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精神障がい者雇用とは|6つの現状・課題と対策・必要な対応まで解説

「精神障がい者の雇用をする上で、確認するべきところは?はじめて雇用するので不安がある」

精神障がい者の雇用について、上記のように不安に感じていませんか?

精神障がい者の雇用をめぐる状況は今、以下のようになっています。

精神障がい者の雇用数は増加傾向にある

・ほかの障がいに比べて雇用数が少ない・精神障がい者の約85%は非正規で雇用されている

・精神疾患や発達障がいを理由に新規で精神障害者保健福祉手帳を取得する方は年々増加している

・障がい者の法定雇用率が引き上げられるため対応が求められる

長時間の勤務が困難な人への雇用機会の増加が予想される

 このように、今後ますます雇用の増加が予想される精神障がい者ですが、以下のような課題も残されています。

精神障がい者雇用における5つの課題
精神障がい者の職場定着率は約49%と低い

特性に合わせた配慮が必要なため対応に時間と労力がかかる

・周囲の従業員への影響や負担感が増大する

・精神障がい者に適した業務が切り出せない

・キャリア形成、キャリアアップが難しい

上記のような現状や課題を正しく理解せずに精神障がい者を雇用してしまうと、以下のようなトラブルが発生するリスクがあります。

・せっかく雇用したのに、すぐに退職してしまった!

・周りの従業員の負担感が高まり、チームの士気が低下した!

・適切な業務やマニュアルを用意できず、ただ職場にいるだけの状態になってしまった!

人材を採用して育成するには、多くの時間と費用が必要です。上記のトラブルによって、採用に使った時間と費用を無駄にしてしまうことは避けたいものです。

上記のリスクを回避して、精神障がい者の安定的な雇用を実現させるためには、精神障がい者の雇用に関する正しい理解と準備が必要不可欠です。

そこでこの記事では、精神障がい者の雇用について、以下の内容を解説していきます。

この記事を読むとわかること
・精神障がい者雇用を取り巻く環境

・精神障がい者雇用の課題と対策

・精神障がい者雇用を成功させるために必要な対応

・精神障がい者の採用事例

この記事を読むことで、精神障がい者とその雇用について正しく理解することができます。

自社が精神障がい者を雇用するべきかどうか判断できるようになるため、ぜひご覧ください。

【目次】
1. 精神障がい者雇用を取り巻く6つの環境
2. 精神障がい者雇用の課題と対策5つ
3. 精神障がい者雇用を成功させるために必要な対応7つ
4. 精神障がい者の採用事例3つ
5. 精神障がい者の雇用に向いている企業3つ
6. 精神障がい者の雇用は「コルディアーレ農園」にお任せください
7. まとめ


1. 精神障がい者雇用を取り巻く6つの環境

冒頭で解説したように、精神障がい者雇用を取り巻く環境には、以下の6つがあげられます。

・精神障がい者の雇用数は増加傾向にある

・ほかの障がいに比べて雇用総数が少ない

・精神障がい者の約85%は非正規で雇用されている

・精神疾患や発達障がいを理由に新規で精神障害者保健福祉手帳を取得する方は年々増加している

・障がい者の法定雇用率が引き上げられるため対応が求められる

・10時間以上20時間未満の短時間労働者も雇用率の算定対象になる

まずこの章では、上記について、それぞれ詳しく解説します。

 

1-1. 精神障がい者の雇用数は増加し続けている

精神障がい者の雇用数は、年々増加しています。

_____

障害者雇用促進法の改正により、平成30年4月から身体障がい者と知的障がい者に加え、精神障がい者も雇用義務対象者に含まれるようになりました。

その結果、企業の精神障がい者雇用が積極的になり、雇用数の増加につながっています。

参考:障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わりました|厚生労働省

実際に、厚生労働省による「障害者雇用状況の集計結果」を見ても、民間企業による精神障がい者の雇用数が増加していることがわかります。

下記は、障害者雇用促進法の改正前の平成29年と令和元年~令和5年までの精神障がい者雇用数の集計結果をグラフで表したものです。

参考:
令和5年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
令和4年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
令和3年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
令和2年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
令和元年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
平成29年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省

このグラフからもわかるように、法改正前は約5万人だった精神障がい者の雇用数は、令和5年には約13万人となり、約2.6倍に増加しています。

 

1-2. 精神障がい者は身体障がい者に比べて雇用数が少ない

前述したように、精神障がい者の雇用数は増加傾向にあります。

しかし、この雇用数は身体障がい者と比較すると少ない状態が続いており、精神障がい者の雇用数は身体障がい者の三分の一程度に留まっています。

以下は障がい種別ごとの雇用数を比較したグラフです。

参考:
令和5年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
令和4年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
令和3年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
令和2年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
令和元年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省

これは主に企業側に「精神障がい者の雇用のノウハウがない」ことが大きな理由です。

身体障がい者が昭和51年から障がい者の法定雇用率の算定対象に含まれているのに対し、精神障がい者が算定対象となったのは平成30年からです。

この期間の差によって、精神障がい者の雇用に関するノウハウが企業に蓄積されていない可能性が考えられます。

実際に障がい者を雇用している一般企業を対象に実施したアンケート結果を見ても「身体障がい者の雇用に関するノウハウがある」と回答した企業は44.6%に上ります。

しかし「精神障がい者の雇用ノウハウがある」と回答している企業は23.1%しかありません。

参考:精神障害者雇用の現場マネジメントについての定量調査|パーソル総合研究所

このように、精神障がい者の雇用に関するノウハウが不足しているために、身体障がい者と比較したときに雇用数が少なくなると考えられます。

 

1-3. 精神障がい者の約85%は非正規で雇用されている

精神障がい者の雇用数が増加しているとはいえ、その大部分がパートやアルバイトなどの非正規雇用で勤務しているのが現状です。

障がい者総合研究所の調査によると、精神障がい者の正社員の割合は15%です。

出典:キャリアアップに関するアンケート調査 調査Report|障がい者総合研究所

この調査からは、精神障がい者の85%はアルバイトやパートタイムをはじめとした非正規雇用で働いていることがわかります。

正規雇用が少ない主な理由として、精神障がい者が疲れやすかったり、ストレスを感じやすいなどの特性から、短時間勤務を希望する傾向がある点が挙げられます。

以下は令和5年の「障害者雇用状況の集計結果」で公表されている雇用障がい者数の内訳です。この調査結果をみても、実際に約3割の精神障がい者が短時間勤務で働いていることがわかります。

参考として、身体障がい者の短時間勤務の数は約1割です。

参考:
令和5年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省

このように、精神障がいの特性によってフルタイム勤務を困難にしており、結果として精神障がい者の正規雇用が難しくなっています。

 

1-4. 精神障がい者の数自体が増加している

精神障がい者の雇用数だけではなく、精神障がい者の人数自体が増加し続けています。

以下は厚生労働省が公表している精神障がい者数の推移を表したグラフです。

出典:令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会-|厚生労働省

令和2年(2020年)の精神障がい者の人数は、約586万1千人で、平成14年(2002年)の2.5倍以上も増加しています。

こちらは、同じく厚生労働省が公開している精神障害者保健福祉手帳の交付件数の推移を示したグラフです。このデータからも、精神障がい者の人数が増加していることがわかります。

参考:令和4年度衛生行政報告例の概況|厚生労働省

精神障がい者の雇用が増加した主な理由として、社会における障がいへの認識の変化があると考えられます。

近年、周囲に理解されにくかった気分障がいや発達障がいがある人々も、障がいがあるということが広く認識されるようになりました。

また医療機関などで障がいについて相談する人が増えたことで、これまで適切な支援を受ける機会がなかった人々が障がい者手帳の交付などの支援を受けられるようになりました。

このように、障がいに対する認識が徐々に変化した結果、障がい者数の増加につながったと推測されます。

 

1-5. 障がい者の法定雇用率が引き上げられることで対応が求められる

厚生労働省は、企業に義務付けられている障がい者の法定雇用率を2026年に向けて段階的に引き上げる方針を発表しています。

法定雇用率は、現在の2.3%から、2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%と段階的に引き上げられます。

参考:障害者雇用率を段階的に引き上げ、2026年度中に2.7%へ――労働政策審議会障害者雇用分科会が了承|独立行政法人労働政策研究・研修機構

民間企業では現在、従業員43.5人に1人以上の障がい者を雇用する義務がありますが、今後は以下のようにより多くの障がい者を雇用する必要があります。

・2024年4月~ 従業員40人に1人以上

・2026年7月~ 従業員37.5人に1人以上

これによりこれまで障がい者の雇用義務がなかった企業や、最低限の障がい者雇用数を満たしているだけの企業も、新たに障がい者を雇用するなどの対応が求められます。

 

1-6. 長時間の勤務が困難な人の雇用機会の増加が予想される

今後は、精神障がいがある人のなかでも週に20時間未満の短時間労働を希望する人の雇用機会が増加することが予想されます。

なぜなら、令和6年4月1日から、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の短時間労働をしている障がい者も、雇用率において「0.5人」として算定できるようになるからです。

下記の図の赤枠部分が、新たに算定対象となる部分です。

出典:特定短時間労働者の雇用率算定について|厚生労働省

例えば、以下のような短時間労働の人は、これまで雇用率の算定対象から外されていたため、就職活動に消極的になったり、実際に雇用されにくい状況にありました。

・週3日、1日5~6時間勤務

・週5日、1日3.5時間勤務 など

この変更によって、上記のような短時間労働を希望する人をはじめとした、長時間の勤務が困難な人の雇用機会が増えることが期待されています。

なお、この施策によって、これまで週10時間以上20時間未満で働く障がい者を雇用した場合に支給されていた「特例給付金」の制度は廃止となります。

 

2. 精神障がい者雇用の課題と対策5つ

前章で解説したように、精神障がい者の雇用数は増加しているものの、身体障がい者と比べるとまだまだ少ないのが現状です。

その理由の一つとして、精神障がい者の雇用には、以下のような課題が残されていることが挙げられます。

・精神障がい者の職場定着率は約49%と低い

・特性に応じた配慮やサポートが必要なため対応に時間と労力がかかる

・周囲の従業員の負担感が増大する

・精神障がい者に適した業務が切り出せない

・キャリア形成、キャリアアップが難しい

この章では、上記のそれぞれの課題について解説し、実際に精神障がい者を雇用している企業が実践した対策について紹介していきます。

 

2-1. 精神障がい者の職場定着率は約49%と低い

精神障がい者の職場定着率は約49%と低く、およそ2人に1人は就職後1年以内に退職してしまっている状況です。

以下のグラフをご覧ください。

出典:障害者の就業状況等に関する調査研究|職業総合センター

こちらは、2017年に障害者職業総合センターが行なった「障害者の就業状況等に関する調査研究」で公表されている、障がい者の職場定着率を表したグラフです。

このグラフからわかる通り、就職後1年経過した時点での精神障がい者の職場定着率は49.3%です。

職場定着率がほかの障がいに比べて低い主な原因は、精神障がい者がもつ以下の要因にあると考えられます。

・体調や状態に波があり勤怠や成果が不安定になるため

・疲れやすかったり、ストレスや不安に弱かったりするため

・物事のとらえ方にゆがみが生じることがあり、人間関係や業務でトラブルを起こす可能性があるため

上記の要因は、障がいの特性に由来するため、完全に克服することは困難です。

しかし、職場定着率の低さから、企業側に「精神障がい者は雇用してもすぐに辞めてしまうのではないか」という懸念を抱かせてしまう可能性があります。

職場定着率を向上させるためには「精神障がい者一人ひとりに合わせた支援」が必要
職場定着率を向上させるために重要なのは「精神障がい者一人ひとりに合わせた支援」です。

一人ひとりに合わせた支援を行うためには、以下のような取り組みが求められます。

・相談しやすい環境での定期的な個人面談の実施により、体調や精神状態をヒアリングする

・それぞれの障がい特性に合わせて働きやすい環境を整える

・医療機関や就労支援機関と連携し、専門家の助言のもと、効果的な支援策を検討する など

実際に、精神障がい者の職場定着率85%を誇る(株)ダイキンサンライズ摂津では、障がい者一人ひとりの特性や課題などの情報共有を重視しています。

精神障がいのある従業員本人だけでなく、周囲の従業員とも積極的にコミュニケーションをとることで、状況や課題を的確に把握し、適切なサポートを行っています。

こうした手厚いサポートによって、精神障がいがある従業員は安心して長期的に仕事に取り組むことができるようになります。

 

2-2. 個別に配慮が必要なため対応に時間と労力がかかる

精神障がいと一口に言っても、必要な配慮は人によって違いがあり、それぞれ異なる対応が必要です。

そのため雇用する企業にとっては、精神障がい者の雇用自体が負担になってしまうケースがあります。

詳しくは「3-1. 精神障がいの特性や症状について理解する」で解説しますが、精神障がいは以下のようにいろいろな障がいや精神病に起因します。

・気分障がい(うつ病)

・気分障がい(躁うつ病)

・統合失調症

・てんかん

・依存症

・高次脳機能障害

・自閉症スペクトラム

・学習障害(限局性学習障害)

・注意欠陥多動性障害(ADHD) など

さらに、同じ障がいや精神病でも体調の変化は人によって異なり、それぞれに必要な配慮も異なるため、個々の状況に合わせた対応が求められます。

その結果、企業側は今までの雇用ノウハウを活かすことが難しくなります。

精神障がい者を新たに雇用するたびに、最適なサポート体制を構築しなければならず、多大な時間と労力が必要になってしまいます。

個別の障がいや特性に対応するには「専門機関のサポート」を受ける
個別の配慮が必要な精神障がい者の雇用を進めるためには、以下のような取り組みが有効です。

・一人ひとりの特性や症状に合わせた支援計画を作成する

・勤務時間、勤務日数、業務内容などを柔軟に調整できる仕組みを作る

・医療機関や就労支援機関と連携し、適切な支援策を検討する

なかでも、専門機関との連携は重要です。

専門家の支援を活用することで、障がい者雇用の経験やノウハウがない企業でも、適切なサポート体制を構築できます。

 

2-3. 周囲の従業員の負担感が増大する

前述の通り、精神障がい者を雇用するときには、周囲の従業員の配慮やサポートを含む個別の配慮が必要です。

しかし、十分な配慮をしようと工夫した結果、周囲の従業員の負担感が大きくなってしまうケースがあります。

精神障がい者の特性は、勤怠や仕事の成果、人間関係が不安定になりやすい傾向にあるため、日常的に次のような問題が起きる可能性があります。

・体調を崩して割り当てられた業務が終わらない

・コミュニケーションが難しく、ほかの従業員とトラブルになった

・成果物のチェック中に不安からパニックになり、過呼吸を起こした

・精神的な調子の波により仕事の進捗が日ごとに大きく異なり、業務の進行に影響が出た

・業務に没頭しやすく、休憩を適切に取れていない

上記のような状況となると、周囲の従業員による声かけや、進捗の管理、業務の代行などのサポートが必要になります。

このような状況が続くと周囲の従業員の負担感が増え、不満を抱えてしまうリスクがあります。

サポートする従業員負担軽減策として「業務フローや仕事内容の見直し」が効果的
周囲の従業員の負担感を軽減するためには、業務フローや仕事内容の見直しが重要です。

具体的には、以下のような仕事内容の見直しが考えられます。

・複雑な作業を単純化し、精神障がい者が理解しやすい形にすることで、指導者の負担を軽減する

・業務分担を見直し、特定の従業員に負担が偏らないようにする

・業務マニュアルを整備し、従業員全員が業務内容や手順を理解できるようにする など

この取り組みでは、障がいのある従業員への支援と同時に、周囲の従業員に過度な負担がかからないよう環境を整えることが求められます。

また障がいがある従業員だけでなく、従業員全員を対象とした定期的な面談を行うことも効果的です。

これにより、サポート役の従業員が抱える不満を早期に発見し、適切な支援や問題解決のための改善策をすぐに検討することができるようになります。

 

2-4. 精神障がい者に適した業務が切り出せない

精神障がい者を雇用するとき、本人に最適な業務を切り出すことが難しいと考えている企業が多くあります。

前述したように、精神障がい者には一人ひとりの特性や得意・不得意に違いがあります。そのため一般的な採用のように、単に前任者の業務を引き継がせるだけでは適切な業務を割り当てることはできません。

つまり、一人ひとりの特性やスキルに応じた業務の切り出しが不可欠だと言えます。

総務専門誌である『月刊総務』の調査でも、以下のように企業が障がい者の雇用に関して感じている課題のひとつが「業務の切り出し」であることがわかります。

また、「適性・能力が発揮できる仕事への配置」も63.6%の企業が課題だと感じています。

出典:障がい者雇用についての調査|月刊総務オンライン

このように、精神障がい者雇用の大きな課題のひとつとして、精神障がい者に適した業務を切り出すことが挙げられています。

精神障がい者に最適な業務を切り出すためには「一人ひとりの特性や能力を理解する」
精神障がいがある従業員それぞれに最適な業務を切り出すためには、一人ひとりの特性や能力を深く理解することが重要です。

一般的に精神障がい者に適した仕事には、ノルマがない仕事や一人で黙々と進められる仕事などが挙げられます。

しかし、前述の通り障がい特性や得意分野はそれぞれ異なるため、同じような方法で業務を割り振っても適切な配置にはなりません。

したがって、個人面談などを通して障がい特性やスキルについて十分に理解を深め、それに基づいて業務内容や配置を決定することが重要です。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機が公開している「障害者雇用事例リファレンスサービス モデル事例」では、実際に障がい者を雇用している企業の取り組みを紹介しています。

精神障がい者が従事している業務も公開しているため、ぜひ参考にしてください。

 

2-5. キャリア形成・キャリアアップが難しい

1-3. 精神障がい者の約85%は非正規で雇用されている」で解説したように、精神障がい者の多くは非正規雇用者です。

また正社員になれた場合でも、キャリアアップが難しいのが現状です。

理由としては、以下のような点が挙げられます。

・短時間勤務で働く人が多いため

・体調に波があり勤怠や成果が不安定になると思われているため

・コミュニケーション能力が求められる役職には適していないと思われているため

障がい者総合研究所が行ったアンケート調査では、精神障がい者の98%が役職を持たない一般社員だと回答しており、キャリアアップの難しさが伺えます。

出典:キャリアアップに関するアンケート調査|障がい者総合研究所

しかし、キャリアアップへの関心が全くないわけではありません。実際に、働いている精神障がい者の約8割がキャリアアップに関心を持っているというデータがあります。

出典:キャリアアップに関するアンケート調査|障がい者総合研究所

この「キャリアアップしたいのにできない」という気持ちが仕事への意欲低下につながっている可能性があります。

精神障がい者のキャリア形成支援に必要なのは「公平なキャリアアップの仕組みづくり」
精神障がい者のキャリア形成・キャリアアップを支援するためには、企業側が精神障がい者のスキルや適性を正確に評価する制度を整備する必要があります。

1-3. 精神障がい者の約85%は非正規で雇用されている」で解説した通り、精神障がい者は短時間労働で働いている人が少なくありません。

雇用形態や労働時間の短さを理由にキャリアアップの機会を制限するのではなく、能力に応じた昇進・昇格の機会を提供することが求められます。

例として、平成26年度に障害者雇用職場改善の好事例として最優秀賞を受賞した第一生命チャレンジド株式会社の取り組みを紹介します。

この会社では、年に2回、従業員一人ひとりの職位と成長に応じて個人の目標を設定し、その達成度を評価する「目標管理制度」を実施しています。

この制度により、設定した目標を達成したり、優れた働きをしたりした障がいのある従業員も、その実績に応じて職位が上がるという仕組みがあります。

参考:第一生命チャレンジド株式会社|平成26年度障害者雇用職場改善好事例最優秀賞

このように、精神障がい者を雇用する企業には公平なキャリアアップの仕組みづくりが求められています。

3. 精神障がい者雇用を成功させるために必要な対応7つ

前章では、精神障がい者を雇用する際の課題について解説しました。

前述した5つの課題から考えると、精神障がい者雇用の成功とは、下記のような状態を指すといえます。

・精神障がい者本人が満足して就業を継続できている

・周囲の従業員の理解が進んでおり、負担等が大きくなっていない

このような状態を目指すために、企業はどのような対応をするべきなのでしょうか。

この章では、精神障がい者雇用を成功させるために必要な、以下の7つの対応について解説します。

・精神障がいの特性や症状について理解する

・一人ひとりに合わせた合理的配慮を提供する

・業務の進め方や相談先などをマニュアルにまとめる

・定期的に個人面談を実施する

・ほかの従業員に配慮してほしい事項を周知する

・医療機関や支援機関と連携する

・【5人以上の障がい者を雇用する場合】障害者職業生活相談員を選任する

それでは、それぞれの対応についてみていきましょう。

 

3-1. 精神障がいの特性や症状について理解する

精神障がい者雇用を成功させるためには、まず精神障がいについて正しく理解することが大切です。

代表的な精神障がいには、それぞれ主に以下のような特性や症状があります。

<代表的な精神障がい>

気分障がい

(うつ病)

・気分の波が大きくなる気分障がいのうち「うつ状態」のみが見られる障がい

・うつ状態では、強い気分の落ち込みや無気力、強い疲労感、思考力の低下、希死念慮などが起きる など

気分障がい

(躁うつ病)

・気分の波が大きくなる気分障がいのうち「うつ状態」と「躁(そう)状態」を繰り返す障がい

・躁状態では不自然に気分の高揚感が持続し、浪費をしたり不眠不休で活動をしたりする

・万能感が強くなり、頑固になったり怒りやすくなったりする など

統合失調症 ・主な症状として幻覚や妄想がある障がい

・疲れやすさと集中力の欠如から、身体などを清潔に保つことに苦手意識を持つことがある

・思考がまとまりづらく、周囲にうまく合わせることができない など

てんかん ・一時的に脳の一部が興奮することで発作が起こる障がい

・多様な発作のタイプがあり、けいれんを伴うタイプ、突然意識を失うタイプ、

意識はあるが、認知の変化を伴うタイプなどがある

依存症 ・適度な依存を超えて、その行為を繰り返さないと満足できない状態になる障がい

・自力で行為を止めることができず、心身に障がいが生じる可能性がある

・代表的な依存症にアルコール、薬物、ギャンブルなどがある

高次脳機能障がい ・事故や病気の影響で、脳にダメージを受けることで起きる障がい

・新しい情報を覚えるのが難しい「記憶障がい」や集中力が続かなくなる「注意障害」、感情の制御が難しい「社会的行動障がい」など多様な障がいがある

参考:精神障害(精神疾患)の特性(代表例)|厚生労働省 精神・発達障害者しごとサポーター 養成講座

上記はあくまで代表的な精神障がいの特性・症状の一部です。

なお精神障がいの特性や症状は人によって様々です。そのため、実際に精神障がい者を雇用するときは積極的に医療機関や支援機関と連携をとったり、本人の意見をきくなどの対応が必要です。

障がいの特性や症状について、詳しくは以下のサイトが参考になります。ぜひご覧ください。

障害者差別解消法 福祉事業者向けガイドライン」|厚生労働省

はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

 

3-2. 一人ひとりに合わせた合理的配慮を提供する

令和6年4月より、障がい者を雇用するときには、一人ひとりあわせた合理的配慮を提供することが法律によって義務付けられています。

出典:事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化されます|政府広報オンライン

合理的配慮とは、障がいのある人が働く上で直面する不便や困りごとを取り除くための、個別の調整や変更のことを指します。

画一的な対応ではなく、一人ひとりに合わせた合理的配慮を行うことが、職場定着や業務の成果向上につながります。

合理的配慮の例として、以下のようなものが挙げられます。

・通院がある日にはテレワークを許可する

・対人恐怖が強い従業員が通勤ラッシュを避けられるように、時差出勤を許可する

・感覚過敏のある従業員に、ノイズキャンセリングヘッドホンの着用を認める

・他人に話しかけることが難しい従業員向けに、毎朝10分の定例会議を実施する

・聴覚情報の処理が苦手な従業員に会議資料を事前共有する など

精神障がい者の雇用では、本人の障がい特性をよく理解した上で、個別に必要な配慮を探っていくことが大切です。

また「3-1. 精神障がいの特性や症状について理解する」で解説した、障がいごとの特性についても理解することで、より適切に必要な配慮を提供できるようになります。

合理的配慮の具体的な例については、以下のサイトが参考になります。ぜひご覧ください。

合理的配慮等具体例データ集 合理的配慮サーチ」|内閣府

障害者雇用事例リファレンスサービス 合理的配慮事例」|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

 

3-3. 業務の進め方や相談先などをマニュアルにまとめる

雇用する精神障がい者の特性によっては、業務の進め方や業務の上での相談先などをマニュアルにまとめ、業務の見える化を図る必要があります。

これは、障がいの特性による以下のような理由で指示が伝わりにくいケースがあるためです。

・人に話しかけることが難しく、質問や確認をすることに極度の緊張やストレスを感じてしまう

・情報処理能力に偏りがあり、聴覚から入る情報を処理するのが難しい

・周囲の雑音が気になって、口頭の指示が上手く理解できない

・短期記憶に障がいがあり、口頭で伝えられた指示を覚えておくことが難しい

・集中力を維持することが難しく、指示の内容を十分に理解できない など

精神障がいがあると、上記のような理由で指示された内容を覚えられなかったり、聞き漏らしてしまったりすることがあります。

 そのための対応策として、障がいの特性に合わせたマニュアルの作成が効果的です。

精神障がい者向けのマニュアルを作成するときには、以下のポイントを意識してみてください。

・短い文章や箇条書きでわかりやすく書く

・「定期的に」や「ときどき」といった曖昧な表現を避け「週に1回」のように具体的に書く

・5W1H(いつ・誰が・どこで・何を・なぜ・どのように)を明確にする

・文章だけでなく、写真や図、表、フローチャートなどを使い視覚的に表現する

・読みやすさを考慮して、行間を開けたり、適切な余白を設ける など

マニュアルが準備されていれば、従業員は自分のペースで業務について確認することができ、精神的な負担やストレスを軽減することが可能となります。

 

3-4. 定期的に個人面談を実施する

精神障がい者を雇用するときには、定期的に個人面談を実施し、不調の兆候がないかを確認することが大切です。

精神障がい者の中には、体調の変化を自覚しにくかったり、言い出せず我慢してしまったりする人もいます。定期的な面談を習慣化することで、体調の変化を見逃さず、適切なサポートにつなげることが可能になります。

例えば、普段の業務のなかで以下のような変化が見られた場合は、体調が悪化しているサインかもしれません。

・作業のミスや効率の低下が目立つようになった

・無断欠勤や遅刻・早退が増えた

・身だしなみを気にしなくなった

・表情が暗くなった

・雑談に参加する頻度が減った など

定期的な面談を行うことで、上記のような変化のサインを見逃さず、速やかに対応することが可能です。

これにより、大きな不調が起きる前に本人に体調や気分の変化などを聞き取ることができ、業務時間の調整や業務量の軽減など対策を講じることが可能になります。

 

3-5. ほかの従業員に配慮してほしい事項を周知する

精神障がい者の雇用を成功させるためには、同僚や上司など周囲の従業員からの配慮が欠かせません。

そのために、勉強会や研修、冊子の制作・配布などを行い、周囲の従業員の理解を深める必要があります。

周りの従業員の理解が不十分な場合、精神障がい者に必要な配慮やサポートが得られないだけでなく、職場に馴染めず孤立感を感じる可能性があります。その結果、不安感やストレスを強く感じ、離職につながる可能性も高くなります。

そこで、ほかの従業員の不安を軽減するために、事前に精神障がい者本人と企業の間で合意した内容を周知する必要があります。

周囲の従業員に周知するべき内容として、以下のような項目があります。

・精神障がいに関する基礎知識

・配慮してほしい事項と具体的な実践方法

・体調不良時の対応方法

・通院の必要性及び通院時の欠勤や遅刻・早退の有無

・コミュニケーションの取り方や言葉遣いに関する注意点 など

このような情報を共有することで、精神障がい者と一緒に働く上での不安や疑問を解消し、円滑な業務遂行につなげることが可能になります。

 

3-6. 医療機関や支援機関と連携する

精神障がい者の雇用では、医療機関や就労支援機関など専門機関と連携することが、安定した雇用や円滑な業務遂行につながります。

なぜなら、精神障がい者の体調の変化や特性によるトラブルに、会社だけで対応するのは難しい場合があるからです。

医療機関や就労支援機関との連携内容には、以下のようなものが挙げられます。

・採用した従業員に必要な合理的配慮について相談する

・従業員が新しい職場に慣れるまでの間、ジョブコーチなどの専門家にサポートしてもらう

・従業員に必要な通院や服薬管理について、主治医と情報を共有する など

参考:職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について|厚生労働省

このように専門機関との連携により、会社だけでは見落としやすい点や対応が困難な点についても適切なサポートを受けることができます。

 

3-7. 【5人以上の障がい者を雇用する場合】障害者職業生活相談員を選任する

障害者の雇用の促進等に関する法律」によって、企業が5人以上の障がい者を雇用する企業では「障害者職業生活相談員」の選任が義務付けられています。

障害者職業生活相談員とは、採用した障がい者の就業をサポートすることを目的として従業員のなかから選ばれる担当者のことです。

障害者職業生活相談員は、主に以下のように障がい者の業務に関するサポートだけでなく、人間関係や日常生活にわたり幅広い相談や指導を行います。

・障がいがある従業員に適した業務の選定

・障がいがある従業員が不便なく就労できる作業環境の整備

・「職場に馴染めない」「休憩時間の過ごし方がわからない」などの相談に対応する

・睡眠時間や食事の内容など健康管理に関する相談対応や指導

・医療機関や支援機関との連携の対応 など

参考:
障害者職業生活相談員について|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
障害者職業生活相談員の活躍事例、お役立ち情報|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

また障がいのある従業員だけではなく、周囲の従業員に対して障がいに関する説明や研修を行い、理解や協力を促すための働きかけも行います。

このように、障害者職業生活相談員は、障がいのある従業員にとっての心強い味方です。様々な場面で適切なサポートを行い、障がいのある従業員の業務や生活をサポートします。

 

4. 精神障がい者の採用事例3つ

ここまでの内容で、精神障がい者の雇用について理解出来たかと思います。

とはいえ、具体的に「実際に雇用したらどのようになるのか」まではイメージしづらいかもしれません。

そこでこの章では、厚生労働省が公開している精神障害者雇用事例集「精神障害者とともに働く」から、以下の3つの実例を紹介します。

・金融業 S社・専門家を含む「精神障害者雇用促進チーム」を結成

・電気業 K社:適性に合わせて割り当てられる多様な業務を用意

・製造業 D社:雇用前の実習期間で適性を判断

それでは、それぞれの事例を見ていきましょう。

 

4-1. 金融業 S社:専門家を含む「精神障害者雇用促進チーム」を結成

S社は、障がい者の雇用を促進し、その雇用と就業を安定させる目的で設立された「特例子会社」です。

この企業では、精神科医や行政の担当者などの専門家を含む「精神障害者雇用促進チーム」を結成し、短時間雇用制度の導入や割り振る業務の精査などの仕組みづくりを行いました。

この企業で精神障がい者に割り振られている業務には、次のようなものがあります。

・手形・小切手帳発行の電話受付・印刷・発送などのデスクワーク

・預金出入表の調査業務、書類内容の点検などの確認作業 など

このように、S社では専門家の意見を活かしながら精神障がい者が働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでいます。

主な取り組み
・精神障がい者が働きやすい環境作りを目的とした「精神障害者雇用促進チーム」の結成

・外部委託の精神科医やカウンセラーによる月に一度のカウンセリング

・本人の体調や状況によって勤務時間の増減が可能な短時間勤務の導入

・社内広報用リーフレットの作成・配布や勉強会の開催などによる職場内での理解促進 など

 

4-2. 電気業 K社:適性に合わせて割り当てられる多様な業務を用意

この企業では精神障がい者雇用において、特に就労準備性(就労を継続していくために必要な条件が備わっているか)を重視した取り組みを行っています。

例えば「服薬ができているか」「わからないことを質問できるか」などの項目について、採用直後から職場に定着するまで繰り返し確認を行っています。

K社で精神障がい者に割り振られている業務には、次のようなものがあります。

・接客(肥料の販売等)、農園整備(除草等)、農園事業の企画などの農園管理業務

・(植込みや植替え・水遣り等のメンテナンス)、観葉植物のリースなどの花壇管理

・伝票入力、会計審査、入金処理、などのIT関連業務

・来客受付、電話応対、備品管理 などの一般事務 など

業務の難易度や特性は様々ですが、いずれも障がい者の適性に合わせて割り当てられています。

このようにしてK社では、精神障がい者が抱える不安や問題をいち早く発見し、適切なサポートを行っています。

主な取り組み
・周囲の従業員のサポート力向上を目的に(臨床心理士、精神保健福祉士)を採用

・精神障がいの特性や課題に応じたサポートを実施するために雇用促進チームを結成

・精神障がいのある従業員が集まって話し合うテーマミーティング毎月開催

・睡眠時間や食欲の有無など日常生活に関する記載欄を含めた業務日誌の提出 など

 

4-3. 製造業 D社:雇用前の実習期間で適性を判断

早くから精神障がい者雇用しているD社では、雇用前に実習期間を設けることで仕事の適性や職場への適応能力を見極めています。

正式に採用した後も、仕事とのミスマッチが発生した場合に迅速に配置変更などの対応するなど、状況に応じた細やかな対応を行っています。

この企業で精神障がい者に割り振られている業務は、主に次の様な業務です。

・受付業務、名刺作成などの一般事務

・部品組立や県さなどの製造業務 など

このように、D社では精神障がい者の適性や能力に合わせて業務を割りふることで、安定した職場定着を図っています。

主な取り組み
・従業員が相談に使えるカウンセリングルームの設置

・精神障がい者ごとに組まれたチームによる「個別ケース会議」の開催と情報の共有

・問題の共有と対応を目的とした「精神障害者雇用促進チーム」の結成

・障がい者が自分の症状や体調を正直に記録する「作業日誌」の習慣化 など

 

5. 精神障がい者の雇用に向いている企業3つ

ここまで解説してきたように、精神障がい者の雇用には、いまだ多くの課題が残されています。

ここまで読んだ人のなかには、「本当に精神障がい者を採用するべきなのだろうか」と悩んでいる人もいるかもしれません。

精神障がい者の雇用に向いている企業の特徴は、以下のとおりです。

・障がい者雇用が中々進まない、順調ではない企業

・すでにテレワークや短時間勤務が制度化されている企業

・積極的にSDGsやESGに取り組んでいる企業

ここからは、それぞれの企業について解説していきます。

 

5-1. 障がい者雇用が中々進まない、順調ではない企業

現在障がい者雇用が順調ではない企業は、精神障がい者の雇用を検討するのがおすすめです。

1-5. 障がい者の法定雇用率が引き上げられるため対応が求められる」で触れたように、企業には、障がい者の法定雇用率の達成が求められています。

法定雇用率の達成は、企業にとって重要であり、達成できない場合には「障がい者雇用納付金を納付しなければならない」などのペナルティが課されます。

さて前述の通り、近年では精神障がい者の雇用環境は徐々に整備されつつあり、雇用数も増加し続けています。

このような流れがあるため、障がい者雇用率の達成に苦戦している企業は、精神障がい者の雇用を強化することで、状況改善できる可能性があるのです。

 

5-2. すでにテレワークや短時間勤務が制度化されている企業

すでにテレワークや短時間勤務が制度化されている企業は、精神障がい者の雇用に向いているといえます。

なぜなら「3-2. 個々の障がいに合わせた合理的配慮を提供する」で触れたように、精神障がい者の就労には、柔軟な働き方が求められるからです。

例えば、テレワークであれば通勤のストレスを軽減でき、短時間勤務であれば体調に合わせて無理なく働くことができます。

したがってすでにそれらが制度化・運用されている企業の場合、比較的スムーズに合理的配慮が提供できるというメリットがあります。

 

5-3. 積極的にSDGsやESGに取り組んでいる企業

積極的にSDGsに取り組んでいる企業は、精神障がい者の雇用にも積極的に取り組むべきです。

SDGsとは、国連が定めた持続可能な複数の開発目標のことです。全ての国と人が達成を目指すべき目標であり、それは日本の企業も例外ではありません。

目標のなかには「若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。」というものががあります。

つまり、障がい者雇用はSDGsの達成に向けた重要な取り組みの一つなのです。

SDGsに積極的に取り組んでいる企業にとって、精神障がい者の雇用は検討するべき課題です。SDGsの達成に向けて、障がい者雇用を進めることは、企業の社会的責任を果たすことにもつながります。

 

6. 精神障がい者の雇用は「コルディアーレ農園」にお任せください

「精神障がい者の雇用って難しそう」

「障がい者の雇用ノウハウを持たない弊社では難しいかもしれない」

ここまでの内容を読んで上記のように感じた人もいるのではないでしょうか。

このような不安を感じている企業様は、ぜひ私たち株式会社JSHが運営するコルディアーレ農園の利用をご検討ください。

コルディアーレ農園は、地方農園の運営を通じて障がい者の雇用を生み出す「地方創生型障がい者雇用支援サービス」です。

コルディアーレ農園では、以下の仕組みで企業の障がい者雇用に貢献します。

農園で働く障がい者と管理者は弊社がご紹介するため、採用から募集、定着までサポートいたします。

また精神障がい者を受け入れるのために業務を切り出す必要がなく、採用担当者の負担を大幅に軽減できます。

ほかにもコルディアーレ農園では、以下の強みを活かして社会貢献と障がい者雇用の両立を実現するお手伝いが可能です。

・精神障がい者が安心して長く働ける環境を提供します

・精神障がい者の採用から職場定着までまとめてサポートします

・導入企業170社以上!業界や地域を問わずご利用いただいています

ここからは、コルディアーレ農園の3つの強みについて詳しく解説していきます。

 

6-1. 精神障がい者が安心して長く働ける環境を提供します

コルディアーレ農園では、精神障がい者が安心して長く働ける環境を提供しています。

コルディアーレ農園の強みは、障がい者一人ひとりの特性に配慮した就労環境を企業と連携しながら提供している点です。

具体的には、それぞれの障がいの特性や程度に応じた、以下のような環境づくりを行っています。

・弊社社員による障がい者の業務補助/アドバイス/送迎/昼食の手配などの各種サポート

・精神科に特化した常駐看護師による血圧・体温測定/問診/服薬の確認など健康管理

・農園専用車両による通勤のサポート

・行政機関や医療機関との連携による個別の障がい特性に応じた配慮の提供 など

上記のような取り組みの結果、多くの企業が障がい者の1年以上の長期定着を実現していらっしゃいます。

このように、私たちは精神障がい者の特性に寄り添った就労支援を行い、安定した障がい者雇用率の実現を実現しています。

 

6-2. 精神障がい者の採用から職場定着までまとめてサポートします

コルディアーレ農園では、障がい者の採用から仕事の提供・職場定着までワンストップでのサポートが可能です。

1-2. 精神障がい者は身体障がい者に比べて雇用数が少ない」でも触れたように、多くの企業では精神障がい者の雇用ノウハウが十分に蓄積されていません。

このような状況下で障がい者の雇用を進めるとき、専門的な支援があると心強いものです。

コルディアーレ農園では、以下のように精神障がい者の採用から職場定着まで幅広いサポートを提供しています。

・障がい者の募集や採用

・採用決定後の入社関連書類の整備

・業務や事務作業に対するサポート

・適切な職務のマッチング

・雇用する障がい者の体調管理

・雇用する障がい者の日常生活面のサポート など

このように、採用から職場定着までのサポートを一貫して提供することで、人事担当者様の負担を減らすことが可能になります。

 

6-3. 導入企業170社以上!業界や地域を問わずご採用いただいています

コルディアーレ農園は、業界や業種を問わず、実に170社を超える企業様よりご採用いただいております。

これまでに1,000人以上の障がい者が、安心して働ける環境で活躍中です。

実際に、ご利用いただいている企業様からは、以下の声をいただいています。

一番の決定理由は、企業側の都合による職場環境ではなく、看護師常駐や救護スペース設置など、とにかく障がい者の視点から職場環境が整備されているという点です。
”障がい者が安心して働ける職場”と実感!

このように、コルディアーレ農園では障がい者が安心して働ける環境が整っていることから、多くの企業様から高い評価をいただいております。

精神障がい者の雇用を検討している人は、ぜひコルディアーレ農園にお問い合わせください。

>>お気軽にお問い合わせください<<

7. まとめ
この記事では、精神障がい者の雇用について解説しました。

最後に、この記事の内容を振り返りましょう。

〇精神障がい者雇用を取り巻く現状として、以下の6つが挙げられます。

精神障がい者の雇用数は増加傾向にある

・ほかの障がいに比べて雇用数が少ない

・精神障がい者の約85%は非正規で雇用されている

・精神疾患や発達障がいを理由に新規で精神障害者保健福祉手帳を取得する方は年々増加している

・障がい者の法定雇用率が引き上げられるため対応が求められる

長時間の勤務が困難な人の雇用機会の増加が予想される

〇精神障がい者の雇用数は増加しているものの、身体障がい者と比べるとまだまだ少ないのが現状です。

その理由の一つとして、精神障がい者の雇用には以下のような課題が残されていることが挙げられます。

精神障がい者の職場定着率は約49%と低い

個別に配慮が必要なため対応に時間と労力がかかる

・周囲の従業員の負担感が増大する

・精神障がい者に適した業務が切り出せない

・キャリア形成、キャリアアップが難しい

〇精神障がい者雇用を成功させるためには、以下の7つの対応が求められます。

・精神障がいの特性や症状について理解する

・一人ひとりに合わせた合理的配慮を提供する

・業務の進め方や相談先などをマニュアルにまとめる

・定期的に個人面談を実施する

・ほかの従業員に配慮してほしい事項を周知する

・医療機関や支援機関と連携する

・【5人以上の障がい者を雇用する場合】障害者職業生活相談員を選任する

〇コルディアーレ農園では、障がい者の採用から職場定着までサポートが可能です。

精神障がい者の雇用に不安を感じている企業様は、ぜひ私たち株式会社JSHが運営するコルディアーレ農園の利用をご検討ください。

この記事を書いた人

株式会社JSH|矢野 翔太郎

株式会社JSHにて障がい者雇用支援サービス「コルディアーレ農園」のスキーム開発から営業までを担当。
企業側の障がい者雇用の課題解決だけではなく、農園開設や運営にも携わることで、障がい者雇用のリアルな現場にも正対。
障がい者雇用における関連法案や海外の雇用事情についての知見もあり、セミナー等を通じて障がい者雇用に関する様々な情報発信もおこなっています。

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