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calendar_today2021/09/21

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【2021年度版】障がい者の法定雇用率|計算方法・ペナルティ・採用方法は?

この記事では、障がい者の「法定雇用率」について最新情報をまとめています。
2021年の法定雇用率引き上げの詳細や、自社の雇用率計算方法、
不足している場合のペナルティや解決方法を解説しますので、ぜひご覧ください。

【目次】

1.2021年3月より、障がい者雇用率が「2.3%へ」引き上げに
2.義務の対象となる企業
3.雇用率/必要雇用数の計算方法
4.法定雇用率を満たしていない場合はどうなる?
5.障がい者が不足している場合はどのように採用すれば良い?
6.【知っておきたい】法定雇用率引き上げ時期決定の背景
7.まとめ

 

1.2021年3月より、障がい者雇用率が「2.3%へ」引き上げに

日本では、障がい者が働く機会を得、ともに生活できる社会の実現をめざし、
民間企業に対して障がい者の雇用が義務付けられています(障害者雇用促進法)。

社員数に対して雇用するべき障がい者の割合を「法定雇用率」と言い、
2021年3月より「2.2%」から「2.3%」に引き上げられました。

法定雇用率未達成の場合、いくつものペナルティが与えられます。
あなたの会社では何名の障がい者雇用義務があるのか必ずチェックしておきましょう。


2.義務の対象となる企業

2021年3月の改定では、従業員数43.5名以上の企業が対象となっています。
43.5名未満の企業には雇用義務はありません。

<業種によっては雇用率が軽減されるケースも>
元々障がい者の就業が難しいとされる業種については、雇用義務を軽減する「除外率制度」が定められていました。
この制度は平成16年に廃止となりましたが、段階的な縮小を行うため現在も一部の業種で除外率が設定されています。

対象の業種や除外率について、詳しくはこちらをご覧ください。

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厚生労働省『除外率制度について』

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3.雇用率/必要雇用数の計算方法

対象障がい者

障がい者としてカウントする対象になるのは、各自治体から発行される「障害者手帳」を保有している人です。
手帳が発行される障がいには以下のような種類があります。

身体障がい:身体上の障がいを持つ人
知的障がい:知的機能に障がいを持ち、知能指数(IQ)が一定の水準に満たない人
精神障がい:精神的な障がいを持ち、日常生活に困難をきたしている人
発達障がい:脳機能の発達の障がいを持つ人(アスペルガー、ADHDなど)

人数のカウント方法

通常、常用雇用で働いている障がい者を「1人」としてカウントしますが、
雇用側の負担等を考慮して以下のような例外も設けられています。

■重度の身体障がい者(障害者手帳で「1級」「2級」とされている人)
 ⇒「2人」とカウント

■重度の知的障がい者(障害者手帳で「A」区分とされている人)
 ⇒「2人」とカウント

■短時間労働者(週あたり所定労働時間20時間以上、30時間未満の人)
 ⇒「0.5人」とカウント
 ※ただし、雇用開始または手帳取得から3年以内で、かつ上記が
 2023年3月中までに完了している精神障がい者の場合は「1人」とカウントできます。

■超短時間労働者(週あたり所定労働時間20時間未満の人)
 ⇒「0人」とカウント

なお、上記の条件が2つ以上重なる場合はその数字を掛け合わせてカウントします。
(例)重度身体障がい者で、短時間労働者の場合:2人×0.5人=1人

計算式

上記で対象者数をカウントできたら、自社の障がい者雇用率を計算してみましょう。

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実雇用率=対象障がい者数÷常用労働者数
-----------------------

この数字が2.3%を下回っている場合は、新規雇用が必要です。

また、「自社に必要な障がい者の数」を求めたい場合は以下の方法で計算します。

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必要障がい者数=常用労働者数×2.3%
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4.法定雇用率を満たしていない場合はどうなる?

雇用義務があるにも関わらず障がい者雇用を行っていない企業や
法定雇用率を達成できていない企業には、以下のようなペナルティが課せられます。

①納付金を納めなければならない

障がい者雇用をする企業・しない企業の間の不均衡を解消するために「障がい者雇用納付金制度」が設けられています。
常用労働者数が100人を超える企業の場合、1人不足するごとに月額5万円を支払わなければなりません。

②行政指導が入る

ハローワークより雇用計画の作成が命じられます。計画作成後、それが遂行できていない企業にはさらに勧告が行われます。

③企業名が公表される

上記の指導によって状況が改善されない場合は追加の特別指導が入り、厚生労働省のホームページで企業名が公表されてしまいます。
法定雇用率を満たさないと、経済的な圧迫だけでなく、社名公表による企業イメージの低下も避けられない問題となるでしょう。

 

5.障がい者が不足している場合はどのように採用すれば良い?

法定雇用率を達成できていない企業では、すぐに障がい者の新規採用を進める必要があります。
障がい者を採用する主なルートをご紹介します。

ハローワークに求人を出す

国が設置するハローワークは、求人を出す場として最もポピュラーな場所の一つです。
障がい者専門の窓口を設けているので、比較的多くの求職者に出会えるというメリットがあります。

有料の媒体で求人広告を出す

有料の求人広告を利用すれば、ハローワーク以上の採用サポートが期待できます。
ただし、大手企業・有名企業が多く求人を出しており、比較的待遇の良い求人も多いため、採用難易度は高めと考えた方が良いでしょう。

特別支援学校へ求人票を出す

中長期的に障がい者の雇用を続けていきたい場合、
特別支援学校とコネクションを持つことで継続的に卒業生を紹介してもらうことが期待できます。
特別支援学校が近隣にある場合は問い合わせをしてみるのもおすすめです。

障がい者雇用支援サービスを利用する

上記の方法でなかなか採用がうまくいかない場合や、採用してもすぐに退職してしまうケースに悩んでいる場合は、
採用・定着の総合的な支援サービスを利用するのもおすすめです。

株式会社JSHでは、採用から雇用管理、定着まで
障がい者雇用を総合的にサポートする“農園型”のサービスをご提供しています。

障がい者の採用にお困りの担当者様は、ぜひ一度お問い合わせください。

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▼JSHの障がい者雇用支援サービスについて詳しくはこちら
地方の農園を活用した障がい者雇用支援サービス『コルディアーレ農園』

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6.【知っておきたい】法定雇用率引き上げ時期決定の背景

元々、障がい者雇用率の引き上げは2021年1月に行われる予定でしたが、
新型コロナウイルスの流行による企業への影響等を鑑みて、2か月後ろ倒しされました。

ここからは、その引き上げ時期に関して検討されていた際、各立場の関係者がどのような意見を持っていたのかをご紹介します。

障がい者雇用に対する各人の考え方や要望を知ることができる内容となっていますので、
企業の経営者様や人事担当者様はぜひご覧ください。

<概要>
令和2年3月26日、『第96回労働政策審議会障害者雇用分科会』における
公益、労働者、使用者、障がい者のコメントを抜粋

①公益代表

■阿部正浩 分科会長(中央大学経済学部教授)
政令で既に決定されている事項であり、令和 3 年 1 月 1 日に実施することが望ましい。

■小原美紀 委員(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)
新型コロナウイルスの影響を注視しながら判断することが必要であろう。
ただ、新型コロナウイルスの影響により障がい者の雇用が困難になっていると安易に考えるようであってはならない。

■武石惠美子 委員(法政大学キャリアデザイン学部教授)
本来の障がい者雇用率の水準に、従前の予定通り移行させない場合には、
障がい者雇用に対する負のメッセージとなる恐れがあることに留意が必要。

②労働者代表

■内田文子 委員(全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会中央執行委員)
 岡本賢治 委員(サービス・ツーリズム産業労働組合連合会会長代理)
 仁平章 委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)
 森口勲 委員(全日本自動車産業労働組合総連合会副事務局長)
 門﨑正樹 委員全日本自治団体労働組合社会福祉局長

障がい者雇用率の 0.1%引き上げ時期について、2021 年 1 月 1 日とすることに異論はない。
現下の情勢を踏まえつつ現場の混乱を最小限に留めるよう、丁寧な対応と周知に努めてもらいたい。
今後も障がい者の雇用の促進にむけ、障がい者雇用率は引き上げられていくこととなる。
一方で、現場での合理的配慮や受け入れ体制も勘案しつつ、働く障がい者の側に立った施策が必要である。

③使用者代表

■佐渡康弘 委員(愛媛県ビル管理協同組合理事)
多くの企業が、新型コロナウイルスの影響を受けており、終息まで、今後も経営上様々な影響が考えられる。
経過措置を 1 年延長する選択肢もあるのではないか。

■塩野典子 委員(富士通ハーモニー(株)取締役)
日々新型コロナウイルス感染症が拡大していく中、親会社はテレワークを推奨しており、事業所在籍者が減少している。
これに伴い、一部の業務では業務量が減少しており、今後も様々な影響の拡大が想定される。
新型コロナウイルス感染症の今後の影響が不透明な中での、
障がい者雇用率引き上げの時期の判断は難しく、判断の先延ばしをお願いする。

■高橋 陽子 委員(ダンウェイ(株)代表取締役社長)
政府、事業者とも、新型コロナウイルス感染症に対応しつつ、
企業の存続、雇用の維持のために、総力を挙げて取り組んでいる所である。
もとより、障がい者雇用の取組み・理解促進については、何ら異論をもつものではないが、
障がい者雇用率引上げ時期の判断については、新型コロナウイルス感染症が、
企業経営や雇用に与える影響をしっかりと見極め、十分な把握・分析できるまで見送る必要がある。

■正木 義久 委員((一社)日本経済団体連合会労働政策本部長)
職場や工場等の補助業務、厚生業務(弁当販売やマッサージ等)を担う社員については、
在宅勤務に切り替えることは難しく、勤務時間の短縮や休暇・休業扱いとするなどの対応を余儀なくされているケースがある。
さらに新規採用については、障がい特性によっては、web 面接等の代替手段が取りにくいケースもあり、
感染リスクを考慮すれば、通常の採用活動を実施することは困難な状況となっている。

雇用率引上げの時期の判断については、新型コロナウイルス感染症の拡大が
企業経営や労働市場に及ぼす影響をしっかりと把握・分析できるまで見送る必要があると考える。

企業として、今後も障がい者雇用のさらなる進展に積極的に取り組む姿勢は不変である。
しかし、当面は、職場で働くすべての社員の雇用維持を最優先に取り組むことが極めて重要である。

④障がい者代表 

■阿部 一彦((社福)日本身体障がい者団体連合会会長)
確かに、新型コロナウイルスの社会・経済に与える影響は大きいが、
今後のことも考えると、法定雇用率の引上げ時期は延期すべきでないと考える。
そもそも法定雇用率は、民間企業について既に 2.3%と設定されており、
企業の状況に配慮して経過措置として 2.2%としてきたもの。

新型コロナウイルスについては、いつ終息するか分からない面もあるが、
東京オリンピック・パラリンピック競技大会について来年の実施が打ち出され、見通しが立てられたところ。

 障がい者についても、テレワークを含め、働き方・雇用管理を工夫する余地 もあり、
予定されてきた法定雇用率引上げが不可能になるほど、
障がい者の雇用が困難になっているとは言えないと考えている。 

■眞壁 博美((公社)全国精神保健福祉会連合会理事)
仮にこの経済状況によって、雇用率を据え置いたりするならば、
一番弱い立場にある障がい者の雇用は、一般の雇用の補完的位置づけに留まります。
景気状況とは区別しての対応がなされることを強く求めています。

新型コロナウイルスへの対策で、各企業では職員のテレワーク等をすすめることが加速しています。
そのような経験から障がい者雇用に適した新たな仕事を見いだすチャンスではないかと考えます。

引用: 厚生労働省『第96回労働政策審議会障害者雇用分科会』

コメントまとめ

4つの意見の立場をまとめると、
使用者の代表が障がい者法定雇用率の引き上げの延長・見送りを要請する声がありますが、
その他の3つの立場の方々からのコメントとしては基本的に従来の予定通り進めることを希望している声が多いことが分かります。

とはいえ、使用者代表の意見が必ずしも軽視されるべきではなく、
コロナウイルスのビジネスに対する影響は、業績が落ち込み、
採用および雇用維持のための原資が減ってしまったというだけではなく、テレワークなど働き方の移行にも影響しています。
さらに、コロナの収束時期も未明である中、現状を十分に分析出来る状況になるまで
慎重な姿勢を取りたいという企業の立場も尊重されるべきでしょう。

今回の引き上げの時期が後ろ倒しになった経緯としては、
上記の企業への影響および企業側の立場を考慮し、決定されたものであるといえます。

 

7.まとめ

この記事では、障がい者の「法定雇用率」について解説しました。

なかなか法定雇用率を達成できていないという企業様、
これからの事業拡大に向けて不安を持たれている企業様も多いのではないでしょうか。

株式会社JSHでは、

「募集しても採用につながらない…」
「業務の切り出しがうまくできない…」
「何かとトラブルが多く、定着率が低い…」

といった障がい者雇用に関する様々な課題を持つ企業様に向けて、
採用から定着まで包括的なサポートサービスを提供しています。

障がい者雇用にお悩みの担当者様は、ぜひお問い合わせください。

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▼JSHの障がい者雇用支援サービスについて詳しくはこちら
地方の農園を活用した障がい者雇用支援サービス『コルディアーレ農園』

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この記事を書いた人

株式会社JSH|矢野 翔太郎

株式会社JSHにて障がい者雇用支援サービス「コルディアーレ農園」のスキーム開発から営業までを担当。
企業側の障がい者雇用の課題解決だけではなく、農園開設や運営にも携わることで、障がい者雇用のリアルな現場にも正対。
障がい者雇用における関連法案や海外の雇用事情についての知見もあり、セミナー等を通じて障がい者雇用に関する様々な情報発信もおこなっています。

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