と知られていないことです。
どの年金を受け取れるのか以下にわかりやすく示すと、障害等級1級・2級・3級の方が「障害厚生年金」を受給できます。
また3級より軽い場合には「障害手当金(一時金)」を受け取れる可能性があります(ただし一回のみ)。
しかしながら、「障害厚生年金」を受給するための要件を満たしているかの判定はとても複雑です。さらに、受給するための手続きも煩雑となっており、時間がかかります。事前に正しく理解しておかなければ、受給タイミングが遅れて損してしまう結果になりかねません。
そこでこの記事では、厚生年金に加入中だった方がもらえる年金の種類や金額について、等級ごとにわかりやすく解説します。また、受給要件についても判断して申請できるよう、詳しく解説していきます。
例えば、以下のフローチャートを利用すれば、自分が厚生障害年金を受け取れるのかを簡単に判断できるでしょう。
「自分はどの年金がいくらもらえるんだろう?」「受け取る条件を満たしているのかな?」という方は、ぜひ最後までお読みいただき、ご参考にしてください。
【目次】
1. 障がい者が受け取れる厚生年金「厚生障害年金」とは
2. 厚生年金加入中に障害認定された方がもらえる年金の一覧
3. 【すぐ確認したい方向け】障害厚生年金の受給要件を確認するフローチャート
4. 障がい者が受け取れる障害厚生年金の金額詳細
5. 厚生障害年金を請求するための手続き7ステップ
6. 障がい者が受け取れる厚生年金についてのQ&A
7. まとめ
障がい者の方は、厚生年金に加入している間(=厚生年金の被保険者である間)に病気やケガなどで1級・2級・3級に該当する障害認定された場合に、厚生年金を受け取ることができます。これを「厚生障害年金」といいます。
外部障害 | 眼、聴覚、音声または言語機能、肢体(手足など)の障害など |
精神障害 | 統合失調症、双極性障害、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など |
内部障害 | 呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど |
1級 | 他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできない状態
身の回りのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)・入院や在宅介護を必要とし活動の範囲がベッドの周辺に限られる方 |
2級 | 必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても日常生活は極めて困難で、労働による収入を得ることができない状態
家庭内で軽食を作るなど軽い活動はできてもそれ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)・入院や在宅で活動の範囲が病院内・家屋内に限定される方 |
3級 | 労働が著しい制限を受けるまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする状態
日常生活にはほとんど支障はないが労働には制限がある方 |
※障がい者手帳の等級と障害年金の等級は異なります。
通常の厚生年金(老齢厚生年金)は原則として65歳から支給開始ですが、障害厚生年金は20歳に達していれば、障がい認定日の翌月分から受け取ることができます。
ただし、初診日に厚生年金に加入していること、一定期間以上の加入期間があること、国民年金の保険料を一定期間以上しっかり払っていることなどが条件となります。
具体的には、以下の全てを満たしている場合に、厚生障害年金を受け取ることができます。
障がいの原因となった病気やケガの初診日 | 初診日に、厚生年金に加入していた |
障がいの状態 | 障害認定日に、障害等級表に定める1級・2級・3級のいずれかに該当している
(障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなったときは、障害厚生年金を受け取ることができる可能性があります) |
国民年金などの納付済期間 | 初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること |
ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。 |
一方で、初診日に厚生年金に加入していなかった方や、障害等級が4級以上の方、保険料の納付済期間が足りていない場合には、残念ながら厚生障害年金がもらえません。
このように、障害厚生年金の仕組みは多くの方にとって複雑なため、自分が受給要件を満たしているかどうかを確認したい場合には、「3.【すぐ確認したい方向け】障害厚生年金の受給要件を確認するフローチャート」を参考にするか、お近くの年金事務所または年金相談センターに相談してみましょう。
2. 厚生年金加入中に障がい認定された方がもらえる年金の一覧
ここからは、厚生年金加入中に病気やケガなどで障がいが残った方がもらえる年金について、さらに詳しく解説していきます。
1級・2級の方と、3級の方は、もらえる年金の構成が違うため、注意が必要です。
※報酬比例額の計算において、被保険者期間300カ月みなし措置あり
※3級より軽い場合に障害手当金(一時金)を受けられる場合あり
※参考:厚生労働省「[年金制度の仕組みと考え方]第12 障害年金」
2-1. 障害等級1級・2級の方:障害基礎年金+障害厚生年金がもらえる
障害等級が1級・2級の方は、障害基礎年金と障害厚生年金の両方がもらえます。
障害基礎年金とは、障害の原因となった病気やケガの初診日が「国民年金に加入している間」(または20歳前、もしくは60歳以上65歳未満)の場合に支給されます。
障がいの原因となった病気やケガの初診日 | 以下のどれかに該当している
(1)初診日に、国民年金に加入していた (2)初診日に、20歳前だった (3)初診日に、60歳以上65歳未満だった |
障がいの状態 | 障がい認定日に、障害等級表に定める1級・2級のいずれかに該当している |
国民年金などの納付済期間 | 初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしている
(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること (2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと |
障がい等級が1級・2級の方は、障害厚生年金だけでなく基礎年金も同時にもらえるという手厚い制度となっているので、同時に手続きを進めましょう。
2-2. 障がい等級3級の方:障害厚生年金がもらえる
障がい等級3級の方は、障害基礎年金はもらえませんが、障害厚生年金のみが支給されます。
なお、3級の障害厚生年金には「配偶者加給年金」は加算されないので注意しましょう。
2-3. 障がい等級3級よりも軽い障害の方:障害手当金(一時金)がもらえる
厚生年金に加入していた場合、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには、障害手当金(一時金)が支給されます。
障がいの原因となった病気やケガの初診日 | 初診日に被保険者であったこと |
病気やケガの状態 | ・初診日から起算して5年を経過する日までに、傷病が治っている(症状が固定している)こと
・治った日に、政令で定める程度の障がいの状態(※)にあること |
国民年金などの納付済期間 | 初診日前日において、初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、その被保険者期間のうち保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上あること |
ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。 |
※政令で定める程度の障がいの状態とは、以下の状態です。
両眼の視力が0.6以下に減じたもの
一眼の視力が0.1以下に減じたもの 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 両眼による視野が二分の一以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの 両眼の調節機能及び輻輳(ふくそう)機能に著しい障がいを残すもの 一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの そしやく又は言語の機能に障がいを残すもの 鼻を欠損し、その機能に著しい障がいを残すもの 脊柱の機能に障がいを残すもの 一上肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障がいを残すもの 一下肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障がいを残すもの 一下肢を3センチメートル以上短縮したもの 長管状骨に著しい転位変形を残すもの 一上肢の二指以上を失つたもの 一上肢のひとさし指を失つたもの 一上肢の三指以上の用を廃したもの ひとさし指を併せ一上肢の二指の用を廃したもの 一上肢のおや指の用を廃したもの 一下肢の第一趾又は他の四趾以上を失つたもの 一下肢の五趾の用を廃したもの 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障がいを残すもの 精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障がいを残すもの |
「障がい等級1級~3級の状態ではないから年金対象外」と思わず、障害手当金(一時金)の対象かどうか今一度確認してみましょう。
3.【すぐ確認したい方向け】障害厚生年金の受給要件を確認するフローチャート
障害厚生年金の受給要件を満たしているか確認したい方は、以下のフローで確認しましょう。
(1)初診日に厚生年金保険の被保険者でしたか?
「はい」の場合、次のステップに進みましょう。「いいえ」の場合は、障害厚生年金は受け取れません。
(2)初診日の前日において保険料納付要件を満たしていますか?
未納期間がある場合には、未納期間が3分の1より多くないか確認してみてください。
保険料納付要件
初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること |
※ただし、保険料の納付要件の特例により、初診日が令和8年より4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
保険料納付要件を満たしている場合は、次のステップに進みましょう。保険料納付要件を満たしていない場合は、障害厚生年金や障害手当金(一時金)は受け取れません。
(3)初診日から1年6カ月を経過していますか?
「はい」の場合には、次のステップに進みましょう。「いいえ」の場合は、初診日から1年6カ月経過するまで待ってください。
なお、初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師などの診療を受けた日をいいます。
(4)初診日から1年6カ月経過した日に、1級・2級または3級の障害の状態ですか?
1級・2級または3級の障がいの状態とは、以下の状態をいいます。
「はい」の場合には、障害厚生年金の受給要件に該当します。ただし、実際に障害年金を受給できるかは、障害年金を申請後の審査で決まります。診断書を見て、上記の状態であることが伝わらないケースでは、障害年金が不支給となることがあるので注意しましょう。
「いいえ」の方でも、65歳より前に1級・2級・3級の状態になった方、もともとある障がいと新たな障がいを合わせることで65歳前に1級・2級の障がいの状態になった方も、障害厚生年金の受給要件に該当します。
また、初診日から5年以内に症状が固定し、障害手当金の障害の状態になった方は、障害厚生年金はもらえませんが「障害手当金」の受給要件に該当します。
上記以外の方は、残念ながら、障害厚生年金や障害手当金の受給要件に該当しません。
フローチャートで「受給要件に当てはまっている」という方は、続いて、次章から「支給が決まった場合にいくらもらえるのか」を確認していきましょう。
障害厚生年金の受給要件に該当することが分かったら、次に知りたいのが「支給される場合にいくらもらえるか」ではないでしょうか。
障害厚生年金および障害手当金の金額は、以下のように障害の程度によって異なります。
等級ごとに、もらえる金額や計算方法を詳しく解説していきます。
4-1. 障害の程度が1級の場合
障害の程度が1級と認められた場合には、障害基礎年金と障害厚生年金を受け取ることができます。
障害基礎年金(1級) | 993,750円
(昭和31年4月1年以前に生まれた方は990,750円) 子どもがいる方は、プラスして「子の加算」を受け取れます。 |
障害厚生年金(1級) | 報酬比例の年金額×1.25倍の金額を受給できます
65歳未満(※)の配偶者がいる場合には、配偶者の加給年金228,700円が加算されます。 ※大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません。 |
(1)障害基礎年金(1級)の計算方法
障害の程度が1級の方が受け取れる障害基礎年金は、年額993,750円+子どもの加算分です。
※昭和31年4月1年以前に生まれた方は990,750円です。
さらに、子ども(※)がいる方は「子の加算」を受け取れます。
※18歳になった後の最初の3月31日までの子、20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態にある子
・子ども2人まで、1人につき228,700円
・子ども3人目からは、1人につき76,200円
例えば、15歳と17歳の子どもがいる方の場合は、993,750円+228,700円+228,700円=1,451,150円を受け取ることができます。
子なし | 子1人 | 子2人 | 子3人 |
993,750 円 | 1,222,450 円 | 1,451,150 円 | 1,527,350 円 |
(2)障害厚生年金(1級)の計算方法
障がいの程度が1級の場合にもらえる障害厚生年金は、報酬比例の年金額×1.25倍の金額です。
この「報酬比例の年金額」というのは人によって金額が違い、給与が高く会社勤めの期間が長いほど年金額が多くなります。
65歳未満の配偶者がいる場合には、配偶者の加給年金228,700円が加算されます。ただし、大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません。
4-2. 障がいの程度が2級の場合
障がいの程度が2級の場合には、障害基礎年金と障害厚生年金を受け取ることができます。
障害基礎年金(2級) | 795,000円
(昭和31年4月1年以前に生まれた方は792,600円) 子どもがいる方は、プラスして「子の加算」を受け取れます。 |
障害厚生年金(2級) | 報酬比例の年金額×1倍の金額を受給できます
65歳未満(※)の配偶者がいる場合には、配偶者の加給年金228,700円が加算されます。 ※大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません。 |
(1)障害基礎年金(2級)の計算方法
障がいの程度(2級)の方が受け取れる障害基礎年金は、年額795,000円+子どもの加算分です。
※昭和31年4月1年以前に生まれた方は792,600円です。
さらに、子ども(※)がいる方は「子の加算」を受け取れます。
※18歳になった後の最初の3月31日までの子、20歳未満で障害等級1級・2級の障がいの状態にある子
・子ども2人まで、1人につき228,700円
・子ども3人目からは、1人につき76,200円
例えば、15歳と17歳の子どもがいる方の場合は、795,000円+228,700円+228,700円=1,252,400円を受け取ることができます。
子なし | 子1人 | 子2人 | 子3人 |
795,000 円 | 1,023,700 円 | 1,252,400 円 | 1,328,600円 |
(2)障害厚生年金(2級)の計算方法
障がいの程度が2級の場合には、報酬比例の年金額×1倍の金額を受給できます。
この「報酬比例の年金額」というのは人によって金額が違い、給与が高く会社勤めの期間が長いほど年金額が多くなります。
65歳未満の配偶者がいる場合には、配偶者の加給年金228,700円が加算されます。ただし、大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません。
4-3. 障害の程度が3級の場合
障がいの程度が3級の場合には、障害基礎年金はもらえず、障害厚生年金のみを受け取ることができます。
障害基礎年金 | ×支給なし |
障害厚生年金(3級) | 報酬比例の年金額×1倍の金額を受給できます。
障害の程度が3級の場合には、配偶者の加給年金はありません。 |
障害厚生年金の支給額は、報酬比例の年金額×1倍の金額です。この「報酬比例の年金額」というのは人によって金額が違い、給与が高く会社勤めの期間が長いほど年金額が多くなります。
障がいの程度が3級の場合には、配偶者の加給年金はありません。
4-4. 初診から5年以内に治って障がいの程度が3級よりも軽い場合
初診日から5年以内に治って(症状が固定して)おり、その程度が3級よりも軽い場合には、障害手当金を受け取ることができます。
障害基礎年金 | ×支給なし |
障害厚生年金 | ×支給なし |
障害手当金(一時金) | 報酬比例の年金額×2倍を、一時金として受け取れます
最低保障額1,171,400円 |
障害一時金の支給額は、報酬比例の年金額×2倍の金額です。この「報酬比例の年金額」というのは人によって金額が違い、給与が高く会社勤めの期間が長いほど年金額が多くなります。
最低保障額1,171,400円なので、計算して1,171,400円を下回る場合には、1,171,400円が支払われます。
障害手当金は一時金であり、一回受け取ったら終わりです。
ここからは、厚生年金に加入していた方が病気やケガで「1級・2級・3級」に該当した場合に、厚生障害年金を受けるための手続きについて解説していきます。
厚生障害年金を受け取るためには、診断書や書類をまとめるのに時間がかかり、さらに請求書類を提出してから結果が出るまでにも3〜4カ月かかるのが一般的です。さらに、支給が決まってから障害年金が振り込まれるまでにも2カ月程度かかります。
請求が遅くなると、その分、受給できる金額が少なくなってしまうことがあるため注意しましょう。
5-1. 受給要件を満たしているか確認する
まずはこの記事の3章を参考に、受給要件を満たしているか確認しましょう。
「保険料納付要件」を満たしているかどうかが分からない場合には、年金事務所や年金相談センター、市区町村役場の国民年金課で調べてもらうことができます。
満たしていることを確認できたら、その場で障害年金の請求に必要な書類を受け取りましょう。
または、日本年金機構のホームページから書類の雛形をダウンロードしましょう。
5-2. 初診日を証明する書類を揃える
次に、初診日を証明する書類を揃えていきます。
初診日は、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師などの診療を受けた日をいいます。その医療機関に「受診状況等証明書」というものを書いてもらいましょう。
ただし、初診の医療機関と、後で出てくる「診断書」を作成する医療機関が同じ場合には、この勝利や必要ありません。
5-3. 障がいの状態が分かる診断書を医師に書いてもらう
障がいの状態が分かる診断書を、医師に書いてもらいます。この診断書は、障がいの程度を確認するための重要な客観的資料となり、障害年金の審査でも最重要視されるものです。
診断書には以下の8種類があり、病気やケガの障がいが出ている部位によって診断書を使い分けてください。
1. 眼の障がい用(様式第120号の1)
2. 聴覚、鼻腔機能、平衡機能、そしゃく・嚥下機能、言語機能の障がい用(様式第120号の2) 3. 肢体の障がい用(様式第120号の3) 4. 精神の障がい用(様式第120号の4) 5. 呼吸器疾患の障がい用(様式第120号の5) 6. 循環器疾患の障がい用(様式第120号の6-(1)) 7. 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障がい用(様式第120号の6-(2)) 8. 血液・造血器・その他の障がい用(様式第120号の7) |
5-4. 病歴・就労状況等申立書を作成する
次に、「病歴・就労状況等申立書」を自分で作成します。
「病歴・就労状況等申立書」とは、障がいの原因となった病気やケガについて、発病したときから現在までの経緯をまとめて説明する書類です。受診期間や治療の経過、医師から指示された内容、日常生活の状況、就労状況などを記載します。
5-5. その他の必要書類を用意する(住民票など)
その他、住民票や受取先口座の通帳など、障害年金の請求手続きに必要な書類を用意します。
全員:
・基礎年金番号が確認できる書類(基礎年金番号通知書・年金手帳など) ・生年月日を明らかにできる書類(戸籍謄本、住民票など) ・受取先金融機関の通帳など 配偶者または18歳到達年度末までのお子様(20歳未満で障害の状態にあるお子様を含む)がいる方: ・戸籍謄本 ・世帯全員の住民票の写し ・配偶者の収入が確認できる書類 ・子の収入が確認できる書類 障害の原因が第三者行為の方: ・第三者行為事故状況届 ・交通事故証明または事故が確認できる書類 ・確認書 ・被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことがわかる書類 ・損害賠償金の算定書 ・損害保険会社等への照会に係る「同意書」 |
※その他、本人の状況によって必要となる書類があるケースがあります。
5-6. 年金請求書と必要書類を提出する
ここまでに準備した必要書類を添えて、「年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付)様式第104号」を、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。
5-7. 約3〜4カ月で審査の結果が届く
請求書類を提出後、その書類をもとに日本年金機構が「障害年金を支給するか」を審査し、約3〜4カ月で結果が自宅に届きます。
無事に支給が決まると「年金証書」と「決定通知書」が届きます。その後、約1〜2カ月後から最初の障害年金が口座に振り込まれます。
一方、支給されないという結果になった場合には「不支給決定通知書」が届きます。審査結果に納得できない場合には不服申し立て(審査請求)が可能です。
ここからは、障がい者が受け取れる厚生年金について、多くの方が疑問に思うポイントについて、よくある質問と答えの形式でまとめました。ぜひ参考にしてください。
6-1. 障害年金と老齢年金を両方受け取ることはできるの?
【答え】65歳以降になって、障害基礎(厚生)年金を受けている方が、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられるようになったときは、次のいずれかの組み合わせを選択することができます。
出典:日本年金機構|年金の支給に関すること>年金の併給または選択
(1)障害基礎年金+障害厚生年金を受け取る
(2)老齢基礎年金+老齢厚生年金を受け取る
(3)障害基礎年金+老齢厚生年金を受け取る
ただし、障害基礎年金と老齢基礎年金の組み合わせで受け取ることはできません。
自分のケースではどの年金を受け取るとお得になるかを計算した上で、どの年金を受け取るかを選択しましょう。
6-2. 働きながら障害年金も受け取ることはできるの?
【答え】障害年金の受給は障がいがある方の状態により個別に認定審査をするため、一概に受給が継続できるとはいえませんが、働きながら障害年金を受け取っている方もいます。2019年時点においては、障害年金受給者の約半数が仕事をしている状況です。
そもそも、障害年金の受給条件に「就労の有無」は含まれていないため、「働いているから支給が停止される」ということはありません。
ただし、障害年金は「病気やケガで生活や仕事などが制限される場合に受け取ることができる年金」です。
「以前よりも障がいが軽くなった」のようなケースの場合は、障害年金の認定審査(1〜5年周期)のタイミングで、障害年金の支給が停止されたり減額されたりするケースはありえるといえるでしょう。
さらに詳しく知りたい方は、「半数程度が働きながら障害年金を受給できる!受給が難しいケース2つ」の記事もぜひ参考にしてみてください。
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|
7.まとめ
本記事では「厚生年金加入中の障がい者がもらえる年金」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
厚生年金加入中に障害認定(1〜3級)を受けた場合、障害厚生年金が受け取れる
ただし、一定期間以上の加入期間があり、国民年金の保険料を一定期間以上しっかり払っていることが条件がある |
厚生年金に加入中に障がい者になった方がもらえる年金の一覧
・障がい等級1級・2級の方:障害基礎年金+障害厚生年金がもらえる
・障がい等級3級の方:障害厚生年金がもらえる ・障がい等級3級よりも軽い障がいの方:障害手当金(一時金)がもらえる |
障害厚生年金・障害手当金の金額
・厚生年金に加入していた方が障がい認定された場合の、障害厚生年金および障害手当金の金額は、障がいの程度によって異なる |
厚生障害年金を請求するための手続きステップ
・受給要件を満たしているか確認する
・初診日を証明する書類を揃える ・障がいの状態が分かる診断書を医師に書いてもらう ・病歴・就労状況等申立書を作成する ・その他の必要書類を用意する(住民票など) ・年金請求書と必要書類を提出する ・ 約3〜4カ月で審査の結果が届く |
障がいの状態にもよりますが、障害年金をもらいながら就労している障がい者も多くいます。安心安全の働きやすい職場を探している方は、ぜひ一度コルディアーレ農園の見学にいらしてください。
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