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calendar_today2024/10/07

autorenew2024/10/21

障がい者雇用における週20時間未満勤務とは|算定方法や事例を紹介

障がい者の週20時間未満勤務って法律上ではどういう扱いになっているの?
障がい者の週20時間未満勤務という働き方を自社に取り入れるべきか悩んでいる…

と感じていませんか。

障がい者の週20時間未満の勤務は、以下のように障がい者雇用率の算定対象となります。

【障がい者雇用におけるカウント方法(単位:人)】
週の所定労働時間 30時間以上 20時間以上

30時間未満

10時間以上

20時間未満

身体障がい者 1 0.5
重度身体障がい者 2 1 0.5
知的障がい者 1 0.5
重度知的障がい者 2 1 0.5
精神障がい者 1 1 0.5

ただし、週20時間未満の障がい者の方の勤務が算定対象となるとはいえ、実際に自社にそういった働き方を取り入れるかどうかは悩みどころです。

実際に、障がい者雇用において週20時間未満の勤務を企業に取り入れる場合、以下のようなメリットや注意点があります。

4つのメリット 2つの注意点
・助成金を受けることができる

・法定雇用率の達成につながる

・業務効率向上に期待できる

・人材不足を解消できる

・業務をうまく割り振らないと業務に支障をきたす可能性がある

・コミュニケーション不足に陥る可能性がある

もし注意点には目を向けず、メリットだけを見て取り入れた場合、

・業務がうまく回らない
・障がい者を雇用できたはいいものの定着しない

などのリスクがあるのです。

そのため、自社にとって取り入れるべきものかどうかは慎重に選ぶ必要があります。

そこでこの記事では、以下の内容を解説します。

この記事からわかること
・週20時間未満の勤務は障がい者雇用率の算定対象となる

・週20時間未満の障がい者雇用に積極的に取り組む企業の成功事例

・障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れるメリット

・障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れる際の注意点と対策

・障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れるのに向いている企業

・障がい者雇用において20時間未満で採用して定着させるコツ

この記事を読むことで、障がい者雇用における週20時間未満の勤務について理解できます。

また、実際に自社に週20時間未満の障がい者の働き方を導入するべきかどうか判断できるようになるでしょう。

ぜひ最後までお読みください。

【目次】
1. 週20時間未満の勤務は障がい者雇用率の算定対象となる
2. 週20時間未満の障がい者雇用に積極的に取り組む企業の成功事例3つ
3. 障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れる4つのメリット
4. 障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れる際の2つの注意点と対策
5. 障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れるのに向いている企業
6. 障がい者雇用において20時間未満で採用して定着させる5つのコツ
7. まとめ


1. 週20時間未満の勤務は障がい者雇用率の算定対象となる

先にもお伝えしたように、障がい者雇用において週20時間未満の労働時間で勤務してもらった場合でも、障がい者雇用率の算定対象となります。

それでは、「週20時間未満」で働く障がい者の雇用について、どのように法律で規定されているのでしょうか。

まずは週20時間未満の障がい者雇用について、法律で定められていることを以下のポイントから分かりやすく解説します。

【週20時間未満の勤務は障がい者雇用率の算定対象となる】

 

・障がい者雇用における週20時間未満勤務とは

 

・特例給付金はない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

1-1.障がい者雇用における週20時間未満の勤務とは

障がい者雇用における週20時間未満の勤務とは、国の障がい者雇用率制度において、

週所定労働時間10時間以上20時間未満の精神障がい者、重度身体障がい者及び重度知的障がい者について、事業主が雇用した場合、雇用率「0.5人」として算定できるようになる

というものです。

現在、障がい者雇用における算定方法は以下のとおりです。
赤字の部分が、週20時間未満勤務も算定対象となることを示しています。

【障がい者雇用におけるカウント方法(単位:人)】
週の所定労働時間 30時間以上 20時間以上

30時間未満

10時間以上

20時間未満

身体障がい者 1 0.5
重度身体障がい者 2 1 0.5
知的障がい者 1 0.5
重度知的障がい者 2 1 0.5
精神障がい者 1 1 0.5

参考:厚生労働省「令和5年障害者雇用の状況の集計結果

対象となるのは、上記の表から分かるように、

・重度身体障がい者
・重度知的障がい者
・精神障がい者

であり、障がい特性や程度を理由に長時間働くことが難しい方に限定されています。

 

1-2.特例給付金はない

2023年度までは、週20時間未満で障がい者を雇用する企業に対して「特例給付金」が支給されていましたが、現在は廃止されています。

特例給付金制度は、法定雇用率の算定対象(週20時間以上)とならない、「週10時間以上20時間未満」で就労する障がい者の雇用を進める企業に対し、従業員数に応じた支給額を上限の範囲内で支給するものでした。

2024年4月以降は、「週10時間以上20時間未満」で就労する障がい者も雇用率の算定対象となったため、特例給付金制度は廃止されています。

ネットで検索すると「週10時間以上20時間未満で就労する障がい者がいる場合は、特例給付金が受け取れる」といった情報がありますが、古い情報となりますので、誤認しないようにしましょう。

 

2.週20時間未満の障がい者雇用に積極的に取り組む企業の成功事例3つ

1章では障がい者の週20時間未満勤務に関する法規定についてお伝えしましたが、「自社にとって取り入れるべきものかどうか」を判断するためには、他社の取り組みが気になるところです。

そこで2章では、障がい者雇用における週20時間未満勤務を実践している企業の取り組み事例を、以下3つご紹介します。

週20時間未満の障がい者雇用に積極的に取り組む企業の成功事例3つ
・「ショートタイムワーク」の取り組み/ソフトバンク

・保育士の業務量削減を実現/レイモンド中原保育園

・人手不足の解消/増田屋

それぞれ見ていきましょう。

 

2-1.「ショートタイムワーク」の取り組み

1つめの事例は、ある企業の「ショートタイムワーク」の取り組みです。

「ショートタイムワーク」は、週20時間未満から働ける制度で、「短時間なら働けそう」という思いの障がい者が働けるチャンスがない、という課題解決のためにスタートしました。

ショートタイムワークは、業務担当者が細かく業務を分類して、苦手な業務やほかの人に分担してもらったほうが生産性をアップできる業務を切り出して、ショートタイムワーカーに任せるという仕組みです。

具体的には、以下のような取り組みを行いました。

取り組み
・営業担当者が、営業業務を「商談・データ入力・書類作成・情報収集」に分類する

・「データ入力」や「情報収集」をショートタイムワーカーに任せる

その結果、ショートタイムワーカーが切り分けた業務を行ってくれている間に、営業担当者は「商談」や「書類の作成」など、自分にしかできない仕事に専念できるようになりました。

またショートタイムワーカーの働きによって、営業担当者の業務効率が向上しました。

 

2-2.保育士の業務量を削減

2つめの事例は、ある保育園の「保育士の業務量削減」です。

近年、保育士の業務量の多さは大きな問題となっています。

そこでこの保育園では、以下の取り組みを行いました。

取り組み
・清掃などの業務を、週20時間以内勤務の障がい者に依頼する

・雇用を始める前に、「急な変化への対応が苦手」という障がいの特性を把握する

・園内清掃やおもちゃ消毒など「同じ場所で同じことができる」業務を中心に依頼する

その結果、これまで保育士が清掃や消毒を行っていた時間で保育業務に専念できるようになり、業務負担が軽減されました。

 

2-3.人手不足の解消

3つめの事例は、「人手不足の解消」です。

あるお寿司屋さんでは、これまで「アナゴを焼く」などピンポイントの業務でパート職員を雇っていました。

そうした中、

・パート職員に複数の業務を任せると「負担が大きい」と辞められてしまう
・1つの業務に絞ってパートを求人すると労働時間が短すぎて人が集まらない

という悩みがありました。

そこで以下の取り組みを行いました。

取り組み
・週20時間以内勤務の障がい者を雇用する

・炊飯用の機械を使用した「シャリ作り」を専門として障がい者の方に働いてもらう

もともとパート職員の募集のために細かく仕事を切り出せていたことで、障がい者雇用にスムーズに移行できました。

雇用した障がい者の方は、今ではフォローなく1人で仕事をこなし、人材不足に陥ることなく、寿司屋を運営できるようになっています。

 
3.障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れる4つのメリット

成功事例にて週20時間未満勤務についてのイメージが膨らんだところで、具体的なメリットをご紹介します。

自社に障がい者雇用における週20時間未満勤務を取り入れるかどうかを判断する材料となりますので、しっかり確認しておきましょう。

それでは、以下4つのメリットをご紹介していきます。

障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れる4つのメリット
・助成金を受けられる

・法定雇用率の達成につながる

・業務効率向上に期待できる

・人材不足を解消できる

それぞれのメリットについて、内容を見ていきましょう。

 

3-1.助成金を受けられる

1つめのメリットは、「助成金を受けられる」ことです。

というのも、週20時間未満で障がい者を雇用した場合は、以下の「トライアル雇用助成金」を受けられる可能性があるのです。

【トライアル雇用助成金】

 

障がい者を試行的に雇用した場合、または週20時間以上の勤務が難しい障がい者を、20時間以上の勤務を目指して試行雇用した場合に助成される

障がい者雇用においては、社内の受け入れ体制を整えたり、仕組みを作ったりと、手間やコストが必要になります。

そのため、こうした助成金を受けられるのは20時間未満の働き方を取り入れるメリットの一つといえるでしょう。

 

3-2.法定雇用率の達成につながる

2つめは「法定雇用率の達成につながる」ことです。

先にもお伝えしたとおり、2024年4月から、以下のように週10時間以上20時間未満の重度の身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者も雇用率の算定対象に含まれるようになっています。

【障がい者雇用におけるカウント方法(単位:人)】
週の所定労働時間 30時間以上 20時間以上

30時間未満

10時間以上

20時間未満

身体障がい者 1 0.5
重度身体障がい者 2 1 0.5
知的障がい者 1 0.5
重度知的障がい者 2 1 0.5
精神障がい者 1 1 0.5

参考:厚生労働省「令和5年障害者雇用の状況の集計結果

このように、算定対象の範囲が広がったことで、企業は法定雇用率を達成しやすくなっているのです。

 

3-3.業務効率向上に期待できる

3つめのメリットは、「業務効率向上に期待できる」ことです。

障がい者を雇用し、「短時間でもいいからお願いしたい業務」を切り出して担当してもらうことで、コア業務に専念しやすくなります。

その結果、結果的に業務効率をアップさせることができるのです。

たとえば、先ほどの事例「2-2.保育士の業務量を削減/レイモンド中原保育園」では、保育士の業務の中から「清掃業務」を切り出して障がい者の方に担当してもらい、業務効率化を図っていました。

このように、うまく業務を切り出して、短時間でもお願いしたいような業務を週20時間未満勤務の障がい者の方に依頼すれば、コア業務に専念でき、効率化に期待できるでしょう。

 

3-4.人材不足を解消できる

4つめのメリットは「人材不足を解消できる」ことです。

その理由は、障がいの有無にかかわらず優秀な人材がいるためです。

たとえば身体障がい者の場合、目が見えないなどの身体的な制約はありますが、業務に必要な知識やスキルには何の影響もなく、一般的な従業員と同じように働くことができます。

また知的障がい者や精神障がい者の中にも、細かい作業に対する高い集中力やルーチンワークにおける正確性などが優れていることもあります。

実際に、独立行政法人高齢・障害・休職者雇用支援機構が公開している「障害者の職場定着と戦力化」では、以下のように障がい者の労働が評価されています。

・仕事ぶりはゆっくりだが、丁寧なので、間違いが少なく信頼できる

・勤怠が安定しており、一定の作業量を確実にこなしてくれる

出典:独立行政法人高齢・障害・休職者雇用支援機構「障害者の職場定着と戦力化

したがって、障がいの有無にかかわらず、優秀な人材を確保すれば、人手不足を解消できるといえるでしょう。

 

4.障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れる際の2つの注意点と対策

障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れる際には注意点もあります。
それは以下の2つです。

障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れる際の注意点と対策
・業務をうまく割り振らないと業務に支障をきたす可能性がある

・コミュニケーション不足に陥る可能性がある

 

4-1.業務をうまく割り振らないと業務に支障をきたす可能性がある

1つめは「業務をうまく割り振らないと業務に支障をきたす可能性がある」ことです。

週20時間未満という超短時間勤務に合わせた業務内容を設定しないと、労働時間に対して業務が多すぎて、全体の業務の進行が遅れてしまう可能性があるのです。

たとえば、障がい者雇用枠で週20時間未満勤務をするBさんを例に考えてみましょう。

Bさんには書類整理とデータ入力の業務を割り振りました。

 

ところがBさんの勤務時間は週15時間にもかかわらず、割り当てられた業務は週30時間程度かかるものでした。

 

Bさんは、毎日仕事に追われ、時間内に業務を完了できない日が続きます。

 

そして業務の未完了部分が積み重なり、他の従業員がその業務をカバーする必要が生じ、全体の業務の進行が遅れてしまいました。

このように、業務をうまく割り振らないと業務に支障をきたしてしまい、障がい者本人や同じ環境で働く従業員のストレス、モチベーション低下につながるケースがあります。

こうした事態を避けるためには、

・短時間で完結できる業務を切り出す

・明確な業務範囲と目標を設定する

・業務内容が適切かどうか定期的に見直し、必要に応じて調整を行う

といった対策を行うようにしましょう。

【あわせてお読みください】

 

以下の記事では障がい者雇用に向けた業務の切り出し方を詳しく解説しています。

ぜひあわせてお読みください。

 

【障がい者雇用】業務の切り出しの基礎知識|正しい方法とポイント3つ

 

4-2.コミュニケーション不足に陥る可能性がある

2つめの注意点は「コミュニケーション不足に陥る可能性がある」ことです。

フルタイム勤務者とは異なり、週20時間未満勤務の障がい者の方は、職場にいる時間が限られ、同僚や上司とのコミュニケーションが不足しがちです。

そのため、チームの一体感が欠けたり、重要な情報やフィードバックが伝わらなかったりするケースがあるのです。

たとえば、平日13:00-17:00の勤務を行う障がい者雇用のAさんを例に考えてみましょう。

Aさんの勤務先では、朝の9:00~10:00の間にチームミーティングを行い、1日の業務内容や重要な連絡事項を共有しています。

しかし、Aさんは13:00に出勤するため、このミーティングに参加できず、

・ミーティングで共有された情報をリアルタイムで受け取れない
・後でメールや同僚から伝えられる情報に頼ることになる
・同僚に聞きたいことを聞くタイミングがなくなる

といった状況になってしまいます。

その結果、

・重要な業務の納期がミーティングで共有された場合、Aさんがそれを知らずに他の業務に集中してしまい、後でその情報を知ったときには、納期遅延が発生してしまっている

 

・ミーティングでチームビルディングやアイデアの共有が行われる場合、Aさんが参加できないことで、他のメンバーとの連携が取りにくくなり、Aさんが孤立感を感じ、退職につながる

などのリスクが発生してしまうのです。

そのため以下のポイントに気をつけ、意識的にコミュニケーションを増やすための工夫が必要になります。

・チャットツールを活用して日常的にコミュニケーションを図る

・ミーティングは障がい者雇用の方もいる時間帯に行う

 

などの方法でコミュニケーションの機会を増やすことが重要です。

 

5.障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れるのに向いている企業

ここまで障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れるメリット、注意点をそれぞれ解説しました。

ここでしっかり自社に導入するべきか判断できるよう、5章では障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れるのに向いている企業の特徴を以下3つご紹介します。

障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れるのに向いている企業
・業務の種類が多い企業

・すでに柔軟な働き方を導入している企業

・業務プロセスが明確で分担しやすい企業

それぞれ見ていきましょう。

 

5-1.業務の種類が多い企業

1つめは「業務の種類が多い企業」です。

さまざまな種類の業務を抱える企業は、業務内容を細分化しやすく、短時間で完結するようなタスクを多く抱えている傾向にあります。

そのため、週20時間未満のような超短時間勤務者にも適した業務を割り当てやすいのです。

たとえば、

データ入力、ファイリング、書類整理などの短時間で完了するタスクが多い企業

システムテストやデバッグ、データ管理などの特定の短時間業務が多い企業

などは業務の種類が多く、業務内容を細分化しやすいケースが多くあります。

したがって、業務の種類が多岐に渡るような企業は障がい者の週20時間未満の働き方を取り入れるのに向いているといえるでしょう。

 

5-2.すでに柔軟な働き方を導入している企業

2つめは「すでに柔軟な働き方を導入している企業」です。

柔軟な働き方を導入している企業は、超短時間勤務のスケジュールを組みやすく、障がい者の方に合わせた柔軟な勤務体系を設定できるのです。

たとえば、以下の業務を行う企業は柔軟な働き方となっており、うまく超短時間勤務を取り入れやすくなっています。

コールセンター:シフト制を導入しており、超短時間勤務のシフトも組みやすい

カスタマーサポート:問い合わせ対応などの業務が細分化されており、超短時間勤務ができる

このように柔軟に勤務できる環境が整っている企業は、週20時間未満勤務の障がい者雇用を取り入れるのに向いているといえるでしょう。

 

5-3.業務プロセスが明確で分担しやすい企業

3つめは「業務プロセスが明確で分担しやすい企業」です。

なぜなら業務プロセスが明確で、タスクが細かく分担されている企業は、超短時間勤務者に対して具体的な業務を明確に指示しやすく、効率的に仕事を進められるからです。

たとえば、以下の業務を行う企業は週20時間未満勤務の障がい者雇用に向いています。

製造業:組立作業や検品作業など、短時間で完了する工程が多い

物流企業:ピッキングや梱包作業など、超短時間勤務者に割り当てやすいタスクが多い

このように業務プロセスがはっきりと分かれており、分担しやすい業務がある場合は、週20時間未満勤務の障がい者雇用にとくに向いているといえるでしょう。

 

6.障がい者雇用において20時間未満で採用して定着させる5つのコツ

障がい者雇用において20時間未満の働き方を取り入れようと方針を固めた場合、「どうすれば自社で長く働いてもらえるか」は気になるところです。

そこで6章では障がい者雇用において20時間未満で採用して定着させるコツを以下5つご紹介します。

障がい者雇用において20時間未満で採用して定着させる5つのコツ
・障がい者雇用に対する理解を部署内に広げる

・障がいの種類によって違う特性を理解する

・社内コミュニケーションを強化する

・社内制度を整える

・障がい者雇用を支援してくれる機関との連携や支援制度を活用する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

6-1.障がい者雇用に対する理解を部署内に広げる

1つめのコツは「障がい者雇用に対する理解を部署内に広げる」ことです。

定着率を上げるためには、従業員みんなで障がい者の方にストレスを感じさせないように、環境や雰囲気づくりをしておく必要があります。

そうすることで、障がい者の方にとっても居心地の良い職場を作り上げることができ、長く定着してもらえるのです。

たとえば、以下のような情報を全体で事前共有しておくと、部署内で障がい者に対する理解が進み、障がい者の方がストレスなく職場で働けることが想像できるのではないでしょうか。

事前に部署内(社内で共有しておきたい項目)
・障がい者をその部署に配属した理由や意図

・障がいについて、特性や対応可能な範囲を確認

・障がいに対してどのような対応が必要なのか、適したコミュニケーション方法など

・障がい者に関するトラブルが発生した場合の対処法や責任者など

このように、障がい者を雇用するために部署内で事前に把握しておきたい情報を共有しておきましょう。

そうすることで障がい者の方にとって居心地の良い職場環境にでき、定着率の高い職場にすることができるでしょう。

 

6-2.障がいの種類によって違う特性を理解する

2つめは「障がいの種類によって違う特性を理解する」ことです。

というのも、「障がいの特性によって働きやすい環境」「おすすめの接し方」が異なるのです。

障がい者の特性には、以下のような特性があるため、知っておくことで、障がい者従業員にとって働きやすい環境を作り上げることができます。

【障がい者の特性】
種類 特性
身体障がい 立ったり座ったりする動作や、物を持ち運ぶ動作が難しい
知的障がい 複雑な会話や自分の意見を述べること、文章の読み書きや計算が苦手
精神障がい 体調や感情のコントロールが上手にできない
発達障がい 特定のことに対しては集中力を発揮するが落ち着きがない

ただしあくまでも上記は、障がい者を大きく4つに分けて考えた場合のグループです。

具体的な病名や障がいの度合いが分かれば、さらにその人の特性を絞り込むことができ、接し方を検討することができるでしょう。

 

6-3.社内コミュニケーションを強化する

3つめは「社内コミュニケーションを強化する」ことです。

障がい者の離職理由の上位には「社内の雰囲気や人間関係」がランクインしています。

そのため、障がい者と一般従業員のコミュニケーションを強化すれば、離職の可能性を下げることができるのです。

具体的には、以下のように具体的なポイントを意識しながらコミュニケーションを取りましょう。そうすることで、障がい者とのコミュニケーション不足を解消できます。

障がい者とコミュニケーションを取る時のポイント
・事前に共有されている障がい者に関する情報を把握しておく

・1対1で会話するように心がける

・口頭だけではなく複数のパターンで説明する(紙の資料・メール・イラストや図を使うなど)

・あいまいな表現を避けて指示する

・腫れ物に触るような接し方をしない

・障がいの特性を理解して接する(声の大きさ・距離・ボディタッチなど)

 

6-4.社内制度を整える

4つめは「社内制度を整える」ことです。

平成25年度障害者雇用実態調査結果」によると、とくに以下3つは「職場で改善が必要な事項」の上位となっています。

・能力に応じた評価・昇進・昇格

・調子の悪い時に休みを取りやすくする

・コミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置

こうした改善点を放置してしまうと、労働条件や制度について不満を感じて離職する障がい者の方が増える可能性があります。

そこで、社内制度の改善が重要になるのです。

具体的には、以下の社内制度を整えることで改善ができます。

社内制度の例
・昇進、昇級制度

・有給休暇や傷病休暇の日数

・フレックスタイム制度

・時短勤務や在宅勤務制度

・求職や復職をサポートしてくれる制度

障がい者が働き続けたいと感じてくれるような職場環境を作るためにも、障がい者の視点から社内制度を見直していきましょう。

 

6-5.障がい者雇用を支援してくれる機関との連携や支援制度を活用する

5つめは「障がい者雇用を支援してくれる機関との連携や支援制度を活用する」ことです。

専門の支援機関に依頼することで、

・障がい者雇用に関する専門知識
・医療知識

などを考慮したうえで、より良い労働環境を作るサポートを受けられるのです。

そして障がい者が働く上で感じている不安や問題を一緒に改善していくことができます。

したがって、障がい者の方に定着してもらうためには、支援機関を積極的に活用していくのがおすすめです。

【企業継続率99%】農園型障がい者雇用支援サービスをご活用ください!

 

私たちJSHは、障がい者と企業をつなぐ、農園型の障がい者雇用支援サービスを提供しています。

「コルディアーレ農園」とは、地域に住む障がいのある方と都心部の企業さまが雇用契約を結び、手厚いサポートのある農園で勤務する仕組みの事業です。

 

JSHのコルディアーレ農園では、知見を活かして障がいがある方の能力開発をするお手伝いができます

 

「障がいのある方に業務を教える方法が分からない」

「コミュニケーションが上手に取れない」

 

などの状況では関係を構築しにくく、離職やトラブルを招くでしょう。

 

JSHは精神科勤務経験のある看護師やジョブコーチなどの有資格者が日々のコミュニケーションを行いながら、安定就労、能力開発に向けたサポートします。

 

その結果、良好な関係を築きつつ、やりがいを感じながらお仕事に取り組んでいただいています。

 

また、JSHではケアマネジメントの実践モデルとして注目されている「ストレングスモデル」を採用しているところも特徴です。

 

障がいのある方のできることや得意なことに着目をして、前向きに取り組める工夫をしています。

 

企業さまの負担を軽減しつつ、障がいのある方がやりがいを持ち業務ができる支援をぜひ私たちJSHにお手伝いさせてください。

 

障がい者雇用を検討中の企業様は、ぜひ一度JSHへご相談ください。

 

 

7. まとめ
この記事では、障がい者雇用について週20時間未満勤務の基礎知識について解説しました。

◆週20時間未満の勤務は障がい者雇用率の算定対象となる

◆障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れるメリット

・助成金を受けられる

・法定雇用率の達成がしやすくなる

・業務効率向上に期待できる

・人材不足を解消できる

◆障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れる際の注意点と対策

・業務をうまく割り振らないと業務に支障をきたす可能性がある

・コミュニケーション不足に陥る可能性がある

◆障がい者雇用で週20時間未満の働き方を取り入れるのに向いている企業

・業務の種類が多い企業

・すでに柔軟な働き方を導入している企業

・業務プロセスが明確で分担しやすい企業

◆障がい者雇用において20時間未満で採用して定着させるコツ

・障がい者雇用に対する理解を部署内に広げる

・障がいの種類によって違う特性を理解する

・社内コミュニケーションを強化する

・社内制度を整える

・障がい者雇用を支援してくれる機関との連携や支援制度を活用する

本記事が障がい者雇用において週20時間未満の働き方を検討する際に参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

株式会社JSH|矢野 翔太郎

株式会社JSHにて障がい者雇用支援サービス「コルディアーレ農園」のスキーム開発から営業までを担当。
企業側の障がい者雇用の課題解決だけではなく、農園開設や運営にも携わることで、障がい者雇用のリアルな現場にも正対。
障がい者雇用における関連法案や海外の雇用事情についての知見もあり、セミナー等を通じて障がい者雇用に関する様々な情報発信もおこなっています。

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