コラム詳細
2022/07/09
autorenew2025/12/15
【具体例あり】障害者雇用の法定雇用率とは?計算方法を徹底解説
「企業規模が拡大し、従業員が増えてきたところ、ハローワークから法定雇用率について話があった。法定雇用率とはどのようなもの?守らないといけないのか?」
「2026年より法定雇用率が引き上げになる話を聞いた。自社ではどれくらい変わるのか知りたいけれど、法定雇用率の計算方法が分からない」
従業員が増えてくると、人事や採用担当者が耳にする機会が増える「法定雇用率」。言葉を聞いたことがあるものの、自社の場合はどうすればいいのか分からず困っている担当者は多いのではないでしょうか。
障がい者雇用の法定雇用率とは、企業や公的機関などの全従業員のうち一定割合以上の障がい者を雇用しなければならない割合のことです。
例えば、2025年時点での民間企業の法定雇用率は2.5%です。40名以上の常時雇用労働者がいる場合は、障がいのある方を1名以上雇用しなければなりません。
法定雇用率の達成は事業主の義務なので怠ると、行政指導や社名公表などのリスクがあります。

ただし、障がい者の法定雇用率は、単に障がい者を雇用して1人につき1カウントをして申請すればいいわけではありません。
法定雇用率特有のカウント方法や計算方法があり、正しい方法で計算しないと「自社に必要な障がい者雇用数を満たせていなかった」という失敗につながります。
そこで本記事では、障がい者雇用の法定雇用率の概要や対象となる障がい者、詳しい計算方法をまとめて解説します。
最後まで読めば、あなたの会社の法定雇用率が計算できるようになり、障がい者をどれくらい雇用しなければならないのか分かります。
今後法定雇用率が変わっても、正しい計算方法さえ分かればスムーズに対応できます。適切に障がい者雇用を進めるためにも、参考にしてみてください。
【目次】
1.障がい者の法定雇用率とは
2.【雇用先別】2025年時点での障がい者の法定雇用率
3.法定雇用率の対象になる障がい者・カウント方法
4.自社は何人必要?法定雇用率に沿った障がい者数の計算方法
5.企業が障がい者の法定雇用率を達成したほうがいい理由
6.障がい者の法定雇用率未達成によるリスク
7.法定雇用率の達成を目指して障がい者を採用する4つの方法
8.障がい者雇用のハードルが高く感じるなら「障がい者支援サービス」がおすすめ
9.まとめ
1.障がい者の法定雇用率とは

障がい者の法定雇用率とは、企業や公的機関などの全従業員のうち一定割合以上の障がい者を雇用しなければならない割合のことです。
障がい者の法定雇用率は「障害者の雇用の促進等に関する法律」で定められており、事業主には法定雇用率以上の障がい者を雇用する義務があります。義務に違反すると社名公開や行政指導の可能性があり、企業のイメージダウンを招きます。
例えば、2025年時点での民間企業の法定雇用率は2.5%です。40名以上の常時雇用労働者がいる場合は、障がいのある方を1名以上雇用しなければなりません。

※詳しくは「2【雇用先別】2025年時点での障がい者の法定雇用率」で解説しています
障がい者の法定雇用率制度は、障がいのある方が自立した生活を送り、障がいの有無を問わず社会に参加するために必要な制度です。
「自社では障がいのある方を雇用したことがないから」と障がい者雇用を後ろ向きに捉えるのではなく、障がいのある方とともに働ける職場づくりが求められています。
参考:厚生労働省「事業主の方へ」
参考:厚生労働省「障害者雇用率制度について」
| 【企業は障がい者の雇用を申告する義務がある】
法定雇用率の対象となる事業主は、毎年6月1日時点の障がい者雇用の状況をハローワークに報告する義務があります( 障害者雇用状況報告)。
法定雇用率を満たしているかどうかは毎年しっかりと確認されるため、自社では何人障がい者を雇用する必要があるのか理解しておく必要があります。 |
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
2.【雇用先別】2025年時点での障がい者の法定雇用率

障がい者の法定雇用率は、民間企業・教育機関・地方自治体により異なります。2025年時点での法定雇用率は、下記のとおりです。
| 障がい者の雇用先 | 2025年時点での法定雇用率 |
| 民間企業 | 2.5%
(常時雇用従業員40名以上雇用で1名以上) |
| 都道府県などの教育委員会 | 2.7%
(常時雇用従業員37名以上雇用で1名以上) |
| 国・地方公共団体等 | 2.8%
(常時雇用従業員35名以上雇用で1名以上) |
| 特殊法人 | 2.8%
(常時雇用従業員35名以上雇用で1名以上) |
※特殊法人:国の出資や法律によって設立された法人
例えば、民間企業の法定雇用率は2.5%です。常時労働者を40名以上雇用している場合は、下記のように従業員数に応じて障がいのある方を1名以上雇用する必要があります。
| 民間企業の常時雇用労働者数 | 必要な障がい者の数 |
| 常時雇用労働者39人 | 39人×2.5%=0.975人 ※障がい者を雇う義務はない |
| 常時雇用労働者40人 | 40人×2.5%=1人 |
| 常時雇用労働者100人 | 100人×2.5%=2.5人→小数点以下は切り捨てなので2人 |
| 常時雇用労働者500人 | 500人×2.5%=12.5人→小数点以下は切り捨てなので12人 |
| 常時雇用労働者1,000人 | 1,000人×2.5%=25人 |
【Point:2026年7月より法定雇用率が引き上げられる予定】
法定雇用率は2025年時点、段階的な引き上げの最中にあります。2026年7月からは、下記のように法定雇用率が引き上げられる予定です。
| 障がい者の雇用先 | 2025年時点の法定雇用率 | 2026年7月~の法定雇用率 |
| 民間企業 | 2.5% | 2.7% |
| 都道府県などの教育委員会 | 2.7% | 2.9% |
| 国、地方公共団体 | 2.8% | 3.0% |
| 特殊法人 | 2.8% | 3.0% |
そのため、2026年7月以降は企業で雇用する障がい者数が変わる可能性があるので、今後の動向に注意してください。
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
3.法定雇用率の対象になる障がい者・カウント方法

障がい者雇用の法定雇用率が分かったところで、対象となる障がい者と詳しいカウント方法をご紹介します。
| 法定雇用率の対象となる障がい者・カウント方法 | |
| 法定雇用率の対象となる障がい者 | 手帳を持っている身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者 |
| 法定雇用率の対象となる障がい者のカウント方法 | 障がいの種類・程度と勤務時間の組み合わせで細かく定められている |
法定雇用率では単に障がい者を雇用すれば1カウントされるわけではなく、独自のカウント方法があります。法定雇用率を満たすために必要な障がい者数を正しく理解するためにも、事前に把握しておきましょう。
3-1.法定雇用率の対象となる障がい者
法定雇用率の対象となる障がい者は、手帳を持っている身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者です。
| 障がいの種類 | 主な判断基準 |
| 身体障がい者 | ・身体障害者福祉法による「身体障害者手帳」を所持 ・障がいの程度によって1~7級の等級が決められている |
| 知的障がい者 | ・都道府県知事が発行する「療育手帳」を所持 ・障がいの程度によってA(最重度)・B(重度)・C(軽度)に区分されている |
| 精神障がい者 | ・精神保健福祉法による「精神障害者保健福祉手帳」を所持 ・障がいの程度によって1~3級の等級が決められている |
軽度な障がいがある方や難病患者で働き方に配慮が必要な方であっても、手帳を持っていなければ法定雇用率に加算されません。
そのため、法定雇用率を念頭に置いて障がいのある方を雇用する場合は、採用時に手帳の有無を確認しておきましょう。
▼法定雇用率の対象となる障がい者については、下記の記事でも詳しく解説しています。
法定雇用率の算定対象となる難病患者は障がい者手帳所持者のみ!ルールを解説
障がい者の法定雇用率では、障がい者を1名雇用する=1カウントになるとは限りません。法定雇用率ならではのルールがあります。
法定雇用率での障がい者のカウントは、障がいの種類・程度と勤務時間の組み合わせで、下記のように決まっています。
| 労働時間 | 週の所定労働時間 | ||
| 30時間以上 (常用労働者) |
20時間以上30時間未満 (短時間労働者) |
20時間以上30時間未満 (短時間労働者) |
|
| 身体障がい者 (重度以外) |
1人=1カウント | 1人=0.5カウント | 1人=0カウント |
| 身体障がい者 (重度)※1 |
1人=2カウント | 1人=1カウント | 1人=0.5カウント |
| 知的障がい者 (重度以外) |
1人=1カウント | 1人=0.5カウント | 1人=0カウント |
| 知的障がい者 (重度)※2 |
1人=2カウント | 1人=1カウント | 1人=0.5カウント |
| 精神障がい者 | 1人=1カウント | 1人=1カウント | 1人=0.5カウント |
※1:等級が「1級」または「2級」に該当する方
※2:等級が「A」に該当する方(自治体によっては「1度」または「2度」に該当する方)
例えば、重度以外の身体障がい者を2名短時間勤務で採用した場合は、1人あたり0.5カウントになります。2名雇用では、1名分としてカウントできます。
このように、単に障がい者を雇用すれば1名としてカウントできるわけではないため、勤務時間や自社で勤務できる障がい者の範囲を明確にして採用する必要があります。
| 【特例子会社での雇用障がい者数を親会社に合算して雇用率を計算できる】
特例子会社とは、親会社が障がい者雇用の促進と安定を図るために設立した子会社のことです。特例子会社で雇用している障がい者数は、親会社に合算して計算することが可能です。
特例子会社については、下記の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。 |
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
4.自社は何人必要?法定雇用率に沿った障がい者数の計算方法

法定雇用率の対象となる障がい者や障がい者のカウント方法が分かったところで、あなたの会社で雇用しなければならない障がい者数を算出してみましょう。
法定雇用率に沿った障がい者数は、下記の2つのステップで算出できます。

正しい計算方法を知っておくことで、法定雇用率が変更しても活用できるようになるので参考にしてみてください。
4-1.ステップ1:自社の常時雇用障がい者数を計算する
障がい者の法定雇用率は常時労働者数がベースとするため、下記のカウント数で自社の労働者を確認していきます。
| 週の所定労働時間 | カウント数 |
| 30時間以上 | 1人を1としてカウント |
| 20時間以上30時間未満
(短時間労働) |
1人を0.5としてカウント |
一例として、労働者数が40名であっても、短時間労働者を含むかどうかで下記のように障がい者雇用の有無が変わります。
| 労働者数が40名である場合の例 | |
| 週の所定労働時間が30時間以上の労働者を40名雇用している場合 | ・1人1カウントなので40カウント ・法定雇用率の対象になる |
| 週の所定労働時間が30時間以上の労働者を34名、短時間労働者を6名雇用している場合 | ・34名:1人1カウントなので34カウント ・6名:0.5カウントなので3カウント 合計37カウントなので法定雇用率以下になる |
自社の労働者の法定労働時間を見て、障がい者の法定雇用における労働者数を算出してみましょう。
4-2.ステップ2:自社が雇用するべき障がい者数を計算する
自社の常時労働者数が40名以上の場合は、下記の計算式で雇用するべき障がい者数を計算します。
| 企業が雇用すべき障がい者の数=ステップ1で算出した常用雇用労働者の数×法定雇用率2.5% |
※小数点以下は切り捨てします
例えば民間企業の場合、ステップ1で常時雇用している労働者数が80名だった場合は80×2.5%=2となり、障がい者を最低2名は雇用しなければならないことが分かります。
障がい者を雇用する場合は「3-2.法定雇用率での障がい者のカウント方法」に沿って、カウントが2名以上になるように雇用をします。
下記のように、障がい者の特性や労働時間によって、実際に雇用する障がい者数が変動するので注意しましょう。
| 障がい者を2名雇用する場合のカウント例 | |
| 例1 | ・身体障がい者(重度以外)・週の所定労働時間30時間以上:1名(1カウント)
・身体障がい者(重度以外)・短時間労働:2名(0.5カウント×2) |
| 例2 | ・知的障がい者(重度):週の所定労働時間30時間以上:1名(2カウント) |
| 例3 | ・精神障がい者:週の所定労働時間30時間以上:1名(1カウント)
・精神障がい者:短時間労働:1名(1カウント) |
▼既に障がい者を雇用しており、法定雇用率を満たしているのか確認したい場合は、下記の記事を参考にしてみてください。
障がい者の法定雇用率は2.5%|自社は影響を受ける?判定方法を解説
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
5.企業が障がい者の法定雇用率を達成したほうがいい理由

ここまで、企業の障がい者雇用の法定雇用率の計算方法を詳しく解説しました。法定雇用率の達成は事業主の義務なので、基本的に取り組む必要があります。
そのうえで、法定雇用率を達成すると下記のようなメリットがあります。
| 企業が障がい者雇用の法定雇用率を達成したほうがいい理由 |
| ・経済的な優遇措置を受けられる
・社会的信頼を高められる |
障がい者雇用は単に法定雇用率を満たすだけではなく他の利点もあるので、ぜひチェックしておきましょう。
法定雇用率を達成した企業には、法定雇用率未達成の企業から徴収した納付金をもとに調整金や報奨金が支給されるという経済的な優遇措置があります。
法定雇用率達成の事業主は、基本的には超過1人当たり月額29,000円の調整金を受け取れます(支給対象人数が年120人を超える場合には、超過人数分への支給額が1人当たり月額23,000円・条件あり)。
また、障がい者を雇用することで以下のような助成金が活用できる可能性があります。
| 各種助成金 | |
| 助成金名 | 内容 |
| 特定求職者雇用開発助成金 | 障がい者を継続雇用する企業が利用できる |
| トライアル雇用助成金 | 障がい者を試行雇用する企業が利用できる |
| 障害者雇用安定助成金 | ジョブコーチの援助が必要な障がい者のためにジョブコーチを受け入れた企業が利用できる |
| 人材開発支援助成金 (障害者職業能力開発コース) |
障がい者の職業能力の開発・向上を目的に職業能力訓練施設や設備を整備したり、実際に訓練を行う企業が利用できる |
このように、法定雇用率を達成するとさまざまな優遇措置を受けられるので、障がい者雇用時の費用負担が気になる場合は活用を検討できます。
5-2.社会的信頼を高められる
企業として義務を果たすために障がい者雇用に注力していることをホームページなどで積極的にPRすれば、社会的信頼を高められます。
なぜなら、障がい者を雇用するにはその人の障がい特性に合わせて職場環境を整えたり、接し方や指導方法の配慮をしたりすることが必要不可欠で、工夫しながら障がい者雇用に取り組む企業の姿勢は尊敬されるべきものだからです。
物や情報にあふれた現代社会では、消費者の購買意欲は企業イメージに大きく左右されるように変わりつつあります。
たとえば、似た商品を扱うA社とB社があった場合、A社が法定雇用率を達成している一方でB社が未達成であることを知れば、消費者はA社の取り組みを応援したい気持ちからA社の商品を選ぶ可能性が高くなります。
このように法定雇用率を達成することで企業イメージから社会的信頼を高めることができ、結果的に収益にまで影響を与えることが期待できるのです。
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
6.障がい者の法定雇用率未達成によるリスク

障がい者雇用の法定雇用率達成は事業主の義務ではありますが、万が一障がい者雇用をせずに未達成となるとどのようなことが起きるのでしょうか?
企業が法定雇用率未達成の場合、下記のように行政指導や社名公表などの対象になるリスクがあります。
| 障がい者の法定雇用率未達成によるリスク |
|
・障害者雇用納付金を徴収される ・行政指導が入る ・社名が公表される |
法定雇用率未達成のままでいるとどのようなリスクがあるのか理解をするためにも、確認しておきましょう。
6-1.障害者雇用納付金を徴収される
法定雇用率が未達成の企業は、障害者雇用納付金が徴収されます。法定雇用率が未達成かつ常用労働者が100人を超える企業は、不足1人当たり月額5万円支払うことになります。
例えば、法定雇用障がい者数が10人の企業でまったく障がい者を雇用していない場合、毎月の納付金の徴収額は50万円です。年間600万円になるので、負担が大きいことが分かります。
このように、障がい者雇用納付金を徴収されるのであれば、自社で障がい者雇用を進めることを検討したほうがいいでしょう。
6-2.行政指導が入る
法定雇用率が未達成の企業には、ハローワーク(公共職業安定所)による行政指導が入ります。
例えば、翌年1月から始まる2年間の雇用計画の作成が命じられ、計画作成後にその計画通りに遂行できていないことが判明すると1年目の12月に計画を適正に実施するように勧告されることがあります。
行政指導は事業主にとって決して気持ちのいいものではありませんし、現状を知っている一部の社員も複雑な気持ちになってしまいます。
6-3.社名が公表される
行政指導が入ってもなお雇用状況が改善されない場合は、計画期間が終了してから9か月間にわたって特別指導を実施します。それでも改善がみられない場合は、厚生労働省のホームページで社名が公表されることがあります。
インターネットやSNSが普及している現在、社名公表後は法定雇用率を達成していない事実があらゆる人に知られてしまうこととなり、以下のような影響が予想されます。
| 対象 | 考えられる影響 |
| 顧客 | ・企業に対するイメージが低下する ・その企業の商品は購入しない |
| 取り引き先 | ・社名公表されている企業と取り引きがあることを後ろめたく感じる ・自社まで企業イメージが下がっては困るので、似た商品を取り扱う企業があれば取り引き先を変更することを検討する |
| 社員 | ・モヤモヤして集中力が続かない ・会社の経営方針と合わないと感じて転職を考える |
| 就活生 | ・この会社に未来を託せるのか悩む ・別の企業に就職しようと考える |
社名公表によって企業イメージが低下することは企業の存続に関わることなので、社名公表の影響についてさらに詳しくご紹介している「障がい者雇用で社名が公表される!公表基準とリスクを避ける方法を解説」を参考にしてみましょう。
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
7.法定雇用率の達成を目指して障がい者を採用する4つの方法

法定雇用率を達成しなければならないことが分かったところで、障がいのある方を雇用する具体的な方法を簡単にご紹介します。
障がい者を採用するための方法には、以下の4つがあります。
| 障がい者を採用するための方法 |
| ハローワークによる職業紹介サービスを利用する |
| 民間職業紹介業者を利用する |
| 特別支援学校に求人票を提出する |
| 障がい者を対象とした合同説明会で募集する |
それぞれのメリット・デメリットや向いている企業についてもご紹介するので、参考にしてみましょう。
7-1.ハローワークによる職業紹介サービスを利用する
ハローワークによる職業紹介サービスは障がい者を採用する企業にもっとも広く利用されている方法で、ハローワークの障がい者専門の窓口に求人情報を提出すると、ハローワークの職員が求人募集内容にふさわしい障がい者を企業に紹介してもらえます。
ハローワークの職業紹介サービスのメリット・デメリットは以下の通りです。
| ハローワークの職業紹介サービスのメリット・デメリット | |
| メリット | ・求職中の多くの障がい者に出会える ・コストがかからない |
| デメリット | ・経験やスキルなど千差万別な障がい者がいる ・何となく採用すると定着しない可能性がある |
ハローワークの職業紹介サービスは求職中の障がい者を効率よく探せるメリットがあります。一方で、任せたい業務や希望する人物像をしっかりイメージして求人募集しなければ採用しても定着しない可能性があります。求人票には業務内容や希望条件・資格等の詳細を記入しておきましょう。
ハローワークによる職業紹介サービスが向いている企業は、以下のような企業です。
| ハローワークの職業紹介サービスが向いている企業 |
| ・コストをかけずに障がい者を採用したい企業 ・任せたい業務や採用したい人物像が明確で、詳細情報を盛り込んだ求人募集ができる企業 |
7-2.民間職業紹介業者を利用する
民間職業紹介業者とは民間のキャリアアドバイザーが求人募集内容にふさわしい障害者を企業に紹介する業者で、中には障がい者専門の民間職業紹介業者もいるので、独自のノウハウでその企業にぴったりな障がい者を紹介してもらうことができます。
民間職業紹介業者を利用するメリット・デメリットは以下の通りです。
| 民間職業紹介業者を利用するメリット・デメリット | |
| メリット | ・高いスキルを持った障がい者に出会える可能性が高い ・採用するまでハローワークよりも手厚いサポートがある |
| デメリット | ・大手企業や有名企業が多く高待遇の求人を出しているため、他社との採用競争が厳しい ・コストがかかる |
民間職業紹介業者を利用するのが向いている企業は、以下のような企業です。
| 民間職業紹介業者を利用するのが向いている企業 |
| ・コストがかかっても確実に障がい者を雇用したい企業 ・障がい者を人材として活用したい企業 |
7-3.特別支援学校に求人票を提出する
特別支援学校とは2007年まではろう学校、盲学校、養護学校と呼ばれていた学校が一本化されたもので、特別支援学校に求人票を提出することで就職を希望している障がい者の採用に繋がります。
特別支援学校への求人票提出のメリット・デメリットは以下の通りです。
| 特別支援学校への求人票提出のメリット・デメリット | |
| メリット | ・障がい者のできることとできないこと、性格などが採用前に分かりやすい ・コネクションができるため、今後継続的に卒業生を採用しやすい |
| デメリット | ・近隣に特別支援学校がない場合は手間がかかる ・就業経験がない障がい者がほとんどである |
特別支援学校に求人票を提出すると教師や就職支援スタッフお墨付きの就労意欲の高い障がい者を採用できますが、これまでの就業経験がないことがほとんどなので、採用後は丁寧な指導が必要となる可能性があります。
特別支援学校への求人票提出が向いている企業は、以下のような企業です。
| 特別支援学校への求人票提出が向いている企業 |
| ・卒業したばかりの就労意欲が高い障がい者を雇用したい企業 ・特別支援学校とのコネクションを作りたい企業 |
7-4.障がい者を対象とした合同説明会で募集する
障がい者を対象とした合同説明会は民間職業紹介業者などの主催で数多く開催されていて、合同説明会で就職を希望する障がい者に対して求人募集情報を提供します。
障がい者を対象とした合同説明会での募集のメリット・デメリットは以下の通りです。
| 障がい者を対象とした合同説明会で募集するメリット・デメリット | |
| メリット | ・実際に障がい者に会うことができる ・他社と情報交換するなどして他社の採用活動を参考にできる |
| デメリット | ・企業の知名度で判断されたり、他社と待遇面を比較されたりしやすい ・ブースに障がい者が来なければ労力に見合わない |
障がい者を対象とした合同説明会では実際に障がい者やその家族に会って話せるので、働いてもらうとしたらどんな仕事を任せられそうかイメージを膨らませることができる一方で、知名度が低い企業や他社より待遇面が劣る企業ではブースに障がい者を呼び込むのが難しく感じることがあります。
障がい者を対象とした合同説明会での募集が向いている企業は、以下のような企業です。
| 障がい者を対象とした合同説明会での募集が向いている企業 |
| ・障がい者と交流しながら採用活動を進めたい企業 ・自社の社風や環境などをPRして採用活動に活かせる企業 |
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
8.障がい者雇用のハードルが高く感じるなら「障がい者支援サービス」がおすすめ

ここまで障がい者雇用における法定雇用率を達成するために企業が取り組むべきことをご紹介しましたが、「募集しても採用に至らない」「スタッフの障がい者雇用への理解が得られない」「定着率が悪くて採用を繰り返している」など、自社に取り入れるにはハードルが高いと感じる企業もあることと思います。
そんな企業におすすめなのが「障がい者支援サービス」なので、その内容や導入が向いている企業についてご紹介します。
8-1.障がい者雇用支援サービスとは?
障がい者雇用支援サービスとは、以下の図にあるように企業は障がい者を直接雇用するものの、障がい者はA社が用意した環境で働くという採用方法です。
| 障がい者雇用支援サービスの仕組み |

この障がい者雇用支援サービスの特徴は、以下の3つです。
| 障がい者雇用支援サービスの特徴 |
| ・障がい者募集・採用の手間がかからない ・自社での障がい者への業務切り出し・内容調整が不要 ・障がい者が安心して長期間働ける環境が整備されている |
障がい者雇用支援サービスを利用すると、障がい者の募集や採用だけでなく、雇用してからの業務の切り出しや環境整備もすべてA社に任せることができます。
8-2.障がい者雇用支援サービスの利用が向いている企業
この障がい者雇用支援サービスの利用が向いている企業は、障がい者雇用において以下の悩みがある企業です。
| 障がい者雇用支援サービスの利用が向いている企業 |
| ・募集してもなかなか採用に至らない企業 ・スタッフから障がい者雇用への理解が得られない企業 ・定着率が悪くて採用を繰り返している企業 |
障がい者雇用支援サービスを利用すればこれらの悩みを解決して障がい者雇用を進め、法定雇用率を達成することに繋げられます。
8-3.障がい者雇用への理解不足でお困りなら、株式会社JSHに相談を
障がいの有無に関わらず誰もが共生できる社会を目指して障がい者雇用を推進したいと思っていても、従業員からは障がい者雇用への理解を得られない企業もあるかと思います。
| 現場スタッフの障がい者雇用についての否定的な意見 |
| ・障がい者とのコミュニケーションの取り方が分からない ・障がい者と一緒に働いたら自分の負担が増えるのではないか ・障がい者に配慮できるほど余裕がない、自分のペースを乱されたくない |
このような企業内で障がい者雇用の受け入れ体制を整えるのが難しい場合には、地方農園を活用している株式会社JSHの障がい者雇用支援サービスの利用がおすすめです。
株式会社JSHでは以下のように障がい者雇用を推進したい企業と地方在住の障がい者の橋渡しをして、地方を中心に展開している農園で障がい者の雇用を請け負っているので、企業のスタッフの意見を尊重しながら、障がい者にとって本当に働きやすい環境を用意しやすくなります。

都市部よりも求人募集が少なくて就職しにくい地方在住の障がい者の雇用を創出するだけでなく、障がい者は安心して長期間働ける環境が整備された農園で働くことができます。
株式会社JSHの障がい者雇用支援サービスにご興味を持たれた方は、以下のリンクをクリックしてこの機会に資料を読んでみてください。
株式会社JSHでは、
「募集しても採用につながらない…」
「業務の切り出しがうまくできない…」
「企業内での受け入れ体制が中々整わない…」
といった障がい者雇用に関する様々な課題を持つ企業様に向けて、 採用から定着まで包括的なサポートサービスを提供しています。
▼JSHの障がい者雇用支援サービスについて
※無料でダウンロード可能です。
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
9.まとめ
本記事では、障がい者雇用の法定雇用率の基礎知識と障がい者を採用する方法をまとめて解説しました。最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。
〇障がい者の法定雇用率とは、企業や公的機関などの全従業員のうち一定割合以上の障がい者を雇用しなければならない割合のこと
〇2025年時点での法定雇用率は以下のとおり
| 障がい者の雇用先 | 2025年時点の法定雇用率 |
| 民間企業 | 2.5% |
| 都道府県などの教育委員会 | 2.7% |
| 国・地方公共団体 | 2.8% |
| 特殊法人 | 2.8% |
〇法定雇用率の対象となる障がい者・障がい者のカウント方法のポイントは下記の2つ
・法定雇用率の対象となる障がい者:手帳を持っている身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者
・法定雇用率の対象となる障がい者のカウント方法:障がいの種類・程度と勤務時間の組み合わせで細かく定められている
〇法定雇用率に沿った障がい者数の計算方法は下記のステップで進める
・ステップ1:自社の常時雇用障がい者数を計算する
・ステップ2:自社が雇用するべき障がい者数を計算する
〇法定雇用率の達成は事業主の義務であるがそのうえで企業が障がい者の法定雇用率を達成したほうがいい理由は下記のとおり
・経済的な優遇措置を受けられる
・社会的信頼を高められる
〇障がい者の法定雇用率未達成によるリスクは下記のとおり
・障害者雇用納付金を徴収される
・行政指導が入る
・社名が公表される
〇法定雇用率の達成を目指して障がい者を採用する方法は下記のとおり
・ハローワークによる職業紹介サービスを利用する
・民間職業紹介業者を利用する
・特別支援学校に求人票を提出する
・障がい者を対象とした合同説明会で募集する
障がい者雇用の法定雇用率達成は事業主の義務なので、達成を目指して障がい者の雇用、定着を促進する必要があります。自社での採用活動や雇用に課題を感じている場合は、JSHの障がい者雇用支援サービスの利用をご検討ください。
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2025年11月10日
中小企業の障がい者雇用の進め方|現状・事例・進めるポイントを解説
「障がい者雇用って、うちは中小企業だから対象外にならないのか?」 「実際のところ、中小企業[...]
事例
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2025年11月10日
障がい者雇用の手続き完全ガイド|採用前・雇用・公的申請までわかる
「自社でも障がい者雇用をスタートしたいけれど、どんな手続きが必要かわからない」 「障がい者[...]
法律・制度
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2025年10月15日
【完全ガイド】特例子会社に必要な資格・要件・体制作りまで徹底解説
「特例子会社の設立に興味があるものの、要件や必要な資格が何かわからない」 「特例子会社を作[...]
法律・制度






