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calendar_today2024/07/30

autorenew2024/08/19

【身体障害者手帳ガイド】交付条件やメリット、申請手順を解説

「身体障害者手帳とはどのような手帳?交付条件に該当するのか気になる」
「身体障害者手帳は持っていたほうがいいのか?具体的なメリットが知りたい」

聴覚や肢体、内臓など身体的な障がいがある方を対象とした「身体障害者手帳」。
手帳の存在は知っていても、交付を受ける条件や具体的なメリットが分からない方は多いのではないでしょうか。

身体障害者手帳とは、永続的に続く一定以上の身体障がいがある方に交付される手帳です。
法律上の身体障がい者に該当する証明となり、必要な支援が受けやすくなります。

例えば、下記のような福祉サービスや公共交通機関の割引など、障がいのある方が日常生活を自立して送れる幅広い支援を受けられるようになるのです。

※受けられるサービスは住まいの市区町村・等級により異なります

ただし、身体障害者手帳は身体に障がいがあったとしても、誰もが交付されるわけではありません。

条件や等級などが決まっているため「身体障害者手帳の該当者になるのか」「どのように申請すれはいいのか」把握しておくことが大切です。

そこでこの記事では、身体障害者手帳の概要や交付の条件、交付手順など身体障害者手帳に関する基礎知識をまとめてご紹介します。

【この記事は身体障害者手帳の…】

 

・概要

・交付の条件

・交付を受けるメリットやデメリット

・交付手順 が分かります。

とくに身体障害者手帳の交付を受けるメリットは、事例を踏まえてまとめているので必見です。

この記事を最後まで読めば身体障害者手帳とはどのような手帳なのか理解でき、条件に合う場合は申請を検討できるようになります。

身体障害者手帳は障がいのある方が必要な支援を受けるためのツールなので、ぜひチェックしてみてください。

【目次】
1. 身体障害者手帳とは
2. 身体障害者手帳が交付される3つの条件
3. 身体障害者手帳の交付を受ける5つのメリット
4. 身体障害者手帳の交付を受けるデメリット
5. 身体障害者手帳の申請手順
6. 身体障害者手帳に関するよくある質問
7. まとめ


1.身体障害者手帳とは

身体障害者手帳
概要 永続的に続く一定以上の身体障がいがある方に交付される手帳
交付条件 ・対象となる障がいがある

・1~6級の障がい者等級に該当している(例外あり)

・対象となる障がいが永続的に続く

交付対象の年齢 おおむね3歳以降

(先天性や事故による疾患は3歳未満でも認定される可能性がある)

交付機関 住まいの市区町村の障害福祉担当窓口または市役所
有効期限 有効期限はなし

(ただし疾患の回復や改善により返還となる可能性はある)

申請費用 無料

(申請のための医療機関受診や診断書作成費用などは実費)

根拠 身体障害者福祉法

※身体障害者手帳のデザインは市区町村により異なります

身体障害者手帳とは、永続的に続く一定以上の身体障がいがある方に交付される手帳です。
厚生労働省が公表している「令和4年度福祉行政報告例の概況」によると、2022年度末時点で4,842,344人が身体障害者手帳の交付を受けています。

身体障害者手帳には、下記の2つの役割があります。

【身体障害者手帳の役割】

 

・法律上の身体障がい者であることを証明できる

身体障害者福祉法では身体上の障がいがある18歳以上・身体障害者手帳の交付を受けた方を身体障がい者と定義しています)

・税金の控除や公共交通機関の割引など福祉的制度を活用できる

身体障害者手帳には、法律で定める「身体障がい者」であると証明する役割があります。

法律上の身体障がい者が対象となる福祉的制度を活用できるため、社会活動がしやすくなるサポートを受けられる点が特徴です。

【身体障害者手帳の交付を受けると活用できる福祉的制度の一例】

 

・更生医療(自立するために必要な医療費の支給)の活用

・補装具(車椅子や補聴器など)の費用負担軽減

・バスやタクシーなどの公共交通機関、施設の割引

・所得税や贈与税の控除など

このように、身体障害者手帳は、身体に障がいがある方が必要な支援を受けやすくなるツールとして活用されています。

【身体障害者手帳の交付は強制ではない】

 

身体障害者手帳の交付は、強制ではありません。

身体障碍者手帳の対象となる障がいがあっても、手帳を持つかどうかは個人の自由です。

 

ただし、身体障害者手帳がないと、受けられる支援に制限が出る可能性があります。

 

2.身体障害者手帳が交付される3つの条件

身体障害者手帳の交付を受けるには、下記の3つの条件を満たす必要があります。
身体障害者手帳の交付対象なのか見極めるためにも、どのような条件があるのか確認しておきましょう。

 

2-1.交付対象となる障害がある

身体障害者手帳の交付を受けるには、下記の9項目のいずれかの障害に該当する必要があります。

身体障害者手帳の対象となる障害 該当する例
視覚障がい 視力障害となる傷病で両目の視力が一定基準より低下する
聴覚または平衡機能の障がい 聴覚器官または平衡機能に障がいがある
音声機能・言語機能・そしゃく機能の障がい ・音声を発する基本機能に障がいがある

・言語機能に障害がある

・そしゃくや嚥下機能が低下している

肢体不自由 ・傷病により肢体の機能に直接的な障がいがある

・運動機能を司る脳の機能に障がいがある

心臓・じん臓・呼吸器の機能の障がい ・心臓機能に障がいがありペースメーカー植え込み術や人工弁移植などをしている

・じん臓機能に障があるもしくはじん臓移植をしている

・呼吸器機能に障がいがある

ぼうこう・直腸の機能の障がい ・人工肛門や尿路変更などの手術をしている

・先天的な障がいにより排便排尿機能に障がいがある

小腸の機能の障がい 小腸を大量に切除する疾患がある
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能がい ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障がいにより日常生活が難しい、もしくは制限がある
肝臓の機能の障がい ・肝臓移植を行い抗免疫療法を行っている

参考:厚生労働省「障害者手帳」
参考:長野県「障がいの内容全般について」

身体障害者手帳の交付は、視覚や聴覚、肢体(足が自由に動かせないなど)など目に見える障がいだけでなく、心臓や肝臓、小腸など内臓の疾患も対象です。

また、身体障害者手帳の交付時は病名だけでは判断せず、病状や生活への支障などを踏まえ指定医が総合的な判断をします。

病状やケガの状態と障害者手帳の交付の障がい条件が一致していることが大切なので、〇〇病があれば必ず身体障害者手帳の交付を受けられるわけではありません。

 

2-2.等級の1~6級に該当する

身体障害者手帳には、障がいの程度により1~7級の等級があります。
しかし、身体障害者手帳の交付対象は、基本的には1~6級です。

障がいの種類 障がいの種類(細かな区分) 等級
視覚障がい 1~6級
聴覚または平衡機能の障がい 聴覚機能障がい 2~6級

(5級なし)

平衡機能障がい 3級・5級
音声機能・言語機能・そしゃく機能の障がい 3級・4級
肢体不自由 上肢機能障がい 1~7級
下肢機能障がい 1~7級
体幹機能障がい 1~5級

(4級なし)

乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障がい 1~7級
心臓・じん臓・呼吸器の機能の障がい 1~4級

(2級なし)

ぼうこう・直腸の機能の障がい 1~4級

(2級なし)

小腸の機能の障がい 1~4級

(2級なし)

ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能がい 1~4級
肝臓の機能の障がい 1~4級

参考:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表

身体障害者手帳の等級は、数値が低いほど重度の障がい認定になる点が特徴です。
一例として、視覚障がいの場合は下記のように1級から6級に分かれています。

視覚障がいの等級
1 視力の良い方の眼の視力が0.01以下
2 1.視力の良い方の眼の視力が0.02以上0.03以下

2.視力の良い方の眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下

3.周辺視野角度(I/4視標による)の総和が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度(I/2視標による。以下同じ。)が28度以下

4.両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下

3 1.視力の良い方の眼の視力が0.04以上0.07以下(2級の2に該当する場合を除く)

2.視力の良い方の眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下

3.周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度が56度以下

4.両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下

4 1.視力の良い方の眼の視力が0.08以上0.1以下(3級の2に該当する場合を除く)

2.周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下

3.両眼開放視認点数が70点以下

5 1.視力の良い方の眼の視力が0.2かつ他方の眼の視力が0.02以下

2.両眼による視野の2分の1以上が欠けている

3.両眼中心視野角度が56度以下

4.両眼開放視認点数が70点を超えかつ100点以下

5.両眼中心視野視認点数が40点以下

6 視力の良い方の眼の視力が0.3以上0.6以下かつ他方の眼の視力が0.02以下

参考:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表」

1級では「視力の良い方の眼の視力がが0.01以下」が基準ですが、6級では「視力の良い方の眼の視力が0.3以上0.6以下かつ他方の眼の視力が0.02以下」と障がいの度合いが大きく異なります。

等級により生活への影響度が変わるので、1級の方が受けられるサービスと5級や6級の方が受けられるサービスが異なる場合があります。

一例として、東京都港区では身体障害者手帳1級を取得している場合のみ、下記のようなサポートが受けられます。

東京都港区の例
障害者手帳1級・2級に

限定されているサービス

・心身障害者福祉手当

(毎月15,500円の支給)

・居宅生活支援事業として看護師によるサービスを受けられる

視覚障害者1級に限定されているサービス ・盲導犬の支給

(視覚障害者1級以外にも条件あり)

参考:港区「視覚障害1級の人が受けられるサービス」

身体障がいの種類ごとの等級内容は下記の記事で詳しく説明しているので、参考にしてみてください。
身体障害者手帳の等級一覧│基準や違い、等級別のサポートを解説

【等級7級は2つ以上該当すれば身体障害者手帳対象者になる場合がある】

 

身体障害者手帳の交付は1~6級が対象ですが、7級認定の方でも下記のケースでは交付対象になる場合があります。

 

・7級に該当する障がいが2以上重複する場合

・7級の障がいが6級以上の障がいと重複する場合

 

例えば、上肢機能障がい7級と下肢機能障がい7級の認定を受けていると、身体障害者手帳の交付対象になる可能性があります。

 

参考:愛媛県「身体障害者手帳Q&A」

 

2-3.対象の障がいが永続的に続く

身体障害者手帳の交付は、対象の障がいの症状が永続的に続くことが条件です。

・対象の障がいが発症して間もない場合
・身体の機能が発達していく段階にあり永続的に続く判断ができない場合
・意識のない状態になったばかりで長期的な身体障がいがあると判断できない場合

などは、身体障害者手帳の交付対象にならない可能性があるでしょう。

対象の障がいが永続的に続くかどうかの判断時期は症状により異なりますが、おおよそ3~6ヵ月が目安です(症状によっては手術後すぐに永続的に続くと判断される場合もあります)。

例えば、聴覚の場合は該当の症状が安定してから約3ヵ月継続すると、永続的に続くと判断できる傾向があります。

このように、対象の障がい永続的に続くと判断されるかどうかは、身体障害者手帳交付の1つの条件になります。

【該当する障がいが回復した場合は返還・等級変更が必要】

 

永続的に続くと見込まれていた障がいが手術などにより改善した場合は、身体障害者手帳の返還もしくは等級の変更が必要です。

 

返還や等級変更の手続きは住まいの市区町村の福祉事務所または市役所で受付しているので、相談してみてください。

 

3.身体障害者手帳の交付を受ける5つのメリット

身体障害者手帳の概要が理解できたところで、身体障害者手帳を持っているとどのような利点があるのか気になるところです。

この章では、身体障害者手帳の交付を受ける5つのメリットをご紹介します。
身体障害者手帳があると福祉サービスや日常生活で活用する施設、公共交通機関などで割引などの優遇を受けられるケースがあります。

身体障害者手帳の交付を受けるべきか判断するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

身体障害者手帳の交付を受ける5つのメリット
・更生医療が受けられる

・自立した生活を送るための支援が受けられる

・税金控除の対象になる

・施設や公共交通機関、水道光熱費などの割引を活用できる

・障がい者雇用枠での就職活動ができる

 

3-1.更生医療が受けられる

1つ目は、更生医療が受けられることです。

更生医療の対象者は身体障害者手帳を持つ18歳以上の方なので、身体障害者手帳がないと受けられません(条件を満たしていても市町村民税額により対象外となるケースがあります)。

更生医療とは、日常生活や仕事をする能力を回復させ自立するために必要な医療を指します。
身体障害者手帳に記載している障がいの除去や軽減を目的とした医療費の一部が支給されます。

更生医療の概要 日常生活や仕事をする能力を回復させ自立するために必要な医療を提供する
対象者 身体障害者手帳を持つ18歳以上の方

(市町村民税額により対象外となるケースがあります)

更生医療の例 事前に申請・判断を行い確実な効果が期待できる治療に限定される

・視覚障がい:水晶体摘出術や角膜移植術など

・肢体不自由:人工関節置換術など

・心臓機能障がい:ペースメーカー植込み術や心臓移植術など

更生医療の自己負担額 基本的には総医療費の1割

(世帯の所得額等により月額自己負担上限額が変わる)

参考:厚生労働省「自立支援医療(更生医療)の概要」

通常の医療保険では医療費の自己負担額は3割ですが、この制度を活用すると1割まで負担を軽減できる点が特徴です。

例えば、総医療費が70万円かかった場合は、7万円の自己負担に抑えられます。

10割負担 3割負担 1割負担
70万円 21万円 7万円

更生医療の対象となる治療は限られてはいるものの、身体障害者手帳を持っていれば医療費負担を軽減しながら治療を受けられます。

 

3-2.自立した生活を送るための支援が受けられる

2つ目は、自立した生活を送るための支援が受けられることです。
身体障害者手帳には障がいの度合いや種類に応じて、適切な自立支援をする役割があるためです。

支援の内容は身体障害者手帳の交付を受けた市区町村により異なりますが、一例として下記のようなものがあります。

【身体障害者手帳を持つことで受けられる支援の一例】

 

・補装具(車椅子や補聴器など)の購入・修理費用の助成(原則1割負担)

・住まいの改造(手すりの取付や段差解消など)費用の助成(世帯所得により助成額が変わる)

・入浴の介助サービスの利用

・安否確認や食事宅配サービスの利用

・自宅で理美容が受けられるサービスの利用

・外出時の付き添いを受けられるサービスの利用

※支援の内容は市区町村・等級により異なります

例えば、車椅子や補聴器、義眼などの補装具の購入や修理時には、身体障害者手帳があると基本的には自己負担が1割になる助成を受けることが可能です。

また、1人での入浴が困難な場合は、施設や自宅で入浴介助を受けられるサービスを提供している市区町村も見受けられます。

身体障害者手帳がないと、入浴サービスの利用や補装具の購入、食事の配達などには一定のコストがかかります。

身体障害者手帳を持つことで自己負担を減らしながら、障がいに応じて必要なサービスを利用しやすくなるでしょう。

 

3-3.税金控除の対象になる

3つ目は、税金控除の対象になることです。
障害者控除とは、障がい者に所得がある場合に所得税と市県民税の控除が受けられる仕組みです。

障害者控除を受けるには「身体障害者手帳に身体上の障害がある人として記載されている人」との条件があるため、身体障害者手帳を持っていないと控除が受けられません。

具体的な控除額は等級により、下記のように定められています。

対象者 控除額
障がい者

身体障害者手帳3~6級

27万円
特別障がい者

身体障害者手帳1・2級

40万円

※市県民税は住まいの地域により控除額が異なります
※特別障がい者の配偶者または扶養親族で生計をともにしている場合は同居特別障がい者として控除の対象になるケースがあります
参考:国税庁「障害者控除」

会社員の場合は年末調整時に、個人事業主の場合は確定申告時に申請することで税金の負担を軽減できます。

【相続時には相続税の障害者控除が受けられる】

 

身体障害者手帳を持っていれば、障がいのある方が法定相続人になった場合に相続税の障害者控除を利用できます。

 

・障がい者:10万円×(85歳−相続開始日の障がい者の年齢)

・特別障がい者:20万円×(85歳−相続開始日の障がい者の年齢)

 

例えば、身体障害者手帳3級を持っている場合は、85歳に達するまでの年数1年につき10万円の控除を受けられます。

 

参考:国税庁「財産を相続したとき」

 

3-4.施設や公共交通機関、水道光熱費などの割引を活用できる

4つ目は、施設や公共交通機関、水道光熱費などの割引を活用できることです。

身体障害者手帳を上手に活用すれば、身体障害者手帳がない場合よりも日常生活で必要となる費用を抑えられます。

割引できる機関 具体的な施設・機関
公共交通機関 ・JR

・航空券

・バス

・タクシー

高速道路など

施設 ・ホテルなどの宿泊施設

・テーマパーク

・科学館

・美術館

・水族館

・動物園

・カラオケ

・スポーツ施設

・映画館など

公共料金 ・携帯電話料金

・NHK受信料

・郵便料金

・水道料金

・ガソリン代

その他 ・ネットスーパー

・クリーニングなど

※身体障害者手帳の等級により受けられるサービスが異なります

一例として、身体障害者手帳2級を持っているとしましょう。
東京から大阪の海遊館まで旅行したとすると、片道約1.6万円もお得に障がいがある方と介助者で観光を楽しめます。

利用機関 通常の料金 身体障害者手帳を使用した場合の料金
タクシー 2,000円 多くのタクシーで身体障害者手帳を提示すると料金が1割引

1,800円

新幹線 13,870円×2

27,740円

身体障害者手帳1~3級は本人と介助者1名の普通乗車券や普通特急券が半額

6,935円×2=13,870円

海遊館 2,700円×2

5,400円

身体障害者手帳を持つ本人と介助者1名が半額

1,350円×2=2,700円

差額 35,140 18,370

住まいの地域や身体障害者手帳の等級により受けられるサービスは異なりますが、身体障害者手帳を提示することで幅広いサービスをお得に利用できることはメリットだと言えるでしょう。

障害者手帳で利用できるサービスは下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
2024年最新!障害者手帳で利用できるサービス一覧│割引・支援

 

3-5.障がい者雇用枠での就職活動ができる

5つ目は、障がい者雇用枠で就職活動ができることです。

障がい者雇用枠は、企業が障がい者の雇用を促進するために設けられた求人枠を指します。

一般的な雇用枠では障がいがあることを提示する必要はありませんが、障がい者雇用枠は基本的に身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を提示しなければなりません。

障がい者雇用枠では企業に身体障がい者であることを公表して採用活動や仕事を行うため、障がいへの理解や合理的配慮などを受けられる点がメリットです。

【障がい者雇用枠で就職活動をするメリット】

 

・障がいの特性や状況を企業側に理解してもらったうえで仕事ができる

・企業側が障がいに対する合理的配慮をしてくれる傾向がある

・周囲の理解を得やすいので安心感があり継続して働きやすい

もちろん身体障害者手帳を持っている=必ず障がい者雇用枠で働く必要はありませんが、社会と関わりを持ちたい障がい者にとって働き方の選択肢が増やせます。

【身体障害者手帳を取得した障がいのある方の声】

 

ここまで身体障害者手帳のメリットを解説してきました。

 

実際に身体障害者手帳の申請をした障がいのある方からは「負担が軽減できた」「必要なサービスを受けられるようになった」など満足している声があります。

 

・身体障害者手帳を取得したことで負担が軽減でき、家族にもゆとりが生まれました。

・取得自体は無料ですし各機関で手帳を提示するかどうかの意思決定は自分でできるため、積極的に取得していいと思います。

・身体障害者手帳の等級に応じて必要なサービスを受けられるようになりました。公共料金の割引は家計の負担を軽減でき助かっています。

 

身体障害者手帳の取得は強制ではありませんが、メリットを理解したうえで検討してみるといいでしょう。

 

4.身体障害者手帳の交付を受けるデメリット

身体障害者手帳の交付を受けるメリットが把握できたところで、気になるのがデメリットです。

身体障害者手帳のデメリットはほぼありませんが、使い方や考え方によっては下記の点がデメリットになる可能性があります。

身体障害者手帳の交付を受けるか判断するためにも、参考にしてみてください。

身体障害者手帳の交付を受けるデメリット
・税金控除や障がい者雇用枠を利用するなら職場に身体障害者手帳を持っていることが分かってしまう

・身体障害者手帳を保有している事実に不安を感じるケースがある

 

4-1.税金控除や障がい者雇用枠を利用するなら職場に身体障害者手帳を持っていることが分かってしまう

身体障害者手帳の交付を受けるメリットでご紹介した「3-3.税金控除の対象になる」や「3-5.障がい者雇用枠での就職活動ができる」を利用する場合は、就職先に身体障害者手帳を保有していることが分かってしまいます。

身体障がいの程度によっては一般雇用枠での就職を希望するかもしれませんが、障害者控除を利用すると年末調整や住民税告知のタイミングで職場に把握される可能性が高いでしょう。

また、障がい者雇用枠を利用する場合は、基本的には身体障碍者手帳を持っていることが条件です。
雇用するタイミングで「身体障害者手帳を持っている」ことは把握されてしまいます。

・職場に身体障害者手帳を持っていることを隠したい
・身体障害者手帳を持っていることが職場にばれることに抵抗がある

という場合には、身体障害者手帳のメリットを十分に活用できない可能性があるでしょう。

 

4-2.身体障害者手帳を保有している事実に不安を感じるケースがある

身体障害者手帳の交付を受けると、法律上の身体障がい者として認められます。

公共交通機関の利用や福祉サービスの利用など身体障害者手帳を見せてサービスを受けるシーンでは、身体障害者手帳を提示しなければなりません。

身体障がい者と認められてしまったことに、少なからず不安を感じるケースがある点はデメリットだと言えるでしょう。

しかし、身体障害者手帳を持っていることを自ら公言しなければ、私生活で周囲に把握されることはありません。

手帳を付与されただけで「周囲から身体障がい者だと思われてしまう」「誰もに障がいを抱えていると把握されてしまう」ことはないので安心してください。

障がい者雇用枠で安心して長くに働ける!

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JSHが運営している「支援型」の農園型障がい者雇用支援サービス「コルディアーレ農園」では、障がいのケースに関係なくやりがいを持ちいきいきとお仕事ができる環境を整えています。

 

「持病があっても大丈夫かな?」「継続してお仕事ができるかな?」などの不安を抱えている方もいるかと思いますが、コルディアーレ農園では業務サポート・定着支援サポート・送迎サポートの3つのサポートで安心して働けるようにサポートしています。

 

実際にコルディアーレ農園で働いている障がい者の方からは、働く楽しさや、やりがいを感じている声が届いています。

 

コルディアーレ農園では随時相談や見学会を行っていますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

5.身体障害者手帳の申請手順

身体障害者手帳が必要か判断できたところで、身体障害者手帳の交付を受けるための具体的な申請手順を確認しましょう。

身体障害者手帳は住まいの障害福祉担当窓口で申請します。
市区町村により必要な書類や申請手順が若干異なるため、基本的な手順として参考にしてみてください。

 

5-1.必要な書類を用意する

まずは、身体障害者手帳の交付に必要な書類を用意しましょう。

住まいの市区町村(住民登録をしている市区町村)により必要書類が若干異なりますが、主に下記のような書類・持ち物が必要です。

身体障害者手帳の交付に必要な書類・持ち物 概要
身体障がい者手帳交付申請書 身体障害者手帳の交付を申請する書類

申請者と保護者の住所、氏名などを記入する

 

フォーマット例は「身体障害者手帳交付申請書」をご覧ください

申請者本人の写真(2枚) 身体障害者手帳に貼り付ける写真

横3cm × 縦4cm

脱帽やマスクなしで上半身をカラー撮影したもの

撮影期間(1年以内など)を設けている市区町村もある

身体障がい者診断書・意見書 身体障害者福祉法第15条第1項に規定する医師によるものに限る
マイナンバー(個人番号) 申請時に記載が必要

(身体障害者手帳に表示されない)

本人確認書類 運転免許証やパスポートなどの本人確認書類が必要になるケースがある
印鑑 申請時に印鑑が必要

参考:東京都心身障害者福祉センター「身体障害者手帳について」

身体障害者手帳交付申請書や身体障害者診断書・意見書の原本は、住民登録している市区町村の障害福祉担当窓口で受け取りが可能です。

最近はWebサイトよりダウンロードできる市区町村もあるので、確認してみるといいでしょう。

身体障害者診断書・意見書は、都道府県知事の定める医師が障がいの有無や状況を診断する書類です。
障がいの状況により検査や診察内容は異なりますが、障がいの状況を素直に伝えるようにしましょう。

【指定医師に伝えることの例】

 

・障がいにより日常生活で困っていること

・障がいによりできないこと

・体調や心の状態で気になること

かかりつけ医が指定医なのか分からない場合は、市区町村の障害福祉担当窓口で確認してください。

【本人の申請が難しい場合は代理申請ができる】

 

下記のような本人の申請が難しい場合には、代理申請を認めています。

 

・申請者本人が15歳未満の場合

・申請者本人が直接申請することが難しい場合

 

代理申請には代理人書類や事前相談が必要な場合があるため、住まいの市区町村に問い合わせをして確認してください。

 

5-2.住まいの障害福祉担当窓口に書類を提出する

身体障害者手帳交付に必要な書類が揃ったら、住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に提出をします。

書類に不備がなければ、申請に進みます。
提出した身体障害者診断書・意見書の内容に疑義がある場合は、担当の指定医師に内容を照会しながら進めていきます。

【身体障害者手帳の申請が却下された場合はどうなる?】

 

身体障害者手帳の申請が却下された場合には、却下通知が届きます。

却下される主な理由としては、身体障害者手帳交付の条件を満たしていないことが考えられます。

 

却下の理由は基本的には市区町村を通じて伝えてもらえますが、不服がある場合には再度申請することも可能です。

 

5-3.1ヵ月~1ヵ月半程度で身体障害者手帳が交付される

身体障害者手帳の申請が問題なく進めば、書類提出より1ヶ月~1ヶ月半程度で手帳が交付されます。
手帳の交付方法は市区町村により異なりますが、障害福祉担当窓口での手渡しか、郵送が主流です。

手帳を受け取ったら、氏名や住所などの情報に不備がないか確認しましょう。

また、身体障害者手帳は申請した本人のみしか使用できません。
紛失すると悪用される可能性があるので、保管方法や携帯方法も決めておくといいでしょう。

【身体障害者手帳の携帯に不安がある場合はデジタル障害者手帳を活用できる】

 

「身体障害者手帳を携帯すると落としてしまうかも」と不安がある場合は、民間企業やマイナポータルのアプリ経由でスマートフォン・タブレットに身体障害者手帳情報の表示ができます。

 

割引などのサービスを受けたいときはスマートフォンやタブレットの画面を見せると、紙面の身体障害者手帳と同様に利用することが可能です。

 

スマートフォンやタブレットの利用に慣れている場合は、デジタル障害者手帳の活用も検討してみるといいでしょう。

 

参考:読売新聞「障害者手帳をスマホで代用、割引時提示…マイナポータル連携」

 

6.身体障害者手帳に関するよくある質問

最後に身体障害者手帳に関する質問をまとめました。
不安を抱えずに身体障害者手帳を活用、申請するためにも、参考にしてみてください。

 

6-1.身体障害者手帳交付時に再認定時期があると聞きました。再認定とは何ですか?

再認定制度とは、身体障害者手帳交付後に障がいの変化が想定される場合に活用する制度です。
身体障害者手帳の再認定の年月に日付が入っている方が対象です。

再認定時期(手帳交付から1~5年以内)が近づくと通知が届くため、再度指定医師の診断を受けて身体障がい者診断書・意見書を提出します。

変化が認められた場合には、等級の変更や手帳の返還を求められる場合があります。

参考:大阪府「身体障がい者手帳について」
参考:岡山市「身体障害者手帳の「再認定時期」とは何ですか?」

 

6-2.身体障害者手帳の氏名・住所が変わりました。手続きは必要ですか?

身体障害者手帳の氏名や住所が変わった場合には、下記のような手続きが必要です。

氏名 住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に届出をする
住所 新しい住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に届出をする

参考:東京都心身障害者福祉センター「身体障害者手帳について」

本人の氏名や住所と身体障害者手帳の氏名・住所に相違があると、サービスを受けられない可能性があるため速やかに届出をしてください。

 

6-3.外国籍ですが日本で身体障害者手帳を交付されますか?

在留カードなどにより居住地が明確で、在留資格を保有していれば身体障害者手帳の交付対象になります。
申請時には在留カードや特別永住者証明書の確認を求める場合があります。

 

6-4.身体障害者手帳がなければ更生医療は受けられませんか?

更生医療を受けるには、身体障害者手帳が必要です。
更生医療は法律上の身体障がい者が対象です。18歳以上で身体障害者手帳を持っていないと、受けられません。

参考:厚生労働省「自立支援医療制度の概要」

 

6-5.身体障がいが重複している場合の等級はどうなりますか?

複数の身体障がいの認定を受けている場合は、等級に割り当てられた指数を合算して等級を決めます。

等級 指数 認定される合計指数
1 18 18以上
2 11 11~17
3 7 7~10
4 4 4~6
5 2 2~3
6 1 1
7 0.5

参考:長野県立総合リハビリテーションセンター「身体障害者手帳の等級について」

例えば、視覚障がいで6級、聴覚障がいで5級の場合は「1+2=3」の合計指数になり、身体障害者手帳は5級での交付を受けます。

ただし、障がいによっては重複認定や合算できない場合があるので、認定時に確認してみてください。

 

6-6.身体障害者手帳と障害年金の交付条件は同じですか?

身体障害者手帳と障害年金は別の制度なので、審査基準や等級が異なります。
そのため、身体障害者手帳と障害年金は同じ条件や等級で扱っていないため注意してください。

障害年金については、下記の記事を参考にしてみてください。
障がい者が受け取れる厚生年金は?加入者が知るべき年金種別と受給条件

 

7.まとめ
今回は、身体障害者手帳の概要や交付を受けるメリット、デメリット詳しい申請手順をまとめて解説しました。
最後にこの記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。

〇身体障害者手帳とは永続的に続く一定以上の身体障がいがある方に交付される手帳
・法律上の身体障害者であることを証明できる
・税金の免税や公共交通機関の割引など福祉的制度を活用できる

〇身体障害者手帳の交付対象となる条件は次の3つ
(1)交付対象となる障害がある
(2)交付対象となる等級内である
(3)交付対象となる障害が永続的に続く

〇身体障害者手帳の交付を受けるメリットは次の5つ
(1)更生医療が受けられる
(2)自立した生活を送るための支援が受けられる
(3)税金控除の対象になる
(4)施設や公共交通機関、水道光熱費などの割引を活用できる
(5)障がい者雇用枠での就職活動ができる

〇身体障害者手帳の交付を受けるデメリットは次の2つ
(1)税金控除や障がい者雇用枠を利用するなら職場に身体障害者手帳を持っていることが分かってしまう
(2)身体障害者手帳を保有している事実に不安を感じるケースがある

〇身体障害者手帳の申請手順
(1)必要な書類を用意する
(2)住まいの障害福祉担当窓口に書類を提出する
(3)1ヵ月~1ヵ月半程度で身体障害者手帳が交付される

身体障害者手帳は身体障がいがある方は障がいの度合いに応じて、必要なサービスを受けやすくするための手帳です。

身体障害者手帳の対象となる場合は今回ご紹介したメリットやデメリットを参考に、申請のを検討してみてください。

この記事を書いた人

株式会社JSH|矢野 翔太郎

株式会社JSHにて障がい者雇用支援サービス「コルディアーレ農園」のスキーム開発から営業までを担当。
企業側の障がい者雇用の課題解決だけではなく、農園開設や運営にも携わることで、障がい者雇用のリアルな現場にも正対。
障がい者雇用における関連法案や海外の雇用事情についての知見もあり、セミナー等を通じて障がい者雇用に関する様々な情報発信もおこなっています。

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