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calendar_today2021/10/26

autorenew2023/10/26

【人事向け】障がい者雇用の給料はどう決める?平均額や減額制度について解説

障がい者雇用において、給料設定に悩む企業様も多いのではないでしょうか。

この記事は、障がい者の給料相場を障がい別・事業所規模別などに詳しくまとめました。
また、障がい者の給料を検討する際に知っておきたい制度についても解説しています。

自社の障がい者雇用の給料水準を策定する際に、ぜひ参考になさってください。

【目次】

1.障がい者の給与は全体平均で約14.6万円
2.身体障がい者の給料
3.知的障がい者の給料
4.精神障がい者の給料
5.発達障がい者の給料
6.障がい者の給料が低い理由は?
7.障がい者雇用における給料の決め方
8.最低賃金を減額する『減額特例許可制度』について
9.まとめ

 

1.障がい者の給与は全体平均で約14.6万円

障がい者雇用における障がい別・事業所規模別・産業別の給料について、厚生労働省からリリースがありました。

障がい者全体の給与を平均すると約14万6,000円で、
中でも身体障がい者の給与が平均約21万5,000円と最も高い水準となっています。

※本記事における「給与」は所定外労働給与を含む定期給与を指します

<図:障がい者全体および障がい別給与平均>

参考:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

 

2.身体障がい者の給料

身体障がい者全体の平均給与は、約21万5,000円です。
前述の通り、全障がい種別のうち最も高い水準となっています。

<図:身体障がい者の所定労働時間別平均給与>

参考:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

 

障がい種類別の給与

<図:身体障がい者の障がい種類別平均給与>

参考:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

障がい種類別に比較すると、「内部障がい」を持つ人の給与水準がやや高いことが分かります。

内部障がいとはその名の通り体の内部の障がいのことで、
視覚的・聴覚的・身体的なアドバンテージが他の身体障がいよりも少なく、担当できる業務の範囲が広いため、
給与水準が高くなっていることが考えられます。

(参考)内部障がいの種類
心臓機能障がい/腎臓機能障がい/呼吸機能障がい/膀胱・直腸機能障がい/
小腸機能障がい/
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障がい/肝臓機能障がい

 

事業所規模別の給与

<図:身体障がい者の事業所規模別平均給与>

参考:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

事業所規模が大きくなるほど、給与水準も高くなっていく傾向にあることが分かります。

 

3.知的障がい者の給料

知的障がい者の平均給与は、約11万7,000円です。
これは全ての障がいのなかで最も低い水準となっています。

<図:知的障がい者の所定労働時間別平均給与>

参考:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

 

事業所規模別の給与

<図:知的障がい者の事業所規模別平均給与>

参考:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

事業所規模別の給与の傾向は先ほどの身体障がい者のケースと同様で、
事業所規模が大きいほど給与が高い傾向にあることが分かります。

 

4.精神障がい者の給料

精神障がい者の平均給与は、約12万5,000円です。

<図:精神障がい者の所定労働時間別平均給与>

参考:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

 

障がい種類別の給与

<図:精神障がい者の障がい種類別平均給与>

参考:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

 

障がい種類別に見てみると、身体障がい者と同様に、障がいによって給与水準にやや違いがあることが分かります。

 

事業所規模別の給与

<図:精神障がい者の事業所規模別平均給与>

参考:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

他の障がい同様、事業所規模が大きいほど給与が高い傾向にあります。

 

5.発達障がい者の給料

発達障がい者の平均給与は、約12万7,000円です。

 

障がい種類別の給与

<図:発達障がい者の障がい種類別平均給与>

参考:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

 

障がい種類別に比較すると、「言語障がい」「協調運動障がい」を持つ人の給与水準が突き抜けて高いことが分かります。

発達障がい者全体の給与水準は身体障がい者に比べてかなり低い傾向にありますが、
「言語障がい」「協調運動障がい」を持つ人だけでみれば、身体障がい者全体の給与平均よりも高い水準となっています。

これらは他の発達障がいと比較して日常業務に影響が出づらく、比較的多種多様な業務を担当しやすいためだと考えられます。

 

事業所規模別の給与

<図:発達障がい者の事業所規模別平均給与>

参考:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

 

繰り返しになりますが、いずれの障がいにおいても事業所規模の大きさと給与水準の高さは比例することが分かります。

 

6.障がい者の給料が低い理由は?

国税庁の発表によると、令和元年の全国の年間給与平均額は436万円で
単純計算すると月当たりの給与は約36万3,000円となります。
障がい者の
平均給与が約14万6,000円であることを考えると、
障がい者の給与水準は健常者と比較して半額以下であることが分かります。

なぜここまで大きな差があるのでしょうか。障がい者の給料が低くなってしまう要因を見ていきましょう。

①雇用形態

障がい者雇用では半数以上の人が非正規雇用で働いています。

<参考:障がい別の正社員の割合>
身体障がい者:52.5%
知的障がい者:19.8%
精神障がい者:25.5%
発達障がい者:22.7%

参照:厚生労働省『平成30年度障害者雇用実態調査の結果を公表します』

障がい者に限らず非正規雇用では正規雇用に比べて低待遇になる傾向にあることから、
非正規労働者の多い障がい者の給与水準はおのずと低くなります。

②勤務時間

障がい者には短時間勤務で働いている人の割合も多くなっています。

<参考:障がい別・所定労働時間が週30時間以上の割合>
身体障がい者:79.8%
知的障がい者:65.5%
精神障がい者:47.2%
発達障がい者:59.8%

参照:厚生労働省『平成30年度障害者雇用実態調査の結果を公表します』

最も数値の低い精神障がい者では、働いている人のうち半数以上が短時間勤務をしていることが分かります。
勤務時間が短ければその分給与は低くなりますので、これも障がい者の給与水準を下げている大きな要因のうちの一つと言えます。

③業務内容

障がいを持っている場合、その特性ゆえに担当できる業務に制限ができてしまう場合があります。

例えば、一般的に定型業務になじみやすいとされている発達障がいを持つ人は
マニュアルがしっかり決まっている事務作業を担当したり
精神障がいが原因で体調を崩しやすい人は、柔軟に休みが取りやすい業務を担当するといったケースです。

軽作業や補助業務など比較的簡易な業務では、一般的に見ても給与はあまり高くありません。
業務内容に制限がかかることも、障がい者の給与が上がりづらい要因になっています。

 

7.障がい者雇用における給料の決め方

障がい者の給料を決定するうえでは、一般の社員と同じく主に以下の3つの観点を踏まえて総合的に判断していきましょう。

①雇用形態
②労働条件(労働時間、勤務地、業務内容 等)
③最低賃金

一口に「障がい者」と言ってもそれぞれの特性や得意分野は異なります。
一人ひとりの社員に対して適切な給与設定を行えることが理想です。

 

8.最低賃金を減額する『減額特例許可制度』について

上記で「最低賃金」について触れましたが、
実は障がい者雇用においては最低賃金の減額が認められるケースがあり、
これを『減額特例許可制度』と言います。

この制度は最低賃金法で定められている一律の最低賃金が、かえって雇用機会を減らしてしまうことを防ぐために作られました。
ただし、単に障がいがあるだけで適用されるわけではなく、
障がいが業務の遂行にとって明らかに支障がある場合に認められ、減額率もケースによって異なります。

制度を利用する具体的な方法を見ていきましょう。

1.比較対象者を選定する

対象者の労働能率を比較するために、以下の条件に合う労働者を選定します。

✔対象者と同一、類似の業務に従事している
✔最低賃金と同等以上の賃金が支払われている
✔上記2点が当てはまる中で最低位の能力を有する

2.減額率の上限を算出する

ステップ1で選定した比較労働者の労働能率を「100分の100」とし、
これに対する減額対象者の労働能率が不足している割合分が減額できる率の上限になります。

例えば減額対象者の労働能率が比較労働者の労働能率に対して「100分の70」である場合、減額できる率の上限は30%となります。

<計算例>
最低賃金が1,000円/減額率の上限が30%の場合

減額できる額:1,000円×30%=300円
減額後の最低賃金:1,000円-300円=700円

つまり、このケースでは時給700円を下限とした給与設定を行う必要があります。

3.給与を設定する

ステップ2で算出した減額率の上限を踏まえて、
対象者の職務内容・成果・経験等を総合的に勘案し、支払う給与を設定します。

4.申請を行う

減額特例許可制度を適用するためには、都道府県労働局長の許可を受ける必要があります。
許可申請書の提出先は、事業の所在地を管轄する労働基準監督署です。

許可申請書のフォーマット等については、厚生労働省のHPから詳細をご確認ください。

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▼減額特例許可制度について詳しくはこちら
厚生労働省『最低賃金の減額の特例許可申請書様式・記入要領』
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9.まとめ

この記事では、障がい者の給料をテーマに、平均給与の相場や制度について解説しました。

しかし、大枠は理解できていても
「どのくらいの金額にしたら良いか分からない」
「そもそもどんな業務を依頼すれば良いか分からない」とお悩みの担当者様もいらっしゃるかもしれません。

株式会社JSHでは、

「障がい者雇用についてよくわかっていない…」
「募集しても採用につながらない…」

「何かとトラブルが多く、定着率が低い…」

といった障がい者雇用に関する様々な課題を持つ企業様に向けて、
採用から定着まで包括的なサポートサービスを提供しています。

障がい者雇用にお悩みの担当者様は、ぜひお問い合わせください。

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▼JSHの障がい者雇用支援サービスについて詳しくはこちら
地方の農園を活用した障がい者雇用支援サービス『コルディアーレ農園』
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この記事を書いた人

株式会社JSH|矢野 翔太郎

株式会社JSHにて障がい者雇用支援サービス「コルディアーレ農園」のスキーム開発から営業までを担当。
企業側の障がい者雇用の課題解決だけではなく、農園開設や運営にも携わることで、障がい者雇用のリアルな現場にも正対。
障がい者雇用における関連法案や海外の雇用事情についての知見もあり、セミナー等を通じて障がい者雇用に関する様々な情報発信もおこなっています。

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