コラム詳細
2021/09/21
autorenew2025/04/12
【障がい者雇用のメリット】業務改善に売上高3割増も?企業価値向上につながる理由とは
障がい者雇用というと、なんとなく「大変そう」「難しそう」と感じ、
後回しにしてしまっている企業担当者様も多いのではないでしょうか。
しかし、実は企業が障がい者雇用を行うことには様々なメリットがあります。
この記事では、障がい者雇用のメリットを詳しく見ていきます。
また、反対に課題として挙げられるものと、それを解決するためのポイントも解説します。
【目次】
1.障がい者雇用における企業側のメリット
2.障がい者雇用における障がい者側のメリット
3.企業の法定雇用率の達成状況
4.障がい者雇用における課題
5.障がい者雇用を成功させるためのポイント
6.まとめ
1.障がい者雇用における企業側のメリット
専門的・優秀な人材の獲得ができる
障がい者の中には専門的な知識・スキルを持つ人材も多くいます。
しかし、障がいのあること自体が就職のハードルになるケースもあるため、
一般的な採用よりも優秀な人材を採用しやすい傾向にあります。
また、障がいがあるからこそ活かされる特性もあります。
例えば、発達障がいの一つである「アスペルガー症候群」や「自閉症」などを持つ障がい者は、
新しい環境に馴染むことには時間がかかる一方で、慣れてくると一つのことに注力できるという特性を持っており、
特定の分野において専門家顔負けのレベルに到達することがあります。
業務の最適化・効率化を図るきっかけになる
障がい者を雇用する場合、特性によっては他の一般社員と同じ仕事を依頼できないケースもあり、
その際は各人に合った業務を切り出す必要があります。
この「業務切り出し」を行うことは、日々の業務を見直し、最適化・効率化を図るきっかけになります。
人事管理能力が向上する
障がいを雇用すると単純に障がい者雇用のノウハウや経験を蓄積することができるだけでなく、
障がい特性に合わせて「個人の能力を発揮できるような体制」を考える機会が与えられます。
この視点を持つことで、同時に障がいを持っていない社員の個々の活躍にも目が向けられるようになり、
組織として人事的な管理能力の向上にも繋がります。
多様性のある企業文化・組織作りができる
昨今は、決まった形に当てはめるのではなく、個人一人ひとりの能力を活かすような
「ダイバーシティ」の考え方が世界的に推進されています。
障がいのある人が組織に加わることで、障がいの有無に関わらず「個人の違い」を理解し認め合う風土が醸成され、
多様性のある組織に成長していくことが期待できます。
ビジネスの拡大につながる
多様性の向上がビジネスにもたらす効果として、ダイバーシティへの取り組みに特に精力的な米国における調査を見てみましょう。
アクセンチュア社が発表した調査によると、
調査対象140社のうち、ダイバーシティの取り組みに秀でている45社の企業は
その他の企業と比較して平均28%も売上が高く、純利益が倍で、利益率も4%高いことが分かりました。
さらに、株主への総利回りも2倍ということが明らかになりました。
障がい者雇用をはじめとした多様性の向上に取り組むことで、
企業文化が醸成され、その企業文化が従業員にとっての力強い価値基準となり、
結果として売上や利益などにも良い効果をもたらしていると考えられます。
参考:アクセンチュア株式会社『The Disability Inclusion Advantage』
企業の社会的責任(CSR)を果たせる
障がい者雇用によって障がいのある人が活躍できる場所を積極的に提供していくことは、
「社会的に意義のある行動」として認識され、企業イメージの向上に繋がります。
ビジネスにおける利益創出だけでなく社会的責任(CSR)を果たすことが重要視されている今、
障がい者雇用の積極的な推進は企業のアピールポイントになるでしょう。
助成金を受け取れる
障がい者を雇用すると、国から助成金を受け取ることができます。
雇用にあたっての助成金だけでなく、安定的な雇用を目指した活動や
障がい者自身のスキルアップのための活動に対して支払われる助成金もあります。
助成金についてはこちらの記事に詳しくまとめていますので、ご覧ください。
障がい者雇用の助成金が目的別にまるわかり!【2020年版(令和2年版)】
逆に、障がい者雇用を行わないと…
雇用義務があるにも関わらず「障がい者雇用を行わない」ことは企業にとって以下のようなデメリットがあります。
つまり、障がい者雇用を行うことによって、これらを回避することができます。
・納付金を納めなければならない
・ハローワークからの行政指導が入る
・厚生労働省のホームページで企業名が公表される
※企業規模や雇用人数の不足程度によって上記の内容は異なります
経済的な圧迫だけでなく、社名公表による企業イメージの低下も避けられない問題となるでしょう。
今は企業規模的に障がい者の雇用義務がない場合でも、
いずれ企業が成長を遂げ、義務が生じた際にスムーズに取り組めるよう早めに準備を始めておくことをおすすめします。
2.障がい者雇用における障がい者側のメリット
配慮を受けやすく心理的負担が少なくなる
一般枠で採用された場合、自分の障がいを隠して勤めるケースがあります。
その場合、例えば職場でのコミュニケーションや業務の進め方に支障があったとき、
周りの同僚から理解を得られず関係が悪化してしまう可能性があります。
その点で障がい者枠での就職は、面接時および採用後も人事担当者や職場の同僚が障がいを認識し、
自分にあった作業の進め方ができるように配慮してくれるため心理的な負担がなくなります。
体調が悪い日に休みやすい
障がい者雇用では、体調不良の際の通院や体調を崩さないように時短勤務することなどが
雇用条件の中にあらかじめ折り込まれているケースが多くなっています。
そのため、体調が悪い日に無理をすることなく柔軟な調整が可能です。
ジョブコーチのサポートを受けられる
企業と障がい者の間に入ってコミュニケーションや業務定着のサポートをする人を「ジョブコーチ」といい、
障がい者を雇用する企業は国からの助成金によってこのサポートを利用できます。
障がい者枠での雇用を行っている企業であればこのような手厚いサポートも期待できるため、
さらに障がい者にとっての働きやすい環境づくりが期待できます。
一般的な作業所などに比べて給与が高い傾向にある
障がい者にとって、企業以外の一般的な就職先として「就労継続支援施設」があります。
これは障がい者のための福祉施設ですが、給与はとても低く、
厚生労働省からリリースされたデータによると、工賃が月額約1.6万円でした
(代表的な就労支援施設の中で最も就労数が多い就労継続支援B型の場合)。
一方で、企業での障がい者雇用の給与は平均で月額約14.6万円となっており、
企業で働く障がい者の方が約9倍もの給与を得ていることが分かります。
就労継続支援施設は、通常の支援所に雇用されるのが困難な方に対して雇用の機会を与えるものですので、一概に比較は出来ません。
ただ、生活に少しでも経済的なゆとりを持ちたいと考えている障がい者の方にとって、
金銭的な面で大きなメリットがあることは間違いないでしょう。
3.企業の法定雇用率の達成状況
日本では、一定規模以上の企業に対して障がい者雇用を義務化しており、
令和3年8月現在の「法定雇用率(=全社員に対する障がい者の必要雇用割合)」は2.3%となっています。
しかし、厚生労働省のデータによると、法定雇用率を達成出来ている企業は全体のうち48%のみで、
およそ半分の企業が法定雇用率を達成できていない状況にあります。
<図:企業の法定雇用率達成状況>
ここまで障がい者雇用におけるメリットを挙げてきましたが、
メリットが多い一方で、なぜ障がい者雇用を十分に行えていない企業が多いのでしょうか。
4.障がい者雇用における課題
厚生労働省の調査によると、障がい者雇用を行っていない企業は以下のような理由を挙げています。
<図:企業が障がい者を雇用しない理由>
ここからは、障がい者雇用のハードルとなっている「課題」を一つずつ見ていきましょう。
当該障がい者に適した業務がないから
この課題は企業全体の約8割が挙げており、それ以外の項目とおよそ50%ほどの差をつけています。
障がい者を雇用する場合、特性によっては他の一般社員と同じ仕事を依頼できないケースもあり、
その際は各人に合った業務を切り出す必要があります。
しかし、日々状況が変わっていく中で業務を障がい特性に合わせてその都度切り出すのは難しく、管理にも負担がかかってしまいます。
また、株式会社JSHがすでに障がい者雇用を行っている企業の人事担当者様を対象に実施した独自調査でも、
やはり「業務の切り出し」に関する問題が多く挙がりました。
<抜粋:株式会社JSHの独自調査より/人事担当者様の声>
・働く場所の提供に苦慮している (輸送機器・自動車/社員数101-300名)
・受け入れ部署の選定、仕事の洗い出しが難しい (商品取引/社員数51-100名)
施設・設備が対応していないから
障がい者を雇用するには、その障がいに配慮した施設・設備が必要になります。
例えば足に障がいのある社員がいる場合、段差部分に車いす用のスロープや手すりが必要ですが、
元々そのような施設・設備を持っていない職場も少なくありません。
新設するには手間や費用が掛かってしまうことから、敬遠する企業も多いのが現状です。
職場になじむのが難しいと思われるから
特に精神障がいや発達障がいがある場合、職場内でのコミュニケーションがうまくいかないケースもあります。
特別な配慮を必要とすることで、結果的に周囲の負担が増加してしまう可能性を懸念する声も挙がっています。
イメージがわかない、雇用管理のことが分からないから
障がい者雇用を行ったことのない企業では、なんとなく「大変そう」「難しそう」といったイメージが先行し、
障がい者雇用が後回しになってしまうこともあります。
また、単純に障がい者の雇用管理の経験・ノウハウがなく、導入を進められないというケースも存在しています。
過去にうまく続かなかった事例があるから
障がい者の職場定着率は健常者に比べて低い傾向にあることが知られています。
障がいゆえに問題が起きやすかったり、周囲になじめなかったりといった理由から
早期退職してしまうケースが多いことは否定できません。
一度障がい者雇用を行ったものの、「すぐに辞めてしまった」という経験がある場合、
次の障がい者を雇用することを躊躇してしまうかもしれません。
5.障がい者雇用を成功させるためのポイント
障がい者雇用における課題を見てきました。
しかし、記事前半で解説してきたように障がい者雇用にはメリットが多く存在し、達成義務もあります。
ここからは、上記で挙げた課題を踏まえて障がい者雇用を成功させるためのポイントを解説します。
①社内の理解を深める
「職場になじめない」「コミュニケーションがうまく取れない」といった課題は、
受け入れ側の社員がきちんと障がいに関する理解を深めることで解決する可能性があります。
障がいの細かい内容や特性について、あらかじめ理解できている人はほとんどいません。
勉強会の開催や定期的な意見交換など、お互いを理解し合えるような活動を積極的に行っていきましょう。
株式会社JSHでは、障がい者を採用する部署や受け入れ部署の方を対象とした研修を行っています。
障がい者雇用のプロが各企業様のお悩みに合わせてオリジナルの研修設計を行いますので、
「社内理解をどう進めたら良いか分からない」という担当者様は、ぜひお問い合わせください。
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▼JSHの障がい者定着支援サービスについて詳しくはこちら
株式会社JSH『障がい者定着支援サービス』
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②本人の障がい者特性を正確に把握し、適切に配慮する
障がいと一口に言っても、その特性や本人の得意・不得意は個人によって大きく異なります。
「障がい者」と一括りにするのではなく、この点をあらかじめ本人と正しくすり合わせておき、
現場にも共有・配慮することが大切です。
メリットでも挙げた通り、障がいを持つ人は非凡な才能を発揮することもあります。
本人が活躍できる場を提供できる環境づくりを行いましょう。
③障がい者雇用支援サービスを利用する
上記のようなポイントを踏まえて障がい者雇用を進めても、なかなか上手くいかないというケースも多いでしょう。
障がい者雇用に関する課題は決して簡単なものではないということは、法定雇用率の達成率の低さが表しています。
そんな時は、障がい者の採用から管理、定着までを専門のサポートを受けるのも一つの手です。
障がい者雇用支援サービスを利用すれば、障がい者雇用の問題を一手に解決することが可能です。
株式会社JSHでは、農園型のサービス『コルディアーレ農園』を提供しています。
・障がい者はJSHがご紹介
・農園でお仕事を提供、社内での業務切り出しは不要
・看護師とJSHスタッフが常駐しサポート
サポートの力を借りて障がい者雇用の悩みを解決したいという担当者様は、ぜひお問い合わせください。
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▼JSHの障がい者雇用支援サービスについて詳しくはこちら
地方の農園を活用した障がい者雇用支援サービス『コルディアーレ農園』
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6.まとめ
この記事では、障がい者雇用におけるメリットと課題、
それを解決するためのポイントを解説しました。
まだまだ法定雇用率を達成できていない企業も多くありますが、
ぜひこれを機に障がい者雇用に取り組んでいただければと思います。
株式会社JSHでは、
「募集しても採用につながらない…」
「業務の切り出しがうまくできない…」
「何かとトラブルが多く、定着率が低い…」
といった障がい者雇用に関する様々な課題を持つ企業様に向けて、
採用から定着まで包括的なサポートサービスを提供しています。
障がい者雇用にお悩みの担当者様は、ぜひお問い合わせください。
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▼JSHの障がい者雇用支援サービスについて詳しくはこちら
地方の農園を活用した障がい者雇用支援サービス『コルディアーレ農園』
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