精神科領域に特化した訪問看護 2020.2.26

在宅医療事業(精神科訪問看護)に対する思い 葛飾事業所長 鈴木尚美 

今回、弊社の在宅医療事業部 葛飾事業所長である鈴木尚美に自身の想いについてインタビューを行いました。

在宅医療事業との関わり

暗いオフィス

私が精神科の訪問看護に携わった最初のきっかけは精神科病院の外来勤務の時です。
当時は入院中心から地域医療中心への考え方に国の方針も変わった時期でした。長期入院患者を退院させ在宅で支える、入院した患者様を早期に退院させるといった動きが進められていました。

勤務していた病院でも訪問看護が拡大していて、自分自身も午前外来、午後訪問看護を実施していました。
入院していた患者様、外来で関わってきた患者様の自宅に行き生活状況を見たときは最初とても衝撃的でした。

劣悪な環境の中での生活を送られている多くの方がいらっしゃいました。カーテンを閉めきり電気も点けず暗い中で監視されているからとひっそり生活している方、部屋中の天井に棒でつついた無数の穴が空き、壁や段ボールにマジック等で俺は負けないぞ、いい加減出ていけなどと幻聴に苦しめられながら必死で生活している方、訪問販売の勧誘を断れずに多額の布団や化粧品、何社もの新聞紙の束に埋もれている部屋で生活している方など、病院で見ているだけでは分からない現実が訪問の場にあふれていることを感じ、地域で支えていくために精神科の訪問看護は本当に大切なものだと痛感しました。

また病棟での看護だけなく、地域として一人の方に多くの支援者が関わり、その関係機関とそれぞれの専門的な立場からの意見を交わしていたこともとても勉強になりました。一旦は家庭の事情や引っ越しで病院や精神の分野からも離れましたがまた数年後に戻り、仕事を探した際に精神科に特化した訪問看護ステーションがあることを知り、迷わず応募して前職の会社に入社しました。

病院の訪問看護とは違い、更に看護師としての役割は大きくなりました。今までお金のことや家族のことはそれぞれ事務や PSW などに任せていたことも自分達で関わることで 保険(保健)やその地域での社会資源など福祉サービスについて学ぶことが出来たのでとても視野が広がりました。

当時は、まだ精神科に特化したステーションも少なく、行政などの関係機関の認知も低く、挨拶しに行っても門前払いのような対応も珍しくない状況でしたので、1 件頂いた依頼に対して、丁寧に関わって密に関係機関と連携を図ることで徐々に依頼も増えていきました。

信頼を得ながら精神科訪問看護を展開するエリアを拡大するにつれて、地域には訪問看護を必要としている方がまだまだ多くいるのだということを実感しました。依頼数も増えたことで、大変さはあったもののあらためてこの事業が大義あるものだということを実感しながら日々関わっています。

精神科訪問看護のやりがい

長く携わる中で大変な中にもそれ以上の喜びも多くあります。
引きこもりで他者との関わりが殆どなく、訪問当初は全然話もしてくれなかった利用者様が根気よく関わることで、 徐々に変化がみられ数年かかってでも社会に繋がり、新たな一歩を踏み出せた時は本当に嬉しいです。

本人にとって、自分が一番辛く苦しかった時期を知っている人がいて、今の自分に至るまでの過程を一緒に喜んでくれる相手がいることは、その方の人生にとってとてつもなく大きなことだろうと思います。

それだけの役割を担っている事に責任の重大さとやりがいを感じます。その意味で、短期間関わるだけでは在宅医療事業の本当の素晴らしさなどは中々感じられないこともあるかと思います。

これからの在宅医療に必要なこと

訪問看護

さて、現在、退院促進や在宅医療中心と言われて数十年経ちますが、まだまだ受け皿や 地域の理解や取り組みは十分ではなく、課題が解決していない現状があります。

せっかく入院中に服薬指導や生活指導をしても退院後に在宅で携わる関係者と連携がとれていないと継続した支援が出来ないと考えています。

在宅での本人の生活ぶりや本人の 想いなどを入院先の方が全く知らなければ、病棟でも本人に合った援助が出来ずに、病院地域での支援の違いが起こり、本人を困惑させてしまいます。

そうならないためにも、病院やクリニックなど地域の関係機関が情報をしっかりと共有し、継続した関わり、統一した方向性をもつことが大切です。地域における在宅医療の確立を更に固めてサポート体制の構築を図ることが重要な責務と捉えています。

これまで私は、精神科病院での訪問看護から始まり、前職では精神科に特化した訪問看護ステーションで病院の看護師と違う株式会社での看護師として、部長としての役職を任されながら、母体に病院などない中で地域に根差したステーション作りやエリア拡大に向けて看護だけでなく、人を育て、大切にすることなど多くの学びを得ることが出来ました。

前職から JSH に入職した現在は、前職での経験を活かしつつ、更に在宅医療事業の充実化を図り、支援を必要としているより多くの方を受け入れ、利用者様やご家族が望まれる生活を少しでも実現できる援助を地域全体でサポートしたいと思っています。

病院で勤務している看護師は入院している方の生活環境を知る為にも、一度は訪問看護を経験してもらいたいと思います。

一方で、私たちも今後は、精神科に関心をもっていても病院勤務が未経験の看護師には、是非とも精神科病院での病棟看護が出来るような研修環境を病院等の協力も得ながら仕組みを整え実践したいと考えています。

色んな環境から看護を行うことが利用者様の状況や気持ちを少しでも深く理解するために必要です。

株式会社JSHにおいての私の使命

最後に、今まで私は本当に人として会社に育てられたと感じています。大変な思いやきついと感じたことも決して少なくありませんでした。それでも未熟な自分を諦めず支えて信じて見守ってくれた会社には本当に感謝しています。

自分も同じように精神科の在宅医療、訪問看護に興味を持ち、志高く入社してきてくれたスタッフに対して、この事業に誇りをもち、喜びややりがいを心から感じながら人間としての成長を遂げられる、感じられるような人間、会社作りをしていくことが大きな使命であると考えています。

 


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