コラム詳細
2026/07/27
autorenew2026/07/27
障害者を受け入れる職場の整備ポイント│社外の支援機関も活用すべき
「障がい者の方を職場に受け入れるためには、どのような整備が必要なのだろう」
「すべきことが多くて大変なのだろうか」
障がい者雇用を進める企業の役員や担当者の方が、障がい者の方を受け入れるにあたって職場をどう整備すべきか、お悩みではないでしょうか。
結論から申し上げますと、障がい者の方を職場に受け入れるには、幅広い整備が必要になります。
障がい者の方は障がいによって得意・不得意の差が大きく、定期通院などの配慮も必要なため、単に物理的なバリアフリー化を進めるだけでなく、業務内容や社内体制、就労ルールの面からも柔軟に整える必要があるからです。
そこで、障がい者の方が安心して働けるように、具体例を交えつつ、以下の3点から職場を整備するポイントをご紹介します。

障がい者雇用を進める多くの企業様が、「受け入れ環境をしっかり整えることで定着率を高め、法定雇用率を一時的ではなく『安定的に』達成したい」とお考えのことと思います。
あなたの企業が遠回りしなくて済むように、事前に知っておくと役立つ、よくある失敗とその対策についてもご紹介します。

この記事を読むと、以下の内容からすべきこととその重要性が理解でき、スムーズに職場整備を進められます。
| この記事で分かること |
| ・障がい者を職場に受け入れるには幅広い整備が必要であること
・障がい者を受け入れる職場を整備するポイント ・障がい者の職場整備の際によくある失敗とその対策 ・積極的に活用すべき社外の支援機関 |
これから受け入れる障がい者の方の職場定着率を高められるように、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
【目次】
1. 障がい者を職場に受け入れるには幅広い整備が必要
2. 障がい者を受け入れる職場を整備するポイント
3. 障がい者の職場整備の際によくある失敗とその対策
4. 社外の支援機関も積極的に活用して職場を整備しよう
5. まとめ
1.障がい者を職場に受け入れるには幅広い整備が必要

冒頭でもお伝えしましたが、障がい者の方を職場に受け入れるには幅広い整備が必要です。
障がい者の方は、障がいによって「できないこと」があるだけでなく定期通院しているため、物理的なバリアを除去するだけでは十分とは言えないからです。
精神的にも働きやすさを感じられるように、制度や体制から整備しなければなりません。
以下のように、「一部しか行わない場合」と「総合的に行った場合」とでは、職場定着率に大きな差が出ます。
【一部しか行わない場合と総合的に行った場合の比較】

このように、幅広い整備をせずに障がい者雇用を進めると、雇用した障がい者の方が早期退職する可能性が高まります。
実際、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者の就業状況等に関する調査研究」によると、障がい者雇用における1年後の職場定着率は、以下のように極めて低いです。

出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者の就業状況等に関する調査研究」
厚生労働省「令和6年 雇用動向調査の結果の概要」を踏まえると、一般社員の定着率は約88~89%なので、精神障がい者の方にいたっては約半分の定着率です。
企業の方は「障がい者の方の社会的自立に貢献したい」という思いの他に、以下のようなお考えもあるのではないでしょうか。
| ・法定雇用率を達成したい
・法定雇用率未達成による納付金の徴収を避けたい |
障がい者の方が安心して長く働けるように、幅広い職場整備を実施すれば、結果として法定雇用率の継続的な達成にも繋がるでしょう。
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
2.障がい者を受け入れる職場を整備するポイント

障がい者の方を職場に受け入れるには、安心して長く働くための幅広い整備が必要なので、以下の3点からポイントをご紹介します。

あなたの企業で取り入れられるように、参考にしてみましょう。
2-1.職場環境
まず、職場環境については、障がい者の方が安全かつ快適に仕事に打ち込める環境を整備しましょう。
具体的には、以下の通りです。
| 廊下・通路 | 【身体障がい者】
・物を置かない ・入口や室内の段差を撤去 ・スロープの設置
【知的障がい者】 ・動線テープ(赤いテープをたどると作業部屋に着く) ・危険物がある部屋には「入らない」と張り紙 |
| 机・椅子 | 【身体障がい者】
・出入りしやすい位置 ・トイレが近い位置 ・車椅子の方でも使いやすい高さ調整できる机 ・身体への負担が少ない椅子 |
| 空調 | 【全障がい者】
・室温と湿度を適切に保つ ・個人で調整できるように、扇風機や加湿器を併用する |
| 照明 | 【全障がい者】
・適切な明るさに保つ
【精神障がい者】 ・音や光に敏感な方は、サングラスや耳栓の着用、衝立の設置などを認める |
| 設備 | 【全障がい者】
・休憩スペースを設ける
【身体障がい者】 ・手すり、エレベーターの設置 ・視覚障がい者向けの点字ディスプレイ付きパソコンや、読み上げソフトの導入
【知的障がい者】 ・裁断機や刃物は片付ける |
上記は一例なので、雇用する障がい者の方の障がい特性や要望に合わせて、柔軟に対応することが重要です。
障がい別の配慮例については、「【合理的配慮の具体例集】障がい・場面別に提供のポイントを解説」をぜひご覧ください。
職場環境を整備するにあたって、「障害者作業施設設置等助成金」などの助成金を活用することが可能です。
助成金の内容や支給要件については、「【2025年】障害者雇用の助成金がまるわかり!内容・支給要件」を参考にしてみましょう。
2-2.運用・ルール
次に、障がいに配慮した運用・ルールを整備しましょう。
具体的には、以下の通りです。
| 実習 | ・お互いの理解を深めるため、採用前に実習期間を設ける |
| 勤務日数・勤務時間 | ・無理をしない程度の勤務日数・短時間勤務から始める
・通勤ラッシュの時間帯を避けた時間差出勤を認める |
| 休憩 | ・疲れたら、いつでも休憩できるようにする |
| 通院配慮 | ・障がい者が希望する日時に通院できるように配慮する |
| 報酬体系・評価制度 | ・障害者雇用促進法や最低賃金法などの法律を遵守して決める
・雇用契約に関わらず、労働内容が同一の場合は、原則同一の賃金を支給する ・障がいを理由に不当な評価をしない |
| 多様な働き方 | ・リモートワークを推進する |
いきなり長時間勤務で働き始めて、体調を崩す障がい者の方は少なくありません。
週20時間未満勤務であっても、障がい者雇用における法定雇用率の算定ができる場合があるので、短時間勤務から始めることを検討しましょう。
カウントについて詳しくは「障がい者雇用における週20時間未満勤務とは|算定方法や事例を紹介」をご覧ください。
なお、障がいを理由に賃金を低く設定することは、障害者雇用促進法によって禁止されています。
障がい別の平均額をご紹介している「【人事向け】障がい者雇用の給料はどう決める?平均額や減額制度について解説」を参考にしてみましょう。
2-3.受け入れ部署の体制
最後に、障がい者の方が職場に馴染めるかを大きく左右する、受け入れ部署の体制を整備しましょう。
具体的には、以下の通りです。
| 研修会 | ・社員に障がい者雇用の意図や目的を理解させる
・どのような組織を目指すか、障がい者と一緒に働くことで社員にどう成長してもらいたいかを伝える ・障がい者雇用の理解と協力を得て、ともに働く意識を高める |
| コミュニケーション | ・事前に共有されたコミュニケーションを心がける
・相手に寄り添ったコミュニケーションを取る ・挨拶などの声掛けを通して、変化にすぐに気付けるように気を配る |
| サポート | ・「できること」と「できないこと」があり、どのような配慮を行う必要があるのかを伝える
・担当者を選任し、相談しやすい体制を作る |
| マニュアル作成 | ・割り当てる業務の流れやポイントがわかるマニュアルを作成する
・写真やイラストを多用する(知的障がい者) |
| 定期面談 | ・週1回の定期面談を実施する
・受け入れ体制に課題があれば改善に努める ・「得意なこと」を見つけ、それを活かせる業務を担当させる |
| 緊急時の対応 | ・緊急連絡先を確認しておく
・緊急時に誰が誘導役を務めるか決めておく |
障がい者の方を受け入れる前に、研修会を実施し、社員の方に障がい者雇用の意図や目的を理解してもらうことは、非常に重要です。
コミュニケーションやサポート方法に悩む方は多いと思うので、「【合理的配慮の具体例集】障がい・場面別に提供のポイントを解説」を、ぜひ参考にしてください。
障がい者の方の変化にいち早く気付けるように、日頃から声掛けを心がけると同時に、週1回は面談をしましょう。
悩みが大きくなる前に早めに対応することで、職場定着率を高められます。
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
3.障がい者の職場整備の際によくある失敗とその対策

障がい者を受け入れるには、職場における「環境」「運用・ルール」「受け入れ部署の体制」の全ての整備が重要でした。
企業の方はこれから着手するにあたって、他社が乗り越えてきた数々の失敗を、今、知ることができれば、スムーズに職場整備が進むと思いませんか?
そこで、障がい者の方の職場整備の際によくある、以下の3つの失敗とその対策についてご紹介します。

障がい者の方の定着率が高まる職場作りができるように、ぜひ参考にしてみてください。
3-1.業務のミスマッチ
障がい者の方を受け入れる職場では、障がい者の方に担当してもらう業務を選定しますが、雇用後、以下のミスマッチが起こることが少なくありません。
| ・障がい者の能力と業務レベルのミスマッチ
・障がい特性と企業の体制・設備のミスマッチ ・障がい者がイメージする仕事と実際の仕事内容のミスマッチ |
障がい者の方への理解不足や配慮不足を原因とした、このようなミスマッチが続くと、働く意欲を減退させ、最悪の場合は離職してしまいます。
対策として、以下の取り組みを実践しましょう。
| 対策 |
| ・採用前から、業務内容を明確にする
・雇用後、継続的なコミュニケーションとサポートを行い、定期的に業務の適性を検討する |
障がい者の方に割り当てた業務の適性は定期的に検討し、得意なことを見つけた場合は、それを活かせる業務に切り替えましょう。
具体的なミスマッチ事例については、「【事例あり】障がい者雇用のよくあるミスマッチと回避のための取り組み」をぜひご覧ください。
社内に任せる仕事がないという企業は、「【障がい者雇用】任せる仕事がない!業務を創出する方法5つを解説」を参考にしてみましょう。
3-2.障がい者への過度な配慮による現場の不公平感
障がい者の方を受け入れる職場では、障がい者の方に過度な配慮をするあまりに、現場の社員が不公平だと感じることがあります。
障がい者雇用を進めるにあたって、障害者雇用促進法によって合理的配慮の提供義務が定められています。
| 障がい者から申し出があった時に、負担が重すぎない範囲で本人の求めに応じた配慮をすること |
合理的配慮は必須ですが、申申し出や対話のないまま過度な特別扱いをしてしまうと、本人の「できること(自立の機会)」を奪ってしまうだけでなく、周囲の社員に負担や不公平感が偏り、現場の疲弊に繋がってしまいます。
そこで、対策として、以下の取り組みを実践しましょう。
| 対策 |
| ・採用時に、「できること・できないこと」「必要とする配慮」を確認してサポート内容を決める
・支援機関に相談する |
合理的配慮の提供範囲に悩んでいる方は、「障害者雇用の合理的配慮に悩んだら必読!進め方まで解説 」を参考にしてみましょう。
現場ストレスの対処法や、支援機関の選び方については「障がい者雇用の現場ストレスはどうする?対処法・向き合い方を解説 」をぜひご覧ください。
3-3.サポート担当者の負担増大
障がい者の方を受け入れる職場では、サポート担当者の負担ばかりが増大するケースが少なくありません。
担当者の選任は必須ですが、特定の1人だけにサポートが集中(属人化)してしまい、その担当者が孤立してしまうケースが多いためです。
しかし、担当者自身の仕事もありますし、障がい者の方の体調の管理についてサポートするのは非常に難しいことです。
対策として、以下の取り組みを実践しましょう。
| 対策 |
| ・研修会を実施して、部署全体で受け入れる体制を整える
・支援機関と連携する |
サポート担当者の負担が重くならないように、研修会で適切なコミュニケーション方法やサポート内容を伝え、部署全体で受け入れ体制を整えることが大切です。
「障がい者雇用における現場の声14選!よく上がる声から学ぶ成功の秘訣とは 」で、支援機関との連携の重要性が紹介されているので、ぜひご覧ください。
障がい者雇用に関する課題をお持ちの方はJSHにご相談ください。
4.社外の支援機関も積極的に活用して職場を整備しよう

障がい者の方の職場整備の際には、支援機関と連携することも大切です。
特に、以下のいずれかに一つでも当てはまる企業は、社外の支援機関活用がおすすめです。
| ・初めて障がい者雇用に取り組む企業
・障がい者を募集しても応募がない企業 ・雇用障がい者の職場定着率が低い企業 |
社外に以下の支援機関があるので、あなたの企業の職場整備を進められるように、積極的に活用しましょう。
| 支援内容 | 向いている企業 | |
| ハローワーク | ・職場整備や合理的配慮の相談
・各種助成金の相談 |
・障がい者雇用の基本を知りたい企業
・助成金を活用したい企業 ・相談先がわからない企業 |
| 地域障害者
職業センター |
・ジョブコーチの派遣
・企業向けセミナーの開催 |
・ジョブコーチを活用したい企業
・専門的な助言がほしい企業 |
| 障害者就業・
生活支援センター |
・障がい特性に応じた雇用や対応の助言 | ・雇用障がい者の理解を深めたい企業 |
| 障がい者雇用支援サービスを提供する民間企業 | ・人材紹介
・面接同行や選考の助言 ・職場定着に向けたコンサルティング ・農園型雇用支援 |
・計画的に法定雇用率達成を目指す企業
・安定的な法定雇用率達成のための仕組みを作りたい企業 |
公的支援機関の場合、無料で相談やアドバイスを受けられます。
地域障害者職業センターが派遣するジョブコーチは、企業の課題に対して、障がい者雇用の専門家の視点で助言してくれる存在です。
社員がジョブコーチ資格を取得することも可能なので、専門知識を身に付けたい方は「【徹底解説】ジョブコーチ資格|3つの取得メリット・実例・取得方法」を、ご覧ください。
障がい者雇用支援サービスを提供する民間企業は、内容によっては有料となりますが、企業のニーズに合わせた柔軟なサービスを受けられます。
自社で抱え込まずに、上記の支援機関を活用して、職場の整備を進めていきましょう。
|
障がい者雇用支援サービスに関心を持った企業は JSHのコルディアーレ農園にご相談ください |
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5.まとめ
障がい者の方を受け入れるための職場整備について、ご紹介させていただきました。改めてポイントをおさらいしましょう。
障がい者の方を職場に受け入れるには、幅広い整備が必要です。
職場整備のポイントを、以下の3点からご紹介しました。
| ・職場環境
・運用・ルール ・受け入れ部署の体制 |
障がい者の方の職場整備の際によくある、以下の3つの失敗と対策をご紹介しました。
| 業務のミスマッチ | ・採用前から、業務内容を明確にする
・雇用後、継続的なコミュニケーションとサポートを行い、定期的に業務の適性を検討する |
| 障がい者への過度な配慮による現場の不公平感 | ・採用時に、「できること・できないこと」「必要とする配慮」を確認してサポート内容を決める
・支援機関に相談する |
| サポート担当者の負担増大 | ・研修会を実施して、部署全体で受け入れる体制を整える
・支援機関と連携する |
障がい者の方の職場整備の際には、以下の社外の支援機関を積極的に活用しましょう。
| 支援内容 | 向いている企業 | |
| ハローワーク | ・職場整備や合理的配慮の相談
・各種助成金の相談 |
・障がい者雇用の基本を知りたい企業
・助成金を活用したい企業 ・相談先がわからない企業 |
| 地域障害者
職業センター |
・ジョブコーチの派遣
・企業向けセミナーの開催 |
・ジョブコーチを活用したい企業
・専門的な助言がほしい企業 |
| 障害者就業・
生活支援センター |
・障がい特性に応じた雇用や対応の助言 | ・雇用障がい者の理解を深めたい企業 |
| 障がい者雇用支援サービスを提供する民間企業 | ・人材紹介
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